カルチャー

かばんの「エース」からセルフケアブランド誕生 女性をサポートする「pace」

 

 「エース」(東京)といえば、ビジネスパーソンを中心に人気があるかばんメーカー。通勤・通学でエースのかばんを愛用しているという人も多いかもしれない。そのエースから5月、女性をサポートするセルフケアブランド「pace」が誕生した。「かばんメーカーがなぜセルフケア商品を?」と思った人もいるだろう。企画開発した同社の市川美樹さんにその意図などをうかがった。

かばんメーカー「エース」から誕生したセルフケアブランド「pace」のブレンドティー3種類。
かばんメーカー「エース」から誕生したセルフケアブランド「pace」のブレンドティー3種類。

――これまで海外のブランドを含め、かばんが主力商品であったエース。今回、女性のセルフケアに特化したブランド「pace」が誕生した経緯は?

市川 社内で、企業ドメインに関係なく、新規事業のためのアイデア募集があった。エースは、“人の移動をサポートする”を企業ドメインにしていて、エースがやるのであれば、私は“移動”に絡めた方がいいと考えた。そこで、自分の中で移動(の意味)を解釈し直したところ、人の人生がそもそも旅路、そして移動だと(いう答えに)。人生を移動していく中で何が困るかと考えた時、私は女性のバイオリズムが自分の道(人生)の上の小さな石になっていると思った。石があることによって、障がいになっている訳ではないが、ちょっと歩きにくいといったことが体調によってあり、石をよけて生活しやすくすることが移動のサポートにもなると考えた。

「pace」のコンセプトは、“どんなときもあなたのそばにいられるセルフケアブランド”。
「pace」のコンセプトは、“どんなときもあなたのそばにいられるセルフケアブランド”。

――「pace」のラインアップは、吸水サニタリーショーツ・和漢ブレンドティー・CBDオイル・デリケートケアミストとなっている。これらの商品ラインを選んだ理由は?

市川 最初は吸水ショーツだけだった。自分が使い始めて生活が結構変わったなーというのがあったので。ただ、事業を進めていく中で、トータルサポートの方がいいと考えるようになり、(社内の)女性社員にアンケートなどをした。「実際にどういった(セルフ)ケアをしているか」「自分がやるならどんなケアがしたいか」と。その中で、漢方に興味がある、お茶で体を温めているといった意見が多く、そのような意見を抽出してピックアップしていった。

使いやすいインスタントタイプになっている「和漢ブレンドティー」(3種類、1箱15スティック入りで、それぞれ税込み1,800円)。
使いやすいインスタントタイプになっている「和漢ブレンドティー」(3種類、1箱15スティック入りで、それぞれ税込み1,800円)。

――和漢ブレンドティーの詳細を教えてください。

市川 ベースのお茶は、緑茶・ルイボスティー・ジャスミン茶の3種類になっていて、そのインスタントティーに和漢植物のエキスを入れている。社内アンケートで上位にあった(悩み)が、冷え・生理前の肌あれ・更年期のホットフラッシュなど。これらの悩みをピックアップして、台湾の漢方製薬メーカー「台湾順天堂製薬」(日本支社)に処方をお願いした。
 ジャスミンベースの「解(ほぐす)-すっきりと気持ちを解す時間をあなたへ-」は、イライラを落ち着かせたり、のぼせをクールダウンさせたりする効果が。ルイボスベースの「巡(めぐる)-ぬくぬくと巡る時間をあなたへ-」は血の巡りをよくし、緑茶ベースの「満(みちる)-しっとりと潤いが満ちる時間をあなたへ-」は肌の基礎力をアップさせる効果が期待できる。

paceの「オーガニックコットン吸水サニタリーショーツ」は、S・M・Lの3サイズ展開。
paceの「オーガニックコットン吸水サニタリーショーツ」は、S・M・Lの3サイズ展開。

――吸水ショーツは国内でも多くの企業が販売している。こだわったポイントは?

市川 全部で3(ブラック・サーモン・スカイ)色あり、生地は柔らかめのオーガニックコットン。ウエスト部分がよく伸び、日々の変化が分かるようパッドはグレーにしている。一番こだわったのは履き心地で、肌触り・動きやすさ・形状・締め付けの具合に気を付けた。それぞれのライフスタイルに合わせられるよう、ショーツタイプ(レギュラー、吸水量35ml、税込み3,600円)とボクサータイプ(同50ml、同3,900円)を用意。量が少ない時はレギュラー、多い時はボクサーと選ぶことができ、立ち仕事・よく運動する・旅行の時にズレが不安という時はボクサーにするという形で選んでもらいたい。
 吸水シートは帝人フロンティア(大阪市)と共同開発したオリジナルで、消臭・速乾・制菌になっている。paceでは、移動・旅に絡めてどういうバランスにした方がいいかを考えた。普段と違う環境で、一日締め付けられて痛いなーというのは辛い。飛行機の中で、ずっと同じ体勢でかぶれるのは辛い。そういった移動と絡めた上での素材選び、吸水量の決め方になっている。

paceの「デリケートケアミスト」(中央左のボトル)や「CBD5%オイル」(中央右の箱)など。
paceの「デリケートケアミスト」(中央左のボトル)や「CBD5%オイル」(中央右の箱)など。

――デリケートケアミストはどのような商品?

市川 外出先や移動時、オフィスにいる時の不快感の解消は選択肢が少ないと考え、日中のケアができる商品になっている。天然成分99%のデリケートゾーン用の化粧水で、トイレットペーパーやコットンなどに吹きかけて使う、拭き取り用のミスト。蒸れや不快感を解消しつつ、オーガニック米を発酵して抽出した「米もろみ粕(かす)エキス」が肌を保湿する。精油も天然成分にこだわり、すっきりとした「リフレッシュフローラル」にしている。30ml入りで同2,850円。

リフレッシュ効果が期待できるという「CBDロールオン」(1本8ml入り)。「ポジティブ」「リラックス」「リフレッシュ」の3種類があり、それぞれ同2,200円。
リフレッシュ効果が期待できるという「CBDロールオン」(1本8ml入り)。「ポジティブ」「リラックス」「リフレッシュ」の3種類があり、それぞれ同2,200円。

――麻に含まれるCBD(カンナビジオール)成分については、なじみがないという人も多いと思われる。なぜラインアップに?

市川 リラックスや睡眠に効果があるといわれるCBDは、女性との相性がいいと考えた。スイス産アイソレートCBDを5%含む「CBD5%オイル」(10ml入り)は食べ物という分類。世界保健機関(WHO)もその安全性を評価している。そのまま舌に垂らしたり、お茶・ヨーグルトに入れたりして摂取する。オフィスで疲れたなという時にコーヒーに入れたり、出張に行って夜ホテルでリラックスしたいという時に使ったり。ノンフレーバーは無味無臭。ピーチとミントフレーバーもある(それぞれ同4,200円)。「CBDロールオン」は肌に塗るタイプ。精油が持っている効果とCBDの相乗効果で、疲れ・肩こりやマスクの中のニオイ(解消)に使える。

企画開発したエースの市川美樹さん。
企画開発したエースの市川美樹さん。

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 新ブランド「pace」のネーミングには、“人生という長い旅路を、どんなときも自分のペースで歩めるように”との思いが込められている。また、人々の移動をサポートするメーカーとして、どのラインアップも持ち運びしやすいサイズと形状にしているのが特徴だ。近年は異常気象も多い。通勤・通学時やオフィスで過ごす時間に少しストレスを感じることがあるという人は、paceの商品を使って自分のペースを取り戻してみるのもいいかもしれない。