カルチャー

e-Sportsを総合的に学ぶ 選手寿命を伸ばし、業界のすそ野を広げる取り組み

 

 ゲームが単なる“遊び”だけではなくなった時代。“競技”としての「e-Sports(エレクトロニック・スポーツ)」が確立され、国体競技やアジアオリンピック競技としても採用されている。米国や韓国などと比べると盛り上がりが遅れてきた日本でも、e-Sportsのプロ選手やプログラマー、トレーナーなどを育成する学習環境整備への取り組みが進んでいる。

 北海道から沖縄まで全国19都市に校舎を持つ業界密着型の教育機関・総合学園ヒューマンアカデミーは、今年4月に「e-Sportsカレッジ」を秋葉原、横浜・大宮・名古屋・大阪・福岡校で開講。プロゲーマーを目指す学生たちへの授業を行っている。来年度はさらに4校での開講が予定されている。世界から注目を集めるe-Sportsの分野で活躍する若手を育てるために、どのような取り組みが行われているのか。OVO編集部では、11月半ばに外部講師を招いて行われたメンタルヘルスについての授業を受講し、同校のe-Sportsプロ育成への取り組みについて聞いた。

 取材したのは、秋葉原校と他校をオンラインでつないで行われた鍼灸(しんきゅう)・マッサージ指圧師、鈴木雄一朗講師によるメンタルヘルスの意義や必要性についての授業。同氏は、医薬部外品や医療機器、スポーツ・健康関連商品の製造・販売をするファイテン社(京都市)のトレーナー。「メンタルが与えるパフォーマンスへの影響~本番で最高の力を発揮するには~」と題した2回講座の第1回を実施。“精神論”ではなく、身体の仕組みを理解した上での“科学的アプローチ”であるメンタルトレーニングの必要性について解説した。

 授業内では、自分の大きな目標と、そこに到達していく過程でこなしていく多くの課題を3×3の9マスに書き込んでいくフレームワーク「マンダラチャート」も実践。生徒たちは、「誰かの目標となれる選手になりたい」「世界一のトレーナーになりたい」などの夢となる目標を挙げながら、ワークに取り組んだ。鈴木講師によると、「スポーツ全般において、実力があっても本番で力を発揮できない選手は多く、メンタルトレーニングへの興味度は高い」という。「e-Sportsプレーヤーは、長時間座ってパソコンに向かってプレーする中で、筋肉への負担のかかり方にも偏りが生じることもある。身体を動かしてプレーするアスリートよりも、身体に負担がかかっている部分がある」と指摘。ボディケアに、自分でできるセルフケアとして取り組むスキルを身に着けることは、身体のメンテナンスだけでなく、競技のパフォーマンスアップにもつながります」と話した。

メンタルヘルスの意義や重要性についての授業を行うファイテン社の鈴木雄一朗講師
メンタルヘルスの意義や重要性についての授業を行うファイテン社の鈴木雄一朗講師

 ヒューマンアカデミー e-Sportsカレッジ 学科長の山崎隼氏は、新進のスポーツであるe-Sportsを盛り上げていくために、「選手寿命を伸ばすための取り組みと、プロ選手を目指す若者たちの選択肢を広げる取り組みが大切」と話す。実戦スキルはもちろん、大会やイベントをゼロから考える企画力、心身のセルフコンディショニング・トレーニングの手法、業界研究などのほかに、一般常識や例えば契約書の読み方などの事務スキルの習得も目指す。学生たちが将来、e-Sportsの関連職に就きながらプロゲーマーを目指すなどの道も選べるようにすることも狙いだ。山﨑氏は「学校ならではの総合的な学習機会を提供し、業界のすそ野を広げ、盛り上げていきたい」と展望を語った。