カルチャー

10連覇の渡辺棋王、就位式で連覇継続への意欲示す 各界からお祝いのメッセージも続々

ロコ・ソラーレメンバーの寄せ書きを手に笑みがこぼれる渡辺棋王。
ロコ・ソラーレメンバーの寄せ書きを手に笑みがこぼれる渡辺棋王。

 将棋の棋王10連覇を達成した渡辺明棋王(38)の第47期棋王就位式が5月30日、東京都内のホテルで開かれた。お祝いに駆けつけた約100人を前に、渡辺棋王は「連覇の記録を1つでも多く伸ばせるよう頑張りたい」と連覇継続への意欲を示した。
 ことし3月、渡辺棋王は永瀬拓矢王座(29)の挑戦を3勝1敗で退け、棋王の連覇記録を2桁の大台に乗せた。棋王の10連覇は羽生善治九段(51)の12連覇に次ぐ記録。
 渡辺棋王は謝辞の中で「競った将棋が多かった。中でも第1局と第4局はどっちが勝つか分からない内容だった。その際どい戦いを勝ったのが棋王防衛につながった」と厳しい対局を振り返った。また「10連覇の間、良い時も悪い時もあった。無冠になるかもしれない状況もあったが、棋王の支えで巻き返すことができた。愛着あるタイトルだ」と話した。
 この日の就位式は、10連覇の偉業達成に関係者から熱の込もったお祝いメッセージが続いた。

あいさつする静岡新聞社の大須賀紳晃社長(左)。
あいさつする静岡新聞社の大須賀紳晃社長(左)。

 棋王戦主催者としてあいさつした共同通信社の三土正司社長と静岡新聞社の大須賀紳晃社長は、「AI(人工知能)などで将棋の戦術が変化する中での10連覇は並外れた記録」(三土氏)、「この偉業は歴史に深く刻まれる」(大須賀氏)とそれぞれ最大級の表現で渡辺棋王をたたえた。日本将棋連盟の佐藤康光会長は「将棋界のタイトル戦10連覇は3人目。大変な偉業だ。これからも一つ一つ記録を積み重ねて将棋界を引っ張ってほしい」と期待した。

お祝いに駆けつけたサバンナの高橋茂雄さん(左)。
お祝いに駆けつけたサバンナの高橋茂雄さん(左)。

 渡辺棋王と親交のある将棋好きお笑い芸人、サバンナの高橋茂雄さんは「タイトルを10年間保持するのは本当にすごいこと。スギちゃんの“ワイルドだろう”がはやったころから、タイトルを保持されている渡辺棋王こそ、本当のワイルドな方だ」と芸人らしい祝辞で会場を沸かせた。
 プロ野球ヤクルトファンの渡辺棋王を驚かす“サプライズ”としてヤクルトのマスコットキャラクター「つば九郎」から神宮球場の年間ペアシートが贈られた。ヤクルトの高津臣吾監督もお祝いのビデオメッセージを寄せた。

つば九郎(左)からプレゼントを贈られる渡辺棋王。
つば九郎(左)からプレゼントを贈られる渡辺棋王。

 面識のある北京冬季五輪カーリング女子銀メダリストのロコ・ソラーレメンバー直筆のお祝いの寄せ書きも届き、「思ってもみなかったことばかり」と渡辺棋王を喜ばせた。
 花束贈呈役の女流棋士、本田小百合三段は、渡辺棋王の大ファンである長男悠生君(6)を伴って登場。「渡辺先生、かっこいい」と悠生君が元気にあいさつすると、渡辺棋王は照れながら笑みを見せた。