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川崎汽船の脱炭素資金にみずほ銀行などが融資 金融機関が環境重視企業に金利優遇で支援

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 脱炭素社会の実現に向けて企業がさまざまな取り組みを加速する中、金融機関の支援が活発化している。海運大手・川崎汽船(東京)はこのほど、脱炭素化を達成するための資金調達について、みずほ銀行(東京)などと達成状況に応じて金利が変動する借り入れ契約を結んだ、と発表した。

 「トランジション・リンク・ローン」という枠組みで、脱炭素化に向けた段階的取り組み「移行(トランジション)」に対して金利などを優遇する融資だ。川崎汽船は今年3月にも環境対応の液化天然ガス(LNG)燃料自動車船を造るための資金として、使い道が決まっている「クライメート・トランジションローン」と呼ばれる融資の枠組みを使った資金調達を実施した。

 今回の融資の枠組みは使途を限定しないのが特徴で、約1,100億円を調達し環境関連投資に充てる計画。川崎汽船は「使途特定型と使途不特定型の両方を活用するのは国内初」と公表。みずほ銀行は今回の融資について「規模としても国内最大」としている。

 融資は、みずほ銀行のほか日本政策投資銀行、三井住友信託銀行、各地の地方銀行などが協調して実施。金利を低く設定し、温室効果ガスの総排出量などの目標を達成できなければ上がる仕組みで、毎年、第三者機関に排出量などをチェックしてもらい、金融機関に報告するという。

 地球温暖化の影響で気候変動への対応が世界的な課題になる中、日本は菅義偉前首相が温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を2050年までに実現すると宣言。岸田文雄首相は10月8日の所信表明演説で「温暖化対策を成長につなげるクリーンエネルギー戦略を策定する」と強調した。

 こうした流れを受け、企業が使用電力を再生可能エネルギーへの切り替えを進めたり、環境や社会問題への取り組みを重視する企業へ投資する「ESG(環境・社会・企業統治)投資」が広がったり、環境を巡る動きが活発化している。

 金融界も同様だ。今年5月に経済産業省、環境省、金融庁が脱炭素化に金融面から支援する基本指針を公表。日本格付研究所(JCR、東京)は、今回の川崎汽船への融資が政府指針に一致しているとの評価を与えた。日銀も金融機関の環境対応融資を支援するため、脱炭素化につながる投融資を手掛ける銀行などに対し、通常より有利な条件で貸し出す運用を年内に始める予定だ。