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チャーターフライトはなぜ人気? JAL「チャーターDE海外旅行気分を満喫! ~タイ~」でその秘密を探った

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 気軽に海外旅行に出かけられない現在、その代替イベントとして人気を博しているのが、「国内周遊チャーターフライト」だ。飛行機に乗って空港を飛び立ち、日本上空を周遊した後、数時間で元の空港に戻ってくるだけなのだが、募集人数の何倍もの応募があるという。その人気の秘密はどこにあるのだろうか?

 その答を求めて向かったのは、成田空港。日本航空(以下JAL)、タイ国政府観光庁、ジャルパック、成田国際空港(NAA)が5月15日(土)、合同で「チャーターDE海外旅行気分を満喫! ~タイ~」と題したチャーターフライトを実施したのだ。JALは、コロナ禍後だけでも約15回のチャーターフライトを実施しており、海外をモチーフにしたチャーターは、これまでハワイ、シンガポール、台湾などが開催されてきた。その地に行くつもりで楽しもうという疑似海外旅行フライトである。今回の仮想目的地は、多くの観光資源を有し、人気の海外旅行先の一つであるタイだ。

搭乗前イベントの最大の目玉はタイ伝統舞踏ショー

 JALの「チャーターDE海外旅行気分を満喫!」シリーズは、大きく3つの場面に分けてお楽しみが用意されている。搭乗前・機内・降機後だ。今回は、それぞれの場面でどんなお楽しみが用意されていたのかチェックしていこう。

出入国体験ブースでは、タイ国政府観光庁の東京事務所所長がスタンプを押印。
出入国体験ブースでは、タイ国政府観光庁の東京事務所所長がスタンプを押印。

 搭乗前の最初のお楽しみは、出入国体験ブース。国内周遊フライトだから本来は出国・入国の手続きは不要なのだが、参加者には事前にミニチュアパスポートが配られていて、このブースでタイの模擬入国スタンプを押してもらうのだ。しかも、押してくれるのはタイ国政府観光庁の東京事務所所長セークサン・スィープライワン氏らタイ人スタッフだから、タイ入国気分は満点。「つかみはOK!」である。

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タイの雰囲気を醸し出すデコレーションがあちこちに。
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「タイを満喫したいクイズ」のパネル。
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出発前にタイ美人と記念撮影。

 続いて保安検査場を抜けると待ち合いロビーがあり、そこにはタイ旅行の雰囲気を醸し出すデコレーションがあちこちに。「タイを満喫したいクイズ」のパネルや、タイ伝統舞踏

 ダンサーと一緒に記念写真を撮れるフォトスポットもあり、思い思いにタイ気分を盛り上げられる。そのうちに始まったのが、搭乗前イベントの最大の目玉、タイ伝統舞踏ショーだ。

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「バーンラバム タイ舞踏団」が見事な舞いを披露。

 登場したのは日本を拠点に活動する「バーンラバムタイ舞踏団」。メンバーはタイ王立舞踏学校を卒業したタイ人舞踏家たちで、スコータイ王朝やアユタヤ王朝時代から伝承されてきた伝統的なタイ舞踏を、2曲ずつ3ステージ、計6曲も演じるという。音楽が始まると、指先まで神経の行き届いた特徴的な所作と美しい衣装にうっとり。繊細で優雅なタイ北部の踊りから、軽快で楽しい東北タイ民衆の踊りまで、地方によって異なる民族文化を存分に堪能させてくれた。

シントン・ラーピセートパン駐日タイ王国特命全権大使。
シントン・ラーピセートパン駐日タイ王国特命全権大使。

 ステージの合間には、在東京タイ王国大使館シントン・ラーピセートパン駐日タイ王国特命全権大使も登場し、日本語であいさつ。「コロナ禍前は、年間200万人近い日本人の観光客が日本を訪れてくれました。またお互いに行き来できる日が早く来てほしいです。今日は短い時間ですが、五感でタイを楽しんでいただければうれしいです」などと語った。

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今回の便名はJL9999。

定刻の12時が近づき、機内への搭乗が始まった。今回の便名は「JL9999便」だ。実はタイ語で数字の「9」は“ガーウ”と発音し、「前に進む」という意味があり、縁起が良い数字。「ともにこの苦境を乗り越えて、いつか皆さまをタイでお迎えできますことを祈って」この便名になったそうだ。参加者がバスで駐機場に向かうと、タラップの横にはタイ国政府観光庁、JAL、NAAのスタッフがずらり。横断幕を掲げてお見送りの心憎いサービスである。

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タイ国政府観光庁、JAL、NAAのスタッフがお見送り。

機内でのお楽しみは特別機内食と抽選会

 さて、JL9999便はいよいよ離陸。機材は国際線のボーイング767-300ER(A44)だ。この日は、富士山上空を旋回した後、富山~小松~高知~太平洋上空を周遊する飛行経路が予定されていたが、梅雨前線が活発なため、急きょ予定を変更。北へ進路を変え、新潟~岩手~襟裳岬~帯広~千歳~仙台と8の字を描くようなルートになった。あいにく北ルートも雲が多く、地上はあまり見えなかったようだが、通常なら日本各地を空から眺められるのも、チャーターフライトのお楽しみの一つなのだ。

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機内にはタイらしいデコレーションが。(写真提供:日本航空)
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8の字を描くような今回の飛行ルート。(写真提供:日本航空)
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機内食のサービスが始まった。(写真提供:日本航空)
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エコノミークラスの機内食。

 機内でのお楽しみで、最大のイベントは機内食だろう。今回のフライト用に特別に用意されたメニューは、もちろんタイ料理。エコノミークラスでは、ガパオライスをメインに、空心菜の炒め物、海鮮サラダ、マンゴープリンなどが添えられた。ビジネスクラスではそれに数品、追加されているそうだ。どんな味だったかは、文末の搭乗者インタビューをお読みいただきたい。

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抽選会では、当選者の座席番号が読み上げられた(写真提供:日本航空)
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一番豪華な賞は大使が当選者を選び出した。(写真提供:日本航空)
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当選者には引換券が手渡された。(写真提供:日本航空)
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CAさんが持っているのは、タイのマスコット「ハッピーちゃん」の人形。(写真提供:日本航空)

 この日、もう一つの大きな機内イベントとして機内抽選会が実施された。スタッフが箱の中から座席番号の書かれた紙を引き、計18人にミニスピーカーやハンドケアセット、ハッピーちゃん(タイのマスコット)のぬいぐるみなどが当たるのだ。注目は「JALPAK旅行券(タイ旅行用)10万円分」(1人)で、この賞品だけはタイ大使が神妙な顔つきで抽選を行っている。「早くこの旅行券が使ってもらえる日が来ますように!」と祈っていたのかもしれない。

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お見送りの舞いを踊る舞踏団。(写真提供:日本航空)
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出口ではお土産としてギブアウェイを配布。(写真提供:日本航空)
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お土産のバッグの中身。

 約3時間30分のフライトを終えると、JL9999便は成田国際空港に再び戻ってきた。イベントは降機後にも用意されていて、到着ロビーで、まず目にしたのはタイ伝統舞踏ショーの皆さんが演舞する姿。帰宅の途につく参加者を華麗な舞いでお見送りしているのだ。みんなそれを見ながら名残惜しそうに出口へと進んでゆく。出口では模擬出国スタンプをパスポートに押してもらった後、お土産を受け取って解散となった。お土産バッグに入っていたのは、ジャスミン米、ガパオライスの素、ココナッツジュース、象のぬいぐるみ、バゲージタグなど。こんな品もらったら、絶対にタイに行きたくなってしまいそうだ。

飛行機に乗りたい、海外旅行がしたいという強い思い

 今回の参加者は161人(幼児含む)。コロナ感染防止で、家族ごとに1席空けるという対策を取っていたため、座席はフルに埋まってはいなかったのだ。実は募集に対して約4倍の応募があったとのだという。チャーターフライトは、なぜこんなに人気があるのだろうか。参加者に話を聞いてみた。

 「久々に飛行機に乗りたかったということと、海外旅行気分が味わいたかったというのが一番。旅行が好きなんです」と申し込んだ理由を語ってくれたのは、茨城からお嬢さんと参加した篠崎さん。

 地元の成田市から、やはりお嬢さんと参加した松田さんは「海外がテーマのチャーターフライトは一度、抽選に外れて、今回2度目の挑戦で当たりました。もうとても素晴らしかったです。一番良かったのは機内食。タイ料理なので口に合うかなと思ったんですが、全部おいしくて大満足しました」と絶賛する。

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佐倉市から参加した藤波さんご家族。(写真提供:日本航空)

 機内抽選の当選者にもお話をうかがった。「そろそろ子どもを海外旅行に連れていきたいなと思っていたんですが、コロナで行けなくなっちゃったので、せめて飛行機に乗るという経験をさせてやりたいなと思って参加しました」と語るのは千葉県の佐倉市から家族3人で参加した藤波さん。お嬢さんは、「物心ついてからは飛行機に乗ったことがなかったのでうれしかったです。海外旅行に行くみたいでワクワクしました」と語る。奥様は「機内食ではガパオライスが出ると知って、食事からタイの気分が味わえるのを楽しみにしていました。抽選に当たってラッキーでした」と語るが、藤波さん一家は機内抽選でもぬいぐるみとハンドクリームセットが当たったという。なんともラッキーなご家族だ。

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旅行券が当たった江方さんご夫妻は大使と記念撮影。(写真提供:日本航空)

 機内抽選で10万円の旅行券が当たったのは、東京から夫婦で参加した江方さん。「海外旅行になかなか行けないので、ホームページでチャーターフライトのことを知って申し込んでみました。実は新婚旅行がタイだったので、今回のテーマがタイだったのも理由の半分です。参加してみて、非日常的な体験ができたのですごく良かったです。さらに旅行券まで当たってびっくりです」とまだ信じられない様子だった。

 皆さんの言葉の端々からうかがえたのは、本当は海外旅行に行きたかったのだ!という強い気持ちだ。それが実現するまでにはまだ時間がかかりそうだが、その気持ちに少しでも応えようと趣向を凝らしているチャーターフライトが人気なのは当然なのかもしれない。まるで“微笑みの国”タイに本当に行ってきたような皆さんの笑顔が、それを物語っていた。