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ウクライナ侵攻で再び注目 高石ともや、徴兵拒否の反戦歌

半世紀ぶりに反戦歌が注目されている高石ともや(高石ともや事務所提供)。
半世紀ぶりに反戦歌が注目されている高石ともや(高石ともや事務所提供)。

 「想い出の赤いヤッケ」や「受験生ブルース」で知られる日本のフォークソングの草分け、高石ともやが、1967年から歌い続けている反戦歌「拝啓大統領殿」が、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、再び注目を集めている。歌詞が、まるでロシアのプーチン大統領に向けているようだと話題になり、YouTubeなどで聞く人が増えた。発表当時は、ベトナム反戦集会などで歌っていた。半世紀が経過し、世界情勢の激変で再びこの歌の出番が回ってきた。「人々の集まりで歌うフォークシンガーは天から与えられた仕事」という高石は80歳の今、平和を願い夏のコンサートに臨む。

 1950年代半ばにフランスの作家ボリス・ヴィアンが作詞し自ら歌ったシャンソン「脱走兵」が原曲。フランスでは当時の社会状況などから放送禁止になり、国内では幻の歌になった。その後、ベトナム戦争の反戦歌に姿を変えて世界中で歌われ、日本でも何人かの歌手がカバーした。高石は自ら訳詞した。大統領宛ての手紙の形式で「徴兵カードをもらったが、戦いたくない、殺したくないので自分は逃げる」という内容だ。

 全曲を聴くと、現代のロシア軍の兵士がプーチン大統領に向かって語っているかのようにも受け取れる。平和を希求する人の思いは、時代も地域も越えて不変ということなのだろう。今年2月にロシアによるウクライナ侵攻が始まった直後から、すでにFMラジオなどで何回か流れた。歌詞に「世界中のすべての兄弟に言って歩こう」という一節がある。この言葉通り「ギターを弾き、全国を歌い歩くのが僕の仕事」という高石は、祈りを込め歌う。

 コンサートは、6月5日に京都(永運院)、18日に大阪(大阪市立青少年センター)、7月1日に東京(サンポップマチヤ・ムーブホール)で開かれる。