カルチャー

巨大人形モッコで東北復興をアピール 陸前高田で初披露、オリパラ文化プログラム

巨大なモッコは大型クレーンにつるされる
巨大なモッコは大型クレーンにつるされる

 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会(東京2020組織委)は、大会の文化プログラムの一環として「東北復興」をテーマにした「しあわせをはこぶ旅 モッコが復興を歩む東北からTOKYOへ Presented by ENEOS in いわて」を5月15日、岩手県陸前高田市の高田松原津波復興祈念公園で開催した。披露されたのは、このイベントのために製作された高さ約10メートルの巨大な人形「モッコ」。モッコはこの後、宮城県、福島県を経て被災地からのメッセージを託され、7月17日に東京の新宿御苑で開催されるイベントで、国内外に復興への思いを発信する。

祈念公園内には奇跡の一本松と全壊したユースホステルがある
祈念公園内には奇跡の一本松と全壊したユースホステルがある

さんさ踊りに観客拍手

 モッコは福島県郡山市出身のクリエーティブディレクター、箭内(やない)道彦さんが企画。芸人で作家の又吉直樹さんが創作した物語を聞き、想像を膨らませた被災3県の子どもたちが描いた絵が基になっている。名前は「ひょうきん者」を意味する宮城の方言「おだづもっこ」が由来で、宮城県栗原市出身の脚本家、宮藤(くどう)官九郎さんが名付けた。製作は人形劇師、沢則行さんが指揮を執り、長野県高森町で約100人のボランティアの協力を得て、高森産の竹などを材料に完成させた。

歩くパフォーマンスは迫力十分
歩くパフォーマンスは迫力十分

 当日の陸前高田は、快晴の絶好の日和に恵まれた。大型クレーンにつられた数十本のロープを使って手や足を動かす仕組みのモッコは、クレーンの操縦者を含め19人のスタッフが音楽に合わせて動きを表現した。周囲では15人のパフォーマーが演技。ナレーションは日本語に加え、英語、フランス語でも流され、オリパラでの国際色を意識していた。地元の民謡「盛岡さんさ踊り」の軽快なメロディーが流れると巨大なモッコがゆっくりと動き始め、コロナ対策で距離をあけて座っていた約600人の観客からは自然と拍手が起きた。又吉さんの作った物語を、歌手の石川さゆりさんが朗読する寸劇では、モッコが徐々に手足の動きを速めて、最後は歩く仕草を演じると、そのダイナミックさにひときわ大きな歓声が上がった。

海外メディアも熱心に取材

インタビューに応じた箭内さん(中)と沢さん(左)
インタビューに応じた箭内さん(中)と沢さん(左)

 司会を務めた箭内さんは「予定通りにできなかった部分もあったが、それを補ってあまりあるパフォーマンスだった。陸前高田の光と風、山並みの緑を背景にモッコが歩く姿は感動的。心の復興を世界に伝えるのがモッコの役目で、旅が続く中で大きなメッセージになればいい」と話した。沢さんも「ようやく1回目を迎えられた。みんなが喜んでくれることだけを考えてやっているので、さんさ踊りで(自然と)拍手が起きた時はうれしかった」と満面の笑みを浮かべた。

 今回のプログラムは広く関心を呼び、国内のみならず米国やフランスの通信社、イタリアの雑誌など多くの海外メディアが取材に訪れた。中でも台湾の通信社記者は「海外公演は可能か」と熱心に取材していた。本大会を前に、主催者が求めていた世界へのアピールは早くも手応えがあったようだ。

パートナーのENEOSは聖火リレーのトーチを展示
パートナーのENEOSは聖火リレーのトーチを展示