カルチャー

ヘッドコーチに元日本代表、菊谷崇氏 日大ラグビー部、高いステージへ夢託す

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 創部100年目の2028年に大学日本一を目指す日大ラグビー部は、3月から元日本代表の主将、菊谷崇(きくたに・たかし)氏がヘッドコーチとして指揮を執る。日大ほどの伝統校が、OB以外(菊谷氏は大阪体育大卒)のプロコーチにチームを託すのは「トップを狙うには、あと1段高いステージに進む必要がある」(中野克己監督)と決断したためだ。日大ラグビー部の本気度がうかがえる。

選手に主体的行動求める

 就任が発表された2月24日の会見には、多数の報道陣が詰めかけた。菊谷氏は42歳。「大勢集まっていただき驚いている」と謙遜したが、菊谷氏ほどの大物が采配をふるうとなれば、注目度は高い。菊谷氏は187センチの大型FWで、奈良の御所工高(現・御所実)から大体大を経て、トヨタ自動車、キヤノンに所属。本場イングランドのサラセンズでプレーしたこともある。2005年に日本代表に選ばれた後、08年からは主将を務めた。11年のワールドカップ(W杯)に出場するなど代表キャップは68を数える。現在はラグビー、アイスホッケー、ランニング、野球の選手養成、コーチ育成を目指した「ブリング・アップ・アスレティック・ソサエティー」の代表を務めている。

 既に何人かの部員と面談をしたという菊谷氏は「彼らが主体的に行動できるように、メリハリを付けて指導したい。練習量は増えるが、休みも取る。その時に何が不足しているか、自分で考え自主的に取り組んでほしい」と話した。量が増えると簡単に説明したが、

 実際は「地獄を味わってもらう」という意味だ。ここ3年のリーグ戦で日大は2位、3位ときて、昨年は東海大との引き分けを含み無敗の2位と、着実に力をつけている。大学選手権も、準々決勝で京産大にわずか1点差で敗れた。しかし、菊谷氏は「あと1点差だが、この差を埋めるのは簡単ではない」と力を込める。

新ヘッドコーチの菊谷崇氏。
新ヘッドコーチの菊谷崇氏。

新しい血の導入で変化期待

 具体的には選手たちと話し合い「彼らが望むラグビーを探していく」そうだが、解説者として日大の試合を見た感想として「例えばラインアウトからモールと、プレーの選択が一つだけという場面が目立った。選択肢を広げたい」という。いわば「ラグビーIQ」を高めるのが狙い。長い間、低迷が続いた日大には、高校時代に大活躍した有名選手は少ない。埋もれた原石を見つけ、磨いて、今のチームをつくり上げてきた。ただ、大学選手権の準決勝、決勝のレベルになれば、選手一人一人の力量だけでなく、瞬時のプレー判断が勝敗に直結する。トップクラスのせめぎ合いを数多く経験してきた菊谷氏が、それをどう伝えていくか。

 伝統校ほどOBを中心に人材を求めがちだが、この人事を進めた日大OBの中野監督は「監督として6年務めたが、第1ステージは終わった。大きな壁を越えるには、新しい血の導入が必要だ。何が起きるか楽しみ」と、菊谷氏へのサポートを約束した。

トンガへの支援を

 また、この会見では1月15日に起きた海底火山の噴火による津波で被害を受けた、南太平洋のトンガ王国に対する支援を求めた。日大ラグビー部からは過去8人のトンガ出身選手が卒業、現在もFWテビタ・オトら2人が在籍している。

 代表してオトは「トンガではみんな大変です。応援をお願いします」と寄付や援助を訴えた。

トンガ出身のテビタ・オト。
トンガ出身のテビタ・オト。

 現金の寄付は「ゆうちょ銀行 記号10960 番号07111621 口座名 日本大学ラグビー部」で。問い合わせは「nurfc.tonga2022@gmail.com」まで。