社会

「デジタル変革パートナー」に フィリップスが22年事業戦略発表

 2022年の事業戦略を発表するフィリップス・ジャパンの堤浩幸社長。
2022年の事業戦略を発表するフィリップス・ジャパンの堤浩幸社長。

 フィリップス・ジャパン(東京)は12月8日、2022年の事業戦略発表会を東京都内で開き、堤浩幸社長は「デジタル変革パートナーを目指して!」を掲げ、実現のために必要な①デジタル変革(DX)を推進する統合データ②ヘルスインフォマティクス・ランドスケープ(健康情報科学の全体展望)③戦略的フォーカス領域――を強調した。

 堤氏は、ヘルステックカンパニーとして、製品の供給と保守で「信頼されるサプライヤー」の段階、製品やサービスを通じて顧客の期待する価値を提供する「戦略的ベンダー」の段階を経て、価値を拡大し新たな生活を支える「変革の知と実行の戦略パートナー」を目指す、と表明した。デジタル技術による変革と生み出される価値は、30年のSDGs達成に向けた重要な鍵と位置付けた上で、DXにより30年には外来患者の遠隔診療率は40%に達し、年間の患者データ量は50%以上増加する、などと例示。収益の25%を循環型ビジネスで実現する取り組みとして、メーカーが整備・再生し新製品より15~20%安くしたリファービッシュ製品や、MRIのアップグレードを定額で行う保守プログラムを挙げた。

日本発イノベーション

 同社の戦略テーマは18年「つなぐ」、19年「ヘルスケアへのデジタル化」、20年「つなぎ目のないデータ連携」、21年「ヘルスケア・医療資源の分散化」だった。堤氏はこれらのテーマを具体化する活動を振り返り、パートナー企業とのエコシステムの構築継続、日本発のイノベーション開発、M&Aを含む戦略的投資による事業拡大に加え、企業文化の強化(新たな価値観・行動指針)と多様性、持続可能な循環型社会の実現に取り組んできたと紹介。「すべてを組み合わせたものが22年の戦略」とした。

 日本発のイノベーション開発としては、東北大と7年間の戦略的研究契約を締結し、共同プロジェクトの第1弾に「麻酔科医の遠隔教育」と「慢性心不全病態のAIデータ解析」を採択したと発表した。堤氏は「東北大としか実現できないユニークでインパクトのある取り組みを展開したい」とし、東北大病院の冨永悌二病院長は「得られた知見が世界の医療現場における課題の解決に役立つよう取り組みたい」とのコメントを寄せた。

 さらに戦略的投資の例として、ロイヤルフィリップス(オランダ)がインテグリティ・ヘルスケア(東京)と資本業務提携したことも明らかにした。両社は、在宅呼吸ケアに関わる医療従事者と患者をつなぎ、遠隔モニタリングとオンライン診療をサポートする「eHomeCare呼吸管理プログラム」を共同開発している。資本提携により、コロナ禍で在宅診療を希望する患者や通院が困難な地域の高齢者など、多様なニーズに迅速に対応。22年には、睡眠時無呼吸、心不全、抗がん剤服薬の三つの管理プログラムを追加した「統合版eHomeCare」を展開する予定という。

3段階でDX実現へ

 堤氏は「病気予防を強化するためにソリューションを提供し、データを取って示すことで健康になる方向をお手伝いしたい」として、病院や医療従事者が持つ患者データを統合する重要性を指摘。データ統合の基盤となるヘルスインフォマティクスの展望を示した。

 その実現に向けた道筋として、アナログ情報をデジタル化する「デジタイゼーション」、部門全体をデジタル化しプロセスを最適化する「デジタライゼーション」、仕上げとして病院を含むケアシステム全体をデジタル技術で連携・統合する「DX」のステップを提示した。

 戦略的フォーカス領域としては①患者、消費者を中心に据え、あらゆるベンダーとの統合・連携を実現するマルチベンダーポジティブを実現するソリューションの強化②リアルタイムで攻撃を監視するグローバルなサイバーセキュリティー③遠隔診療・モニタリングの拡大④ワークフローを統合し、より安定した画像診断・検査を実現するAI搭載「Smart Imaging System」⑤19年に仙台市にオープンした研究開発拠点「Co-Creation Center」の機能強化-を挙げた。

 フィリップス・ジャパンの堤浩幸社長。
フィリップス・ジャパンの堤浩幸社長。