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人間の恋愛行動は他の動物とほとんど同じ? 浮気や求愛の不思議に関する科学的見解とは

Romantic young couple on bicycle together in park 人間は、慣習や行動が動物的な本能ではなく理性によって成り立っているために、他の動物とは異なる存在です。しかし、恋については別の話。1992年にアメリカの人類学者であるヘレン・フィッシャー氏が書いた世界的大ベストセラー「愛はなぜ終わるのか」が最近改訂され、人間や他の動物における行動を研究した結果をもとに、恋の疑問を解き明かしています。

 まず、近年、多様な研究が進む脳科学の話。フィッシャー氏は本書において、人が、全世界の人々の中からどのように愛する人を見つけるのかについてのデータを集め、さまざまな面から論じています。

 フィッシャー氏は、ドーパミンとセロトニンが男女のマッチングにどう関係するのかを調べました。ドーパミンとは、快楽や新しいものを追求することを促す神経系物質で、セロトニンは心の安定を促す神経系物質です。一般的にドーパミン量が多い人は自主性があり、エネルギッシュで好奇心が強く、セロトニン量が多い人は慎重で落ち着いているといわれます。

 マッチングサイトで科学顧問も務めるフィッシャー氏が、約3万人のサイトユーザーのデート相手の選び方を調査したところ、「ドーパミン量が多い性格を持つ男女は、自分と似た特徴を持つ異性に惹かれやすく、セロトニン量が多い性格を持つ男女も同様だった」ということが分かりました。

 一方で、「吊り橋効果」として知られる、一緒に怖い体験をすることによってドーパミンが分泌され、これを恋愛感情と混同して恋が芽生えやすくなる理論は有名です。しかし、フィッシャー氏はこの効果については、知人の男性が好きな女性と人力車に乗って一緒にエキサイティングな体験をしたにも関わらず、全く効果が無かったことを例に挙げ、懐疑的な立場を取っています。

 また、結婚についてはどうでしょうか。国連の調査によると、2000年から2011年の間においては、90.2%の女性と88.9%の男性が49歳までに結婚をしていたことが分かりました。

 世界中のほとんどの人間が、一人のパートナーを選んでいるわけですが、一方で浮気や不倫も多い現代。フィッシャー氏は一夫一婦制について以下のように論じています。「鳥類や人間は一匹のオスが一匹のメスと結びつくとされているが、不貞行為は昔から一般的にはびこってきた現象。研究者の多くは、こうした動物はオスとメスによる生殖行為をする生き物であると誇示するために一夫一婦制となっているだけであって、不貞行為を拒否してパートナーに対する忠誠を表しているわけではないという見解を示している」。ちなみに、つがいを重んじるといわれる鳥類ですが、近年ではハゴロモガラスが、つがい以外にたくさんの性関係を持つ行動をとることが研究で分かっています。

 また、恋のサインについてフィッシャー氏は、アマゾン出身の女の子もパリ出身の女の子も、同じ表現の仕方をするといいます。それは、気になる男性に対してニッコリと微笑んでから、きゅっと眉を上げた後、上品にまぶたをうなだれさせてから、目線を外すんだとか。これは、動物の世界でも樹上動物であるポッサムのメスが同じような行為をするそうです。

 一方で、人間や他の動物におけるオスも同様です。例えば胸を張る動作は、自分の体を大きく見せるためで、好意を持つメスに対する表現として一般的です。人間においても、背の高い男性が好まれるのはそのため。ほかにも、例えば頭を膨らませて、腹ビレを外に押しやって体の大きさを誇張するタラや、自分の体を膨らませるヘビやカエルなど、多くのオスに共通しています。

 さらに求愛について掘り下げると、フィッシャー氏は、あらゆる行動が求愛につながると示唆します。例えば女性が履くハイヒールは1500年代に発明されたといわれていますが、ハイヒールを履くことによってお尻が上がるので、背中はアーチ状に曲線を描き、胸が突き出るという、誘惑的なポーズになります。そしてヒールが鳴らすコツコツという音も重要。クジャクのオスの求愛が、羽を広げてキーキーという金切り声を出すことと同じように、視覚と聴覚どちらでも異性の注意をひくことができるのです。

 恋愛におけるさまざまな研究が日々行われている昨今ですが、現時点で分かることは、人間と動物の行動は、それほど大きな差がないということでしょう。