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サントリーが環境に配慮した紙容器ワイン新発売 イタリア・カヴィロ社とサステナビリティーで協定締結

人気イタリアワインブランド「タヴェルネッロ」で環境に配慮した紙容器「オルガニコ テトラパック」
人気イタリアワインブランド「タヴェルネッロ」で環境に配慮した紙容器「オルガニコ テトラパック」

「サステナビリティー(持続可能性)」は、「SDGs(持続可能な開発目標)」と並んで今、時代のキーワードだ。脱炭素など環境分野だけでなく、さまざまな社会・経済活動で注目されている。

サントリー(東京)は「自然の恵みであるワインはサステナビリティーと不可分だ」として3月9日、ワイン事業のサステナビリティー活動方針についての説明会を開催。同時にイタリアのワイン大手カヴィロ社との包括連携協定の調印も行った。

「ワインを消費しながらサステナビリティーを考えてほしい」と話すサントリーの吉雄敬子ワインカンパニー社長
「紙容器の導入はイタリアではスキャンダルと受け止められた」と説明するカヴィロ社のカルロ・ダルモンテ代表

東京都内で開いた説明会には、サントリー取締役常務執行役員の吉雄敬子ワインカンパニー社長と、イタリア最大のワイナリー・カヴィロ社のカルロ・ダルモンテ代表が登壇。吉雄社長は、2022年のサントリーのワイン事業は「無添加ブランドの拡大や、オーガニックワイン(有機栽培ブドウ100%ワイン)などの伸長で過去最高の売り上げとなり、市場拡大をけん引した」と成果を強調した。

 鳥と共生するワイナリー

サステナブルを意識したイタリア・カヴィロ社のワイン畑

サントリーは2022年、自然環境や気候変動などに配慮した国産ワインの新ブランド「FROM FARM(フロムファーム)」を立ち上げた。100年を超える歴史を持つ「登美の丘ワイナリー」(山梨県甲斐市)の鳥類調査を実施したところ、8目25科51種の鳥類が確認されたという。吉雄社長は「鳥と共生するワイナリー」でのワイン造りを目指し、ワインでのサステナビリティー活動に実績があるカヴィロ社と提携することで、両社の知恵を生かす方針を示した。

カヴィロ社は1966年設立。イタリア国内に27のワイナリーを持ち、「タヴェルネッロ」という人気ブランドで知られる。1995年からサントリーと提携し、オーガニックワイン「タヴェルネッロ オルガニコ」を日本で販売している。

 3種類の容量パック

250ミリリットル、500ミリリットル、1リットルがあり、さまざまな食事シーンで活用できる

今回、環境に配慮した紙容器の「タヴェルネッロ オルガニコ」を共同開発し、3月28日に日本で先行発売する。「タヴェルネッロ オルガニコ テトラパック サンジョヴェーゼ」(赤)と「同 トレッビアーノ シャルドネ」(白)の2種。250ミリリットル(参考価格は税別370円)、500ミリリットル(同740円)、1リットル(同1360円)があり、「紙容器なので持ち運びもしやすく、さまざまなシーンに対応できる」(吉雄社長)のが特徴だ。

テトラパックはスイスのテトラパック社が開発した紙容器で、乳製品など飲料パックとして広く使われている。ダルモンテ代表は「カヴィロ社では約40年前からワインのテトラパックを使っているが、瓶入りが普通だった当時は偏見もあった」と説明。「近年は消費者がサステナビリティーに敏感になっており、テトラパックが重要になっている」と話した。

 環境重視とワインの味を共存

吉雄社長は「サントリーのFROM FARM『すべては畑から』とカヴィロ社のコンセプト『すべては畑に戻る』が合致する」とした上で「サステナビリティーでお互いに学び合うことができる」と述べた。

最後にダルモンテ代表は「偏見があった紙容器も受け入れられるようになったが、中身のワインが最も重要だ」と強調。吉雄社長は「この容器になじんでファンになってもらい、ワイン市場を広げていきたい」と決意を示した。

自然豊かなカヴィロ社のワイナリーではコウノトリも飛んでいる