SDGs

サステナブルだけでは追い付かない!? “再生”がテーマの「サステナブル・ブランド国際会議」(3)

デジタル印刷で作られた着物。
デジタル印刷で作られた着物。

 「サステナブル」「カーボンニュートラル」「サーキュラーエコノミー」という言葉は、菅政権が誕生して以降、より頻繁に聞かれるようになった。認知度が上がること自体はいいことだが、それほど楽観できる状況ではない。横浜で開催された「サステナブル・ブランド国際会議」では、regeneration(再生)がテーマとなった。あらゆる経済活動で地球への負荷を極力抑えると同時に、これまで破壊された環境をいかに再生させるかが世界中の課題となっている。

 華やかにみえるファッション業界。しかし、“環境の破壊者”ともいわれ、エネルギー産業についで環境に与える負荷は大きい。シーズンごとに変わるファッションのモードだが、作られた洋服が100%購入&着られることはなく、そのまま廃棄されるケースも多い。また、Tシャツやドレスなど、その生産過程ではたくさんの資源が使われている。セイコーエプソンのブースに登場したコレクションはこの流れに一石を投じるものだ。デザインを手がけたのは、アートディレクターの鷺森(さぎもり)アグリ氏。「インクジェットで世界を変える」を合言葉に、サステナブルなファッションを視覚と感覚で訴えるコレクションを披露した。

デザイナーの鷺森アグリ氏。
デザイナーの鷺森アグリ氏。

 このコレクションで使用されているのはデジタル印刷という技術。製版と刷版が不要で作業工程(納期)を短くすることが可能な上、小ロットにも対応するため廃棄ロスを抑えることができる。また、アナログ印刷で必要なインクの調合は不要で、生産過程で使用する水・インクの量を削減することができる。つまり、従来のアナログ印刷と比較すると、環境への負荷を低減できる技術だ。鷺森氏は、「デジタルプリントの表現は無限。表現したいクリエイションを諦めることなく、新しい未来をデザインできる」と話す。

会場を彩った花。ロスフラワーが活用されている。
会場を彩った花。ロスフラワーが活用されている。

 今回の会議では、講演・セッションの内容だけではなく、イベントそのものも環境に配慮した作りになっている。会場を飾った花は、コロナ禍で行き場を失ったロスフラワーを活用したもの。また、パネルやサインなどの備品は可能な限りレンタル品を使用し、それ以外は運営会社が責任を持って100%リサイクルに回しているという。さらに、会場内に設置されたキッチンカーでは、規格外などの理由で通常なら廃棄される野菜を使用(食用としての問題はない)。数量限定で完全ビーガンの「もったいないランチボックス」を来場者に配布した。

「もったいないランチボックス」と、料理を担当したソウダルア氏。
「もったいないランチボックス」と、料理を担当したソウダルア氏。

 環境に配慮した事業を企業各社が進めることも大事だが、消費者である私たち一人ひとりがどの商品を購入するのか、その選択が大きな意味を持つことも忘れないでおこう。