カルチャー

「ワクチンもない。クスリもない。このままじゃ、政治に殺される。」

このままじゃ、政治に殺される。

 時に広告は、新聞記事より雄弁に市民の声を代弁する。ワクチン予約の電話はつながらず、医療現場はひっ迫、度重なる緊急事態宣言に仕事もままならず疲弊しているのに、一方で日本の現状を「さざ波」程度と評価する人もいるし、五輪も開催できると言う。混乱する市民の声を、宝島社(東京)が企業広告で“代弁”した。「このままじゃ、政治に殺される。」と。

 5月11日の朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞の朝刊3紙(全国版)に同時掲載した。新型コロナウイルスのまん延から、すでに一年以上経っても、いまだに出口が見えない今。マスク、手洗い、『3密』を避けるなど、市民の努力にも限界があり、経済は大きな打撃を受け続けている。医療の現場は危険と隣り合わせ。真面目に対応している一人ひとりが、先の見えない不安で押しつぶされそうになっている。この状況を、太平洋戦争末期、幼い女子まで竹やり訓練を強いられた非科学的な戦術に重なり合うと感じる人も多いのではないかと、この企業広告を企画した。

 見開き全30段。赤いコロナウイルスの背景に竹やり訓練の少女たち。「私たちは騙されている」という書き出しが、もう一度冷静にこの事態を議論しなければと思わせてくれる。