社会

小田急電鉄、地域活性化に人材育成プログラムを展開 10団体が参加、鳥取県倉吉市で活動開始

鳥取県倉吉市の街並み。白壁土蔵群と赤瓦の家が並ぶ(小田急電鉄提供)
鳥取県倉吉市の街並み。白壁土蔵群と赤瓦の家が並ぶ(小田急電鉄提供)

 小田急電鉄(東京)は、地方自治体と連携して地域活性化に取り組む人材育成を目的にした「価値創造型人材育成プログラム」をこのほどスタートした。第1弾として鳥取県倉吉市との活動が始まり、地域が抱える課題について、小田急の社員らと地元関係者が話し合った。第2弾は奈良県下北山村での実施が決まっているという。

 小田急電鉄は、鉄道事業に加え、行政などと連携した「まちづくり事業」を進めている。新規事業開発のため、暮らしや働き方といった個人の視点から、さまざまな課題解決の提案を検討する社内組織「IFLATs(アイフラッツ)」を2020年11月に発足。今回の人材育成プログラムは、その一環のプロジェクトだ。同社によると、新たに地域で建物を建てるといった「開発型」ではなく、人づくりをすることで「まちづくり」につなげる「ハードからソフトへ」が特徴だという。

人材育成プログラム第2弾を実施する奈良県下北山村(小田急電鉄提供)
人材育成プログラム第2弾を実施する奈良県下北山村(小田急電鉄提供)

 人づくりについて地域と連携するのは小田急電鉄など10団体。小田急のほかに、アデコ、丹青社、鳥取銀行、ドットライフ、矢野経済研究所、倉吉市、下北山村、前田建設工業、ミツフジの多様な組織・団体がメンバーとなっている(2022年7月6日時点)。

 倉吉市とのプロジェクトでは、小田急電鉄社員や参加団体のメンバーが7月11日に同市を訪問。3日間、市職員や地元関係者らと第1回の話し合いを行った。鳥取県中部にある倉吉市は、歴史的景観の白壁土蔵群などの観光スポットのほか、2025年には市内に県立美術館の開業が予定されていることから、参加者相互でこうした施設を活用した地域の価値創造策などについて検討したという。今後は9月上旬までにさらに議論を重ね、年内に倉吉市への提言をまとめる予定。

 小田急電鉄によると、プログラム期間中は連携メンバーらが現地に滞在し、地域の特性・魅力を発見するなど外部の視点で地域活性化を支援するが、「連携メンバーがいなくなってからも、地域のメンバーで新たな価値創造を続けられるようになるのが目標だ」としている。