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猫の“悪意”を読み解けるか? 陰謀説の正体

600-03901031 © F. Lukasseck Model Release: No Property Release: No Portrait of Cat Sleeping in Fishing Net, Essaouira, Morocco

 ネット上にあふれるかわいい猫たちの写真や動画。その中に、ひときわ異彩を放つ動画がアップされている。タイトルは「Révélation – La véritable identité des chats(啓示-猫たちの真実の姿)」。古代エジプト、紀元前から“その話”は始まる。「突然現れた猫が、なぜ突然“神”として扱われるようになったのか。あなたは、猫を世界一人気のペットだと思っているかもしれない。だが…」

 現代、猫はあらゆる場所にいる。家、街中、ネット上。そして何億もの人がその映像を見ている。猫を救うために命をかける人もいれば、多額のお金を“稼ぐ”猫もいる。だが、なぜ? その答えを、この動画は「“トキソプラズマ”だ」と断定する。飼い猫のトイレの世話などが感染経路になりうるとされる感染症だ。専門家の説明なども加え、「この寄生原虫が我々の行動を変えている」と説明。そして、「もし猫たちが、秘密裡にコミュニケーションをとる手段を持っているとしたら?」と話は展開し、なんと“宇宙人”の陰謀説にたどり着く。

 動画の後半、この“陰謀説”が解き明かされる。実はこの動画、フランスの高校の授業で、どれだけ簡単に陰謀説を“でっちあげる”ことができるのかを学ぶ過程で、実際に生徒たちが作ってみた動画だ。「事実」の断片だけをつなぎあわせても、使う音楽や人の声のトーン、つなぎあわせる文脈によっては、実際に存在する状況とはまったく異なるストーリーをつくることができる、ということを、実際に動画作成をしながら学んだ“成果”の作品だ。

 この作業を通して、生徒たちが“抽出”した、陰謀説ビデオを成立させる10の要素は以下。①深刻な声のトーンと「“あなた”はすでに疑問をもっているはずだ…」といった、視聴者への直接的な問いかけ②文脈③音楽④ショッキングな内容の引用⑤映像の選択⑥事実の断片⑦曖昧な仮定などの断片⑧微量の嘘⑨映像の順番⑩特殊効果

 ⑥⑦⑧の区別がつくか、が最大の問題かもしれない。テロや移民絡みで、人種や民族、特定の宗教の信者に対する様々な憶測が、“陰謀説”に容易にすりかわる昨今、教育現場での「リテラシー」の取り組みは、日本を含め世界共通の課題だ。