カルチャー

奈良県の上質な魅力を東京・新橋で 「奈良まほろば館」が移転リニューアル

「伝えたい 奈良のこだわり」フェアコーナーの前で、古川義富美館長
「伝えたい 奈良のこだわり」フェアコーナーの前で、古川義富美館長

 サラリーマンの街、東京・新橋の洗練された空間で、奈良県の上質な魅力を味わえる――奈良県のブランドショップ「奈良まほろば館」が、JR・地下鉄新橋駅から徒歩3分の場所にオープンした。日本橋で12年間、奈良県の四季折々の上質な魅力を発信してきた同館。日本橋地区の再活溌にともなっての移転リニューアルだ。

■“アンテナショップ”ではなく“ブランドショップ”

 奈良の観光情報を熟知した観光コンシェルジュによるインフォメーションコーナーを常設し、県産品等の販売に加え、奈良の食の魅力を伝えるレストラン「TOKi」を併設。内装やインテリアは、飛鳥・奈良時代に伝わり正倉院宝物にも数多く使用された黒味を帯びた赤色の「蘇方色(すおういろ)」が映えるようこだわった。蘇方色は、奈良県旗にも使われている奈良県のイメージカラーだ。また、県産材や県内工房の作品たちが、上質で洗練された雰囲気に作り上げている。1階の入り口脇には8K・120インチの大型モニターを2つ設置し、奈良の四季を伝える迫力ある動画を流す。

 1階ショップに並ぶのは、“厳選した上質な”奈良の特産品や伝統工芸品など。アンテナショップではなく“ブランドショップ”と銘打ったのには、「奈良の上質なものをより良い暮らしのために提供したい」(奈良県観光局・谷口さくらさん)というコンセプトに基づく。奈良県産の木材を使った曲げわっぱ(弁当箱に使われることが多い円筒形の木製の箱)や箸、コースター、ボウルや茶わん、ティーセットなどは、身近に取り入れやすいアイテム。奈良県ゆかりの「菩薩半跏像」や「阿修羅像」のミニチュア版も。石にさまざまな動物の表情を描く「石ころアート」といった現代アートも目を引く。奈良の鹿や柿の葉寿司、聖徳太子などをデザインしたカラフルなマスキングテープやふせん・シール・ノートなどが並ぶ文具コーナーも、ワクワクする気持ちを高めてくれる。

奈良県産の木材を使った曲げわっぱなどの食器も魅力的
奈良県産の木材を使った曲げわっぱなどの食器も魅力的
菩薩半跏像と般若心経扇子
菩薩半跏像と般若心経扇子
奈良の現代アート「石ころアート」
奈良の現代アート「石ころアート」
奈良ゆかりのデザインの文具コーナー
奈良ゆかりのデザインの文具コーナー

 1階ショップでは9月5日まで、「伝えたい 奈良のこだわり」フェアを開催。まだ県外ではあまり流通していない魅力あふれる奈良の食品を県庁バイヤーが発掘、紹介し、首都圏への販路拡大を目指すテストマーケティングの場。有機・自然栽培を実践する「月ヶ瀬健康茶園」の茶葉、できる限り農薬を使わずに自家栽培した野菜を使った「confiture cotocoto」のジャム、ソース、ドレッシングのほか、クラフトコーラ「大和コーラ」(曽禰村観光振興公社)、奈良県産のいちごを使ったスパークリングワイン「古都のあわ」(泉屋・奈良市)などが並ぶ。商品の入れ替えも行っていくという。

 2階の大小2つのイベントスペースでは、奈良の歴史や文化にまつわる講座やワークショップ、奈良の食文化を感じられるイベントなどを開催していく予定だ。

「伝えたい 奈良のこだわり」フェアコーナーの前で、古川義富美館長
「伝えたい 奈良のこだわり」フェアコーナーの前で、古川義富美館長

■リニューアルで新設、こだわり抜かれたRestaurant & Bar

 2階のRestaurant & Bar「TOKi」も、内装やインテリアにとことんこだわった。インテリアは料理が映えるモノトーンで統一し、テーブルの天板や装飾飾り、壁面などに吉野ひのきを使用。1階とは異なる「武骨な雰囲気」(オーナー・川島宙さん)の県産材の表情を感じることができる。バルのハイチェアの背もたれからアームにかけての美しい曲線は、県産材を薄く圧縮して加工。個室の壁には、奈良産の墨を練り込んだ和紙を張り、落ち着いた空間を演出。同県の伝統工芸である赤膚焼の器の底には、奈良由来のほっこりする絵柄が描かれている。料理を味わった後に現れる縁起の良い絵柄に癒やされる、オーナーの粋な心遣いが伝わってくる。

Restaurant & Bar「TOKi」の個室
Restaurant & Bar「TOKi」の個室

 料理は、奈良の生産者と連携して季節の素材をふんだんに使用した、奈良の“今”と“歴史”が感じられるメニューを構成。バルエリアでは一皿ずつ、レストランではコースで、各国のワインや奈良の地酒、季節の果物を使った飲み物とともに提供する。8月18日オープン予定で、当面、ランチタイムのみの営業となる。

奈良県由来の絵柄が底に描かれた赤膚焼の器
奈良県由来の絵柄が底に描かれた赤膚焼の器

■奈良県吉野町出身のゆりやんレトリィバァさんも応援!

 オープンに先立って行われた記者発表会では、「奈良県が生んだスーパースター」として同県吉野町生まれのお笑い芸人・ゆりやんレトリィバァさんが、奈良県マスコットキャラクター・せんとくんと一緒に登場。大学時代まで過ごした奈良県の思い出を交えたトークを展開し、同館のスタートを盛り上げた。幼少期に地元の川で遊んだことや、高校時代の列車通学の思い出、列車の屋根や連結部に積もる吉野桜の花びらの美しさなどを懐かしそうに語ったゆりやんさん。台風災害復旧作業時に、69歳の父親が“若い衆”として招集されたり、かつては6校あった地元の小学校が1校しかなくなってしまったりなどの少子高齢化・人口減少などの実態にも触れた。「奈良、大好き」とつぶやき、「(地元情報の発信が)どんどん盛り上がってほしい」とエールを送った。

奈良県への思いを語ったゆりやんレトリィバァさん(左)さんと、同県マスコットキャラクターのせんとくん
奈良県への思いを語ったゆりやんレトリィバァさん(左)さんと、同県マスコットキャラクターのせんとくん

 東京の緊急事態宣言下が続く中、8月中に予定していた同館でのイベントはすべて中止や延期に。そんな中、コロナ禍だからなお一層、奈良のこだわりや魅力を多くの人が身近に感じ、「いずれ奈良に行きたい!」と思ってほしいと運営チームは期待を込める。古川義富美館長は「移転前のファンの方々に加え、新しい方々にもどんどん来ていただき、館内を満喫していただければ」と話した。

【奈良まほろば館】

■所在地 東京都港区新橋1-8-4(JR・地下鉄新橋駅から徒歩約3分)