カルチャー

サントリーが9月に日本ワイン新ブランド投入 ワイナリーのこだわり強化した「FROM FARM」

日本ワインの新ブランド「SUNTORY FROM FARM」。
日本ワインの新ブランド「SUNTORY FROM FARM」。

 かつてワインといえばフランスやイタリア、カリフォルニア産などを飲むことが多かったが、近年ジャパニーズワインが国内外で評価され、今や日本のワインへの偏見はなくなったようだ。それでも輸入ワインを含めた国内ワイン市場で日本ワインが占めるシェアは5%未満だという。

 サントリーグループでワイン事業を手掛けるサントリーワインインターナショナル(東京)は6月8日、都内で「2022年日本ワイン戦略説明会」を開催。今年の事業方針のひとつに「日本ワイン 大刷新」を掲げて、新ブランド「SUNTORY FROM FARM(サントリーフロムファーム)」を立ち上げ、9月から新商品を投入することを明らかにした。

サントリー登美の丘ワイナリーのブドウ畑。
サントリー登美の丘ワイナリーのブドウ畑。

 1899(明治32)年に「鳥井商店」を設立し、日本に洋酒文化を広げたサントリーは、ウイスキーのイメージが強いが、実はぶどう酒造りからスタートしている。現在、ワイン造りの中心になっている「サントリー登美の丘ワイナリー」(山梨県甲斐市)は1909(明治42)年に開園し、100年を超える歴史を持つ。

 サントリーによると、輸入ワインの消費が圧倒的に多いものの、国内のワイナリー数がここ5年で約150増えたこともあり、日本ワインの出荷量は10年間で約1.5倍になったという。

「ワイナリーには物語がある」と話すサントリーワインインターナショナルの吉雄敬子社長。
「ワイナリーには物語がある」と話すサントリーワインインターナショナルの吉雄敬子社長。

 日本ワインの魅力について、登壇した吉雄敬子サントリーワインインターナショナル社長は「地産地消」「日本食」「つくり手の思い」を挙げた。日本の産地で採れるブドウを使ったワインの親近感・安心感に加え、だからこそ日本の食卓に合うワインだと説明。さらに重要なのは「つくり手の技術や思いへの共感だ」と強調した。吉雄社長は「ワインを工場で造っていると思われているが、ワイナリーで日本の自然や風土、畑と向き合い、時間をかけて造り上げている」と話した。

 同社はワイナリーの魅力を伝えようと、登美の丘ワイナリーに自然の中でワインを味わう「ワインテラス」を設置したり、熟成を体感できる「樽(たる)熟庫」を改修したり約5億円をかけてリニューアル、9月9日にオープンする。

「SUNTORY FROM FARM」のシンボルシリーズ。
「SUNTORY FROM FARM」のシンボルシリーズ。

 また、日本ワインの新ブランド「SUNTORY FROM FARM」は、9月6日から4シリーズ19品目を投入する。日本固有のブドウ品種・甲州とマスカット・ベーリーAを使った「品種シリーズ」、青森や山形、長野のテロワール(産地)の違いをそろえた「テロワールシリーズ」、登美の丘と塩尻ワイナリー(長野県塩尻市)で造った「ワイナリーシリーズ」、厳選された畑のブドウを使い“日本の最高峰”と位置付ける「シンボルシリーズ」だ。

「世界を感動させるワインを造りたい」と話すサントリー登美の丘ワイナリーの庄内文雄所長。
「世界を感動させるワインを造りたい」と話すサントリー登美の丘ワイナリーの庄内文雄所長。

 説明会にはサントリー登美の丘ワイナリーの庄内文雄所長も登壇し、最近の気候変動や農家の高齢化といった課題に対応する「持続可能な日本ワイン造り」に取り組んでいることを説明した。国内ワイン市場で5%未満という日本ワインの中で、さらにサントリーが占めるシェアは5%未満だという。吉雄社長は「日本ワインはまだまだ伸びる。サントリーが伸ばすことで市場を拡大していきたい」と意欲を示した。

(説明なし)