SDGs

“エシカルな社会”の実現のために 知恵と事例が詰まった初の『エシカル白書』

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 「脱炭素」「フードロス」「ESG投資」。
 いずれも最近よく聞くキーワードだが、あなたはそれぞれについてどれくらい詳しく知っている? エシカルな生活やエシカル消費は、国連が定めるSDGs(持続可能な開発目標)を達成するためにも必要な取り組み。子どもが学校でエシカル消費やSDGsについて習った後、家庭で話題にすることが増えた、という人もいるかもしれない。とはいえ、ゼロウェイスト・海洋プラスチックゴミ・児童労働・アニマルウェルフェア・地球温暖化など、エシカルが対象とする分野は幅が広く、多い。「何となくしか理解していない…」という人も多いだろう。そこでおすすめするのが、一般社団法人「エシカル協会」(東京)が出版した『エシカル白書2022~2023』(山川出版社)。最近の動向を、データや先進事例とともに詳しく紹介している。

 同書の巻頭対談を飾っているのは、エシカル協会の代表理事である末吉里花氏と、NHKでテレビ番組「クローズアップ現代」などを担当し、現在は東京芸術大学の理事などを務める、ジャーナリストの国谷裕子氏。国谷氏は、新型コロナウイルスによる世界的な感染症のまん延は「不意打ちではなかった」と言及。温暖化対策については、「大きな変革が求められている」と危機感を表明し、10年・30年先の“遠い危機”を「身近なもの」にする必要性を指摘した。

 同書で詳細に解説している社会課題は、「脱炭素」「海洋プラスチック」「フードロス」「児童労働・強制労働」の4つ。そのほか、国連が2021年7月に発表した「The Sustainable Development Goals Report 2021」(持続可能な開発目標報告2021)について読み解いているほか、エシカル協会が実施した「エシカル消費」に関する消費者アンケートを掲載。国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の第6次評価報告書に関しても、専門家の見解・解説を載せている。

 さらに、日本や海外(スウェーデン、アメリカなど)の先進事例を知ることができる点も特徴だが、注目したいのは現役の中学生がコラムを担当している点。エシカルな生き方や持続可能な地球については、SDGsが目標とする2030年に社会人となる中学生やZ世代を含めた議論や取り組みが欠かせない。

 近年は自然があまりない大都市圏でも、大雨・熱波・大型の台風などに遭遇することが増えた。一人一人に何ができるか、何をすべきかを、『エシカル白書』とともに考え直してみてはいかがだろうか。

『エシカル白書』(価格・税込み2,970円)

第1章:エシカル白書2022-2023巻頭対談

第2章:エシカル消費を通じて今考えるべき社会課題

第3章:国連The Sustainable Development Goals Report 2021の読み解き

第4章:日本におけるエシカル消費動向調査

第5章:エシカル先進事例の紹介

第6章:エシカルな世の中をつくるための全世代会議

巻末特集:写真で見る気候変動