カルチャー

落合恵子さんにENEOS児童文化賞 音楽賞は邦楽部門が伶楽舎、洋楽部門が佐藤美枝子さん 

(左から)落合恵子さん、宮田まゆみさん、佐藤美枝子さん、濱田芳通さん。ステージ上(左から)ENEOS株式会社の田口聡常務執行役員、大田勝幸代表取締役社長、谷田部靖取締役副社長執行役員。
(左から)落合恵子さん、宮田まゆみさん、佐藤美枝子さん、濱田芳通さん。ステージ上(左から)ENEOS株式会社の田口聡常務執行役員、大田勝幸代表取締役社長、谷田部靖取締役副社長執行役員。

 日本の児童文化に貢献した個人、団体に贈られる第55回ENEOS児童文化賞と、同じく音楽文化の発展に寄与した個人、団体を対象にした第50回ENEOS音楽賞の表彰式が11月20日、東京都千代田区のENEOS本社と受賞者をオンラインでつないだリモート形式で行われた。今年の受賞者は児童文化賞が作家の落合恵子氏、音楽賞の邦楽部門が雅楽演奏グループの伶楽舎、洋楽部門本賞がソプラノの佐藤美枝子氏、洋楽部門奨励賞が古楽アンサンブルのアントネッロ(主宰・濱田芳通氏)の各氏。副賞は賞金200万円。

▽子どもの文化全般に寄与

 落合氏は、文化放送の人気アナウンサーだったが、欧米の子どもの本の専門店に強くひかれ、退社後、子どもの本の専門店「クレヨンハウス」を創設。自ら絵本を翻訳したり創作したりしたほか、育児のための総合雑誌「月刊クーヨン」や、子どもに本を選んで送る「絵本の本棚」を企画するなど「7世代先の子どもたちのことを考える」という理念で、子どもの文化全般に寄与した。
 東京・北青山のクレヨンハウスでトロフィーを受け取った落合氏は「この賞に長い間、励まされてきた。今こそ文化が必要です。平和でなければ子どもの文化は成立しない」と、感謝と同時に平和の尊さを訴えた。

▽創設者の故人も受賞

 伶楽舎は、雅楽の古典から現代曲、さらに廃絶になっていた曲の復活まで「雅楽に関わる全方位の演奏をこなす活動」(選考委員の塚原康子・東京芸大教授)で、国内のみならず海外でも高い評価を得ている。音楽監督の宮田まゆみ氏は「伶楽舎を創設した故芝祐靖もこの賞を受賞している(1997年)。23年後、まさか自分たちが受賞するとは。伝承がすべての世界で、さまざまな作業を夢中で続けてきました」と喜びを話した。
 邦楽が、こうした大きな賞の対象になるのは珍しいが、ENEOSの担当者によると、なじみが薄い分野の功労者にも光をあてるとして邦楽が対象になり、長年の実績に視点を置いた功労賞的な意味合いを持っているという。過去49回の受賞者のうち、その後23人が重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されており、選考の確かさを表している。

▽伝統的な唱法を後世に

 佐藤美枝子氏は、1998年のチャイコフスキー国際コンクールの声楽部門で、日本人で初めて1位になり注目された。その後、日本を代表するソプラノとして数多くのオペラに出演、活躍の舞台は国内外に広がっている。音楽評論家、関根礼子氏の「チャイコフスキーコンクールの後の歩みが立派。熟練の度合いを高めている」との選考評に、佐藤氏は「チャイコフスキーから22年後に、また大きな賞をいただけた。ベルカント唱法(イタリアの伝統的な歌唱法)を伝えていきます」と決意を新たにした。

▽由緒正しき賞は栄誉

 中世からバロック期までのクラシック音楽を往時の楽器と奏法で再現するアントネッロは、コンサートで高い人気を誇る。選考委員の音楽評論家の舩木篤也氏は「グルーブ感に満ちた演奏」と人気の秘密に迫る選考評を披瀝。主宰の濱田芳通氏は、曽祖父が東京音楽大の創立者、父親が指揮者という音楽一家だけに「この賞が、いかに由緒正しく歴史ある賞か知っており、大変栄誉なこと。古風で風変わりな音楽に賛同してくれたメンバーに感謝したい」と述べた。

▽元はモービル賞、半世紀の歴史

 半世紀の歴史を持つENEOSの各賞だが、これらの賞は元々、モービル石油が主催者で、1966年の創設時から2000年まではモービルの冠が付いていた(2001年~2011年はエクソンモービル)。中高年にはモービル賞で耳になじんでいる人が多いかもしれない。モービル石油が他の石油会社と合併して社名が変わったのに伴い賞の名称も変わり、ENEOSになったのは今年から。担当の佐藤由理・総務部長は「児童文化賞と音楽賞は歴史と伝統がある。企業が統廃合を繰り返す中でも、継続していく価値があると判断した賞は引き継いでいく」という。

▽東京2020公認プログラムの一環

 ENEOSは2021年開催の東京オリンピック・パラリンピックのゴールドパートナー。大会支援だけでなく、バスケットボール部や野球部が主催するクリニックや指導教室、製油所を地域住民に開放してのフェスティバル、それにENEOS各賞の表彰など、さまざまな活動が東京2020公認プログラムとして認められている。