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世界の命運握る「SDGs」? NPOらの活動に期待大

 

Think the Earthの活動「SDGsの書籍をつくり全国の学校に届けよう!」のロゴマーク
Think the Earthの活動「SDGsの書籍をつくり全国の学校に届けよう!」のロゴマーク

 

 小松左京の小説「日本沈没」が世に出た1972年、このまま人口が伸び環境破壊が進むと日本どころか「地球がだめになっちゃう」と警告したローマクラブの「成長の限界」論が一世を風靡した。以来「地球を救え!」論は、一進一退を繰り返しつつ、現在の地球温暖化論につながっている。

 何が「進」で何が「退」かは、時代や国によって一様でない。米トランプ政権はパリ協定離脱を表明して国内産業最優先の覚悟を示し、7月に国連で採択された核兵器禁止条約に日本の安倍内閣は参加しなかった。地球の脅威である核兵器に対して、唯一の被爆国日本の“顔の見えない外交”が続いている。

 2015年9月に国連総会で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs、エスディージーズ)は、先進国がケチをつけず、日本をはじめ193カ国が全会一致で賛同した。

 貧困のない世界を次代に引き継ぐための17項目の目標を掲げ、「この偉大な協同の旅に出発するにあたり、私たちは、誰ひとり取り残されることのないことを誓う」と高らかに宣言している。「世界人権宣言」(1948年)や「国際人権規約」(1966年、日本は1979年批准)など国連が時折示す「理想主義」の表れの一つだ。

 目標の達成期限は2030年。主な17の目標は「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」「安全な水とトイレを世界中に」「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」「気候変動に具体的な対策を」「海の豊かさを守ろう」などー。さらにこれらの項目を実現するための169の細目や230の指標を設けている(詳細は外務省ホームページに掲載)。

 東京都内で7月7日開かれた「第95回国際協同組合デー」で講演したSDGs市民社会ネットワーク代表理事の稲葉雅紀さんは、国連がこれまで掲げた各種目標と今回のSDGsの最大の違いは「先進国も対象となった点」だと強調した。

 さらにSDGs達成のカギを握るのは「資本の論理」から独立した「協同組合やNPOなどの民間セクター」と指摘。資本の論理が貫徹する市場メカニズムでは「誰ひとり取り残されることはない」という目標を実現できないとして、相互扶助の理念を掲げる協同組合や最前線の現場でさまざまな社会問題の解決に取り組んでいるNPO・NGOの役割に期待を寄せた。

 NPOの「Think the Earth」(東京、水野誠一理事長)はSDGsを学ぶ教材(書籍・映像)を制作して全国の学校に無償で贈るプロジェクト「SDGs for School」を企画。そのための事業資金500万円をインターネット上のクラウドファンディングのサイト「Makuake」で募っている(11月20日まで)。教材はマンガやイラスト、写真などを加えビジュアル面を重視した内容にするという。監修は慶應義塾大学大学院の蟹江憲史教授。

 日本政府も7月、ピコ太郎を使ったSDGsのPR活動を始めたが、刑事司法制度の問題を指摘されて「シャラップ」と逆ギレする政府高官の醜態や放送法の強権解釈絡みで「報道の自由」への懸念を国連の人権理事会から示されるなど、「国際世論」との乖離(かいり)が近年、目立つ。

 「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」

 SDGsの理念とつながる「平和的生存権」に触れた日本国憲法の有名な一節だ。戦後の廃墟の中でこう誓った日本人が「SDGs」の実現に向けてできることは少なくないはずだ。

Think the Earth理事の上田壮一さん(左)と教材を監修する蟹江教授
Think the Earth理事の上田壮一さん(左)と教材を監修する蟹江教授