カルチャー

驚くことばかり、昆虫の生態 栃木の森で学ぶ、養老氏が講師

森を案内する崎野さん。
森を案内する崎野さん。

 殺虫剤など衛生薬品の製造・販売を行うフマキラー株式会社は、栃木県のツインリンクもてぎにある自然体験施設「ハローウッズ」で小学生を対象に開催している「夏のガキ大将の森キャンプ」に協賛し、アルコール除菌剤や虫除け製品を提供しているほか、昆虫好きで知られる解剖学者の養老孟司氏を講師に迎えての昆虫教室の開催など、子どもたちの体験プログラムに寄与している。

アリとアリが生存競争

 このキャンプは、今から20年以上前に北海道然別湖で氷のホテルを設営して話題となった崎野隆一郎さんがリーダーとなり、小学校4年生から6年生の子どもたちが1カ月にわたって自炊の野外生活を送り、自然との共生や仲間との連携を学んでいくのが目的。北海道から九州まで、全国から参加者がある。プログラムの一環として、山野を歩きながら昆虫の生態を観察したり、虫に関する基礎的な知識を学ぶ昆虫教室が8月1日、21人の子どもたちが参加しツインリンク内の森で開かれた。

 2019年に続き養老氏が講師を務めたほか、アリの生態を研究し理学博士号を持つフマキラー社開発本部の佐々木智基さんも先生役に。先導する崎野さんが木を蹴飛ばしてカブトムシを落として見せると、子どもたちにわくわくした気分があふれた。ヒキガエルを見つけた佐々木さんが「蛙を食べにマムシが来るよ」と警告すると子どもたちにさっと緊張が走り、トゲアリがムネアカオオアリを蹴散らしている場面では「トゲアリは自分で巣をつくれないので、ムネアカオオアリの巣を乗っ取るんだ」と解説すると、驚きの表情が広がった。学びながらの散策は時間がたつのも早く、森は澄んだ空気に包まれ、真夏の暑さも忘れさせる。

子どもに説明をする(左から)佐々木さん、養老氏、崎野さん。
子どもに説明をする(左から)佐々木さん、養老氏、崎野さん。

虫の怖さを知る

 森での観察の後は、佐々木さんによる「身近な虫を知ろう」の勉強。蚊が人を刺すのは、タマゴを産むための栄養として人間の血が必要だから、蚊に刺されてかゆくなるのはアレルギー反応が起きるからなど、佐々木さんがやさしく解説。蚊が媒介するデング熱、マラリア、日本脳炎などは、今は海外で罹患する率が高いことなど、大人が知っておくべき内容も多い。佐々木さんは「蚊のことを知る、身近な虫の怖さを知る。これを小さい時から知っておくことが大切です」と、教室の狙いについて話してくれた。

 83歳ながら森を歩き、子どもたちと佐々木さんのやりとりを見守っていた養老氏は「外がどうなっているか、体で感じることが大事です。自然の中に体を置けば、説明は必要ありません。若いころ、休日は一日中、虫捕りをしていました。外に出ることが(さまざまな虫と出会う)昆虫展でした」と、自らの経験を踏まえて昆虫教室の意義を話してくれた。

昆虫や自然と触れ合うことは大切だと語る養老氏。
昆虫や自然と触れ合うことは大切だと語る養老氏。

自然の中で学ぶ

 子どもたちに感想を求めると、埼玉県さいたま市から来た6年生の鈴木沙和子さんは2度目のキャンプ参加で「テント生活も楽しいし友達もすぐできた。トゲアリの話は面白かった」と、目を輝かせて話した。同じく埼玉県久喜市の6年生、仲泰志さんも2度目の参加で「キャンプに参加して早起きになった。カマキリやアリに刺されても痛くないことが分かったし、先生の話は参考になった」という。

キャンプに参加している鈴木さん(左)と仲さん(右)。
キャンプに参加している鈴木さん(左)と仲さん(右)。

 養老氏が指摘するように、自然の中に身を置いて学べば理解は早く、深くなる。
 フマキラー社は、ハローウッズ内で開催される各種イベントを2002年から支援。同社が開催しているフマキッズこども研究所「虫や植物とふれあうコンテスト」で入選した子どもたちのリポートを、敷地内のコーナーに展示している。