カルチャー

がん情報動画で「健康経営」を エンフィールが企業向け教育・研修事業

笠井信輔さん
笠井信輔さん

 企業向けに健康支援事業を展開するempheal(エンフィール、東京、西口孝広社長)は、がんに関する情報を動画で学べる教育・研修サービスを2月から開始した。フリーアナウンサーで悪性リンパ腫を克服した笠井信輔さんが「初代アンバサダー」に就任し、自らの経験も語る。また同社は、企業の担当者が「健康経営」の計画立案や実行案を体系的に学習する健康経営大学校を今春に開校する予定という。

 健康経営は、企業が経営的な視点から従業員の健康管理に取り組むことで、組織を活性化させ、業績の向上につなげようという考え方だ。労働人口の高齢化に伴い2040年には従業員の過半数が50歳以上になると見込まれているが、高齢になるほど病気の罹患(りかん)率は高くなるため、企業にとっては必須の戦略となる。中でも日本人の死因トップのがんは、2人に1人が一生のうちに経験するとされ、現役世代でも正しい知識を得ておくことが重要となっている。

労働人口高齢化

 動画は「がんの常識・非常識」「いい治療の選び方」「笠井信輔アナが語る『現役世代のがん』」の3本で計84分。がんの発生メカニズムや、受けておくべき検診、標準治療と先進医療、治療に必要なお金などの情報が盛り込まれ、2020年秋にNTTドコモグループが試行導入したところ、社員の満足度は高かったという。

 2月4日のワールドキャンサーデー(世界対がんデー)の前日に当たる3日に開かれた記者発表会には、笠井さんも出席した。フジテレビを退社しフリーに転身した直後の2019年12月に、血液のがんである悪性リンパ腫と診断され、抗がん剤治療を受けて2020年7月から活動を再開した、と体験を紹介。「ほとんどの人はがんの知識がないのに、がん告知されて1、2週間で病院や治療法を決めないといけない」「最初は『何と運が悪い人生』と絶望したが、がんを経験した多くの人からメッセージをいただき、がんにならないのは『特別に運がいい人生』と考えが変わった」と日頃から病気への知識を身に付けておくよう呼び掛けた。

 動画教育・研修サービスは、従業員の人数にもよるが「1人当たり1000円程度の規模感で進めたい」(西口社長)としている。エンフィールの医療サポートサービス「M3PSP」を導入している企業は無料で利用できる。

 エンフィールは、NTTドコモと医療従事者向けウェブ事業のエムスリーが2019年4月に設立。社名は医療・健康リテラシーの向上(enpower)と適切な医療への接続(health)に由来している。主力のM3PSPでは、医師3人の見解を知らせる「マルチオピニオン」、専門医が勧める病院や医師をリポートする「ベストドクターセレクション」、スマホやパソコンからいつでも医師に相談できる「アスクドクターズ」などを提供している。