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日本盲導犬協会が創立55周年 「目の見えない、見えにくい人を誰一人取り残さ ない社会を目指す」

日本盲導犬協会が創立55周年 誰一人取り残さない社会目指す 画像1
日本盲導犬協会 「盲導犬普及のプラカードを掲げて歩くユーザー」(1968年)

 

 公益財団法人日本盲導犬協会(東京都渋谷区)はこのほど、創立55周年を迎えた。今後も「目の見えない、見えにくい人を誰一人取り残さない社会を目指す」としている。

 協会は1967年8月10日、「盲導犬育成団体」としては日本で初めて、国から正式許可を受け「財団法人」として発足。2010年に公益財団になった。現在、横浜市、仙台市、静岡県富士宮市、島根県浜田市の4カ所に訓練センターを持ち、広島市にサテライトを構える。22年度末の国内実働数848頭のうち242頭(29%)が日本盲導犬協会育成の盲導犬。実働数、年間育成頭数ともに国内最多で、国内最大の盲導犬育成団体という。

 設立の翌年1968年3月に、訓練を終えた盲導犬を8人が利用。当時はまだ盲導犬が珍しく、一緒に交通機関は利用できず、利用者が署名活動をして、電車やタクシーの利用を訴える時代だった。

 2004年4月には神奈川訓練センター内に盲導犬訓練士学校を開設。良質な盲導犬の育成には、安定的な訓練士の育成が欠かせず、集中的に学び、訓練技術だけでなく広く知識や教養を身につけるための3年間のカリキュラムが学べる学校が誕生した。入学した第1期生は、その後協会職員となり、現在訓練育成現場をけん引する存在に成長しているという。

 09年4月には、法務省に協力して、盲導犬になるために特別に繁殖された「パピー(子犬)」を受刑者が育成する日本初の試み「島根あさひ盲導犬パピープロジェクト」を開始。併せて前年08年10月に島根あさひ訓練センターを設け、育成施設がなかった中国四国地域で盲導犬の育成、視覚障害リハビリテーションの拠点を整備した。パピープロジェクトでは、これまでに70頭のパピーを育て、15頭の盲導犬が誕生した。

 今後も協会は「21年に新たに打ち出した中長期計画に沿って、盲導犬育成事業促進と視覚障害者が暮らしやすい社会環境の整備をさらに進めていく」としている。