SDGs

【この人に聞く!】ペットボトルの完全リサイクルを! 世界をリードする日本環境設計の高尾正樹さん(3)

イメージ
イメージ

 日本のペットボトル回収率とリサイクル率は世界の中でもトップクラス。しかしその日本でさえ、ペットボトルからペットボトルへと生まれ変わっているボトルはたったの10%。プラスチックの原料としてはさまざまな形で再利用されているが、新しいペットボトルを作る際は石油に依存しているのが現状だ。そのような中、「ボトルtoボトル」の普及を目指しているのが川崎市にある「日本環境設計」(社長・高尾正樹氏)。最終回の今回は、「ボトルtoボトル」の現状や課題について紹介する。

リサイクルの中でも独自の「ケミカルリサイクル」

 ひとくくりにリサイクルといっても、その方法や必要な技術は大きく異なる。日本で現在、プラスチック廃棄物の処理方法として大きな割合を占めるのは「熱回収」。ゴミを焼却した際に出る熱を回収して利用する方法だが、プラスチックそのものはリサイクルされていない。プラスチックを何らかのプラスチック原料に使用するのが「マテリアルリサイクル」。マテリアルリサイクルされたプラスチックは、再生樹脂として海外に輸出されるものが多い。そして日本環境設計がこだわるのは、ペットボトルを化学分解して不純物を除去する「ケミカルリサイクル」。ペットボトルのリサイクルでは、汚れ・色・異物を取り除くことが大きな課題となるが、同社では「BRING Technology」という独自のケミカルリサイクル技術によって、石油から作られた新品のペットボトルと同品質のペットボトルを、使用済みペットボトルから生産することができる。

リサイクルPET樹脂の原料
リサイクルPET樹脂の原料

毎分100万本が売れるペットボトル

 日本で年間、どのくらいのペットボトルが消費されているかご存知だろうか。その数は約250億本。そして世界では、毎分100万本のペットボトルが販売されているともいわれている。どちらも数字が大きすぎてピンとこないかもしれないが、相当な数・量のプラスチックと石油が使われているのが実態だ。とはいえ、ペットボトルの使用をすぐになくすのは現実的ではない。そこで注目したいのが日本環境設計の技術・BRING Technology。BRING Technologyを使えば、石油の使用量と廃棄されるペットボトルの量を削減し、すでにあるペットボトルから飲料用ペットボトルを繰り返し作ることが可能だ。ただし、川崎工場(同社のグループ会社「ペットリファインテクノロジー」)が生産できるリサイクルPET樹脂は年間約11億本分。多いように思うかもしれないが、国内で流通しているペットボトルの5%にも満たない量だ。ペットボトルリサイクルは、日本環境設計一社だけが頑張ったとしても不十分。メーカー各社、自治体、市民一人一人がペットボトルおよびプラスチックの「ライフサイクル」についてもっと考える必要がある。

山積みされた原料の袋(川崎工場)。
山積みされた原料の袋(川崎工場)。

 「会社を創業して以降、一番辛かったのはリサイクルという考えになかなか賛同が得られなかったこと。何度も挫折しそうになったが、応援してくれる人がいてモチベーションを維持できた。現在、ボトルからボトルに生まれ変わっているペットボトルは12%。服(のリサイクル率)はもっと低く0.001%。作り過ぎなのが一番の問題だが、少しでも循環率が上がるようこれからも取り組んでいきたい」(高尾社長)。

回収されたペットボトルは、約10の工程を経て飲料用のペットボトルとして生まれ変わる。
回収されたペットボトルは、約10の工程を経て飲料用のペットボトルとして生まれ変わる。

【高尾正樹(たかお・まさき)】

 1980年生まれ。2000年、東京工業大学工学部(化学工学)に入学。同大卒業後、東京大学大学院で技術経営を専攻。2007年1月、岩元美智彦会長とともに日本環境設計を設立。綿を糖化してバイオエタノールにリサイクルする技術開発など、リサイクル事業の技術開発を担う。2014年、ポリエステルリサイクルの技術開発に着手。2015年、ポリエステル技術を導入した北九州響灘工場の建設に従事。2016年に代表取締役社長に就任。パートナーとの資本提携のほか、ペットリファインテクノロジーの企業買収を主導した。