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イタリアの劇団と日本の精神障がい者・医療福祉従事者がコラボ 映像と生の演技が交差する「マラー/サド」が10月に日本ツアー

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 「障がいはあるけど奴隷じゃない。ここにいるかぎり、もう奴隷ではない」――世界精神保健デー(10月10日)普及啓発のため、イタリアから精神保健のための演劇がやってくる。

 「精神科病院のない国」イタリアのボローニャで精神障がいを持つ当事者がプロの俳優として活動しているアルテ・エ・サルーテ劇団。この度来日し、日本の精神障がい者・医療福祉従事者とコラボし、鉄格子に囲まれた精神科病院を舞台に排除や抑圧からの自由、革命、解放をテーマにした作品「マラー/サド」を10月2日(日)から日本各地で上演する。

 全体が劇中劇のかたちで提示される実験的作品。フランス革命期の過激な共和主義者ジャン=ポール・マラーが浴槽でシャルロット・コルデーに刺殺された出来事をシャラントン精神科病院で、自身入院患者であったマルキ・ド・サド伯爵が患者たちを使って上演しているという設定になっている。原作はペーター・ベイス。1964年にベルリンで初演。

 精神科病院の入院患者たちを精神障がい当事者である劇団の俳優たちに演じさせることにより、精神障がいや社会からの解放、それらに向かう革命、自由を現代社会に問う作品に創り上げている。オリジナル音楽はサベーリオ・ワイータ。人間の苦悩、悲しみ、優しさ、希望、自由や革命を歌う歌曲が数多く作品の中に登場する。

 10月2日(日)に名古屋公演(名古屋市西区那古野2-14-1なごのキャンパス体育館)で14時開演、10月5日(水)沖縄公演(那覇市牧志3-2-10那覇市ぶんかテンブス館テンブスホール)で18時開演、10月7日(金)山形公演(山形市蔵王松ヶ丘2-1-3東ソーアリーナ)で17時半開演、10月8日(土)福島公演(郡山市向河原町159-1星総合病院メグレズホール)で14時半開演、10月10日(月)東京公演(千代田区九段南2-1-30イタリア文化会館)で14時半開演。

 同作は、これまでに中国、スペインでも上演され、高い評価を得ている。世界各地の精神科病院と表現活動をつなげる目的で、海外の精神科医療施設にオンライン配信される。

 主催は文化庁と特定非営利法人東京ソテリア(江戸川区)。東京ソテリアは、東京を拠点として精神障がい者の地域生活を支援している。 無料で全席自由。ただし申し込みが必要。

 演劇「マラー/サド」日本ツアーについてのお問合せはアルテ・エ・サルーテ実行委員会事務局(03-5879-4970)まで。メールのあて先は2020@soteria.jp。