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世界最小のペンギン、フェアリーペンギンの赤ちゃんが4羽誕生 和歌山県・アドベンチャーワールド、東京・葛西臨海水族園と協力

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 世界最小の種類のペンギン、「フェアリーペンギン」(体長30~45センチ、体重約1キロ、寿命20~30年)。オーストラリア南部・タスマニア島・ニュージーランドなどの暖かい地域が生息地で、国内では、4施設で42羽(2021年末時点)のフェアリーペンギンが飼育されているが、国内の個体群で遺伝的多様性を維持するのが難しい状況。それぞれ異なる遺伝子を持つ個体と繁殖し個体群を増やしつつ、新たな遺伝子を導入し、遺伝的多様性を維持することが必要とされている。

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2022年6月23日撮影

 そんな中、アドベンチャーワールド(和歌山県白浜町)で、6月に4羽のフェアリーペンギンの赤ちゃんが誕生した。6月10日に東京都葛西臨海水族園(東京都江戸川区)からフェアリーペンギンの受精卵を4卵搬入。昨年は搬入した3卵のうち無事育ったのは1羽だったが、今回は4卵すべてが無事に誕生した。

 野生下では都市に生息することが多いフェアリーペンギン。車との接触事故や人間が捨てたゴミを誤食して命を落としたり、海水温度上昇により子育ての際にエサとなる魚や甲殻類を捕まえることができなかったりして、ヒナの生存率が低下し、絶滅が懸念されているという。国内の動物園・水族館では、共同してフェアリーペンギンの遺伝的多様性保全を目標に、オーストラリアから葛西臨海水族園への受精卵移動を計画。海外からの受精卵移動の成功率を上げるため、今回、オーストラリアから葛西臨海水族園までの移動を想定したタイムスケジュールで移動。赤ちゃんや成鳥の状態での輸送は、検疫期間が必要となるほか、新しい飼育環境への順応・日長サイクルの違いなど多くの負担がかかるため、誕生前の卵の状態で輸送した。

2022年6月10日撮影
2022年6月10日撮影

 アドベンチャーワールドでは、2015年からフェアリーペンギンを飼育しており、従来のオス2羽・メス2羽に、今回誕⽣した⾚ちゃん4羽が加わり、計8羽となった。今回の成功を貴重なデータとし、今後、海外から国内への受精卵移動を目指し遺伝的多様性の保全につなげていくという。現在、赤ちゃんはバックヤードで過ごしており、公開について決まり次第アナウンスされる。