エンタメ

猫の絵で一世を風靡したイラストレーターの実話 映画『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』

ポスター_ルイス・ウェイン_ネコビジュアル

 たとえ命が尽きても、愛は残された者と共に生き続ける――その美しくも尊い真実を観る者に信じさせてくれる、優しく温かな愛の物語。

 19世紀末から20世紀のイギリスで、“デフォルメした猫の絵”で一世を風靡(ふうび)したイラストレーターの実話『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』(2021年英国/111分/配給・キノフィルムズ)が12月1日(木)に日比谷シネマズシャンテほかで全国公開される。

 ウェインが描いた猫は、日本が誇る文豪・夏目漱石にインスピレーションを与えたとされる。名作『吾輩は猫である』に登場する絵はがきの猫はウェインの作品だといわれている。また、SFの巨匠H・Gウェルズからもウェインの猫は絶賛された。

 ウェインの作品は、愛らしくてコミカル。唯一無二の生き生きとしたタッチで、今にも絵から飛び出してきそうな猫たちに、たちまち心をつかまれてしまうだろう。今の不安で不穏な時代に生きるあなたにも、笑顔をもたらしてくれるに違いない。

 いったい、そんな絵を残してくれたルイス・ウェインとは、どんな人物だったのか? 猫を描き始めた理由とは? そこには、周囲からの大反対のなか結婚して、わずか3年後にこの世を去ってからも、その愛で夫を生涯守り続けた妻エミリーと、親友であり人生の師でもある猫のピーターとの物語があった。

 “ネコ画家”ウェインの数奇な人生を名優ベネディクト・カンバーバッチが巧みに演じ、ウェインの最愛の妻エミリーを、Netflixの人気ドラマシリーズ「ザ・クラウン」でエリザベス女王を演じたクレア・フォイが演じている。

 猫の本当の姿を捉えた映画にしたかったため、猫が登場する場面も実写である。

 監督は、俳優としても活躍して英国アカデミー賞に輝き、監督としても同賞にノミネートされ、その才能が注目されている、イギリス人の父と日本人の母のもとに生まれ8歳まで日本で育ったウィル・シャープ。

 シャープは次のように語っている。
 「初めてルイスの作品を見た時、日常生活の些細な事柄が楽しく描かれたユーモア溢れる絵でありながら、時々、不安や心配、そして悲しみさえもが底に流れていることに共感しました。彼の人生についても知りたいと考え、読めば読むほど、いくつもの難題に恐れることなく挑む勇気に感銘を受けました」

 「オデッセイのような壮大な人生だと感じたし、そこには僕らの気持ちを高めてくれるストーリーがあると確信しました」