カルチャー

感動的な音楽で交流深める アイルランドとホストタウン成田市

素晴らしい演奏をみせたアーティストたち。
素晴らしい演奏をみせたアーティストたち。

 この夏の東京パラリンピックでアイルランド・チームのホストタウンとなる千葉県成田市が、共生社会の先進国であるアイルランドから学び、市民に共生社会実現の意識を高めてもらうことを目指し音楽で交流を深める「PARA Beats! 勇気を奏でよう。」と題したイベントが2月11日、成田市国際文化会館で開かれた。このイベントに合わせて世界的な和太鼓奏者の林田ひろゆきさんと、アイルランドの有名音楽プロデューサー、ドナル・ラニーさんが作曲した新曲が披露され、美しいメロディーと圧倒的な合奏の迫力に、来場者もオンラインで視聴した市民らも感動に包まれた。

共生社会先進国に学ぶ

 成田市では市内のホテルのバリアフリー化に補助金を出したり、市役所職員がアイルランドを訪れ、共生社会実現のための具体的な施策や市民の意識の高まりを学んだりしてきた。今回は音楽がキーワードになり、アイルランドの民族音楽と和太鼓の協演が実現。コロナ禍のため、アイルランドと成田市をオンラインで結ぶ形がとられた。

和太鼓グループ〝不動〟のメンバーと、成田市の小泉一成市長(右から2人目)。
日本パラリンピック委員会の河合純一委員長

 コンサートの前には成田市側でシンポジウムも開かれ、広く社会に受け入れられているアイルランドの「障害者スポーツ憲章」の具体例が紹介された。そこでは「openness(一般の人と同じように開かれている)」「people(理解する人がいる)」「activities(参加できるプログラムがある)」「facilities(設備がある)」「promotion(情報発信がある)」といった障害者スポーツの普及の要点が短い言葉で説明されていた。さらに音楽を通じての交流に、パネリストで登場した日本パラリンピック委員会の河合純一委員長は「音楽やスポーツは心で理解することが大事で、こうした先進的な試みに(成田市が)取り組んでいただき、大変ありがたい」と感謝した。

距離を超え心一つに

 イベントの後半はオンラインでの演奏会。アイルランド側からラニーさんが率いる有名ミュージシャンのバンドや、視覚障害がある一家「クラシックハーモニー」による演奏が披露された。さらにアイルランドで日本文化を紹介する団体「Experience Japan」の太鼓チームと、林田さんがプロデュースするユニット「Samurai Music ZI-PANG」の合同演奏が行われた。そして最後は、成田市の知的障害がある子どもたちを中心に今回のプロジェクトのために結成された和太鼓グループ〝不動〟を加えた参加者全員で新曲「PARA Beats Irelandand Narita in harmony」が演奏された。アイルランドの民族楽器で奏でられる美しいメロディーに、和太鼓の勇壮な響きが絶妙に絡まり、言葉がいらない音の世界が展開され日本とヨーロッパの距離を越えて心が一つになった。コロナ禍で入場制限されていた会場が、まるで満員であるかのような興奮と拍手に包まれ、林田さんは涙を浮かべながら感謝の言葉を述べて幕を下ろした。

和太鼓グループ〝不動〟のメンバーと、成田市の小泉一成市長(右から2人目)。
和太鼓グループ〝不動〟のメンバーと、成田市の小泉一成市長(右から2人目)。

素晴らしい演奏に決意新た

 ホストタウンとチームの交流にはさまざまな形があるが、音楽や文化を通じてのイベントにも力強い説得力があった。主催した成田市の小泉一成市長は「本当に素晴らしい演奏だった。今回はネット配信で、より多くの人に見ていただき、アイルランドと成田市の結びつきは一層深まったと思う。今後も成田市は、アイルランドを見習いバリアフリー化の充実を目指し取り組んでいきたい」と決意を新たにした。