まめ学

災害や屋内でのアクシデントから財産を守るには? 火災保険契約時に落としがちな「家財保険」

Father and two sons playing with a digital tablet together 災害から建物を守る「火災保険」については、マイホームやマンション購入時に加入が必要になることから、耳にする機会も多いかもしれない。では、「家財保険」は? 文字通り、家の財産を補償する家財保険、なんとなく知っているけれどなんとなく入っていない、というケースも少なくないようだ。災害に見舞われたときだけでなく、普段の生活の中でも財産を補償してくれる家財保険について、CFP®認定者(ファイナンシャル・プランナー)の柳田典子さんに解説してもらった。

■火災保険=建物の保険+家財の保険

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 –火災保険と家財保険の関係を教えてください

柳田 火災保険の中に、「建物の保険」と「家財の保険」があります。これらの契約は別個になっています。「建物」だけ入ることもできれば「家財」だけ入ることもできれば、両方入ることもできます。ただ、「建物保険」は住宅ローンを組むときに契約を求められることがほとんどです。逆に言うと、「建物」のみで火災保険に入って住宅ローンを組めるので、「家財」の保険は後回しになり、そのまま入らず年月が過ぎてしまうケースも多いようです。保険の見直しのご相談を受けているとき、「自分の入っている火災保険を確認したら、建物のほうしか入っていなかった」という方が割と多く見られます。

 なるべく出費を抑えた火災保険でお客様のご負担を少なくしようという提案を、不動産業者や銀行が提案し、結果として家財保険に入っていないケースが少なくないということもあるかもしれませんね。

■ハンカチ1枚も家財、水漏れやアクシデントによる「破損・汚損」にも対応

 –家財保険という単独の保険があるわけではないのですね。家財といっても具体的にどのようなものが補償の対象になるのですか?

 柳田 保険会社によって若干違いますが、分かりやすく非常にざっくりと言うと、引越しをするときにトラックに積める物は、畳以外は全部家財に含められることが多いです。ハンカチ1枚も家財です。例えば、食洗機も家財です。ただ、取り外しのできないビルトインの電化製品や家具など、建物と一体化されている場合は、家財には入りません。

 –「火災保険」という名前からして火災時に損害をこうむった建物や財産の補償、というイメージも持たれがちですが、火災時に限らないのですよね。

柳田 「火災保険」は火災をはじめとした災害からおうちを守る保険です。例えば、火災によっておうちが燃えてしまい、他の場所に住まなければならなくなったとします。建物の保険も当然必要ですが、洋服や家電製品、その他生活していくのに必要なものもすべてなくなってしまっても、家財保険に入っていなければ、お金はもらえません。何もない状態になってしまい、自分の預貯金からお金を引き出して新しく色々なものを購入しなければならないとなると、かなりのリスクになりますね。

 自然災害の時だけではなく、日常生活の中でも適用されます。例えば、上の階から配水管の水漏れが伝わってきて、部屋の角に置いていた家具やテレビが濡れてダメージを受けた場合なども、対象になります。盗難も、物によっては対象になりますが、スマートフォンやパソコンなど通信関連の電化製品は対象にならないことが多いです。対象については保険会社によって異なる部分もあるので、加入するときによく確認しましょう。

 –プランの選び方には、どんな判断材料がありますか?

柳田 家財保険の補償内容にぜひ入れておいたほうがよいのは予測不可能なアクシデントによる「破損・汚損」の項目です。この項目は、大抵の保険会社の家財保険に入っています。実は、家財保険の中で実際に保険料が支払われているケースのうち、約67%がこの破損・汚損に該当しているというデータもあるんです。

 具体例としては、室内で子どもがボールなどで遊んでいて、テレビの画面にひびが入ってしまった、窓ガラスにひびが入ってしまった、天井にボールの形がくっきり残ってしまったなどの場合。ケースによりますが、10万円ぐらい補償されることもあるようです。家の中で家具を移動する際に、壁を傷つけてしまったケースで、修理のための補償がされた場合もあります。「こんな場合は出ない」と判断してしまって自分で業者に修理をしてもらう前に、問い合わせてみることをおすすめします。

 この破損・汚損の項目は、エコノミータイプのプランだと大抵入っていないので、ぜひ入っているプランをおすすめします。それによってそれほど大きく保険料が変わってくるわけではないですので。特に小さなお子さんがいらっしゃる場合などにも、不測の事態を考えると、入っておくと安心ですね。

■家族の状況に応じて柔軟に対応できる

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 –家財保険の保険金額はどのように設定されるのですか?

柳田 家財保険は、家族構成によって目安が出され、独身でない場合は、例えば1千万円とか、かなり金額が多めに出されます。でもそんなに必要ないという方もいらっしゃると思います。加入時から好きな金額で設定することは、ほとんどの保険会社でできます。さらにいったん金額を設定したら一切変更できないわけではなく、長期で入った場合には、「家族が増えたので、家財保険で補償してもらえる部分を増やしたい」となったら、加入したときの料率の保険料で対応してくれます。また、家財保険は、現在、長期は10年がMAXですが、1年ずつでも入れます。

 また、自動車保険と混乱されていて、家財保険を使うとペナルティが課せられると思っていらっしゃる方もいますが、そうではありません。火災保険は、建物にしても家財にしても、保険を使ったから等級が下がるというようなことはありません。

 例えばマンション購入時に新婚で2人だったら、設定金額は2人で考えればいいんですね。お子様が増えたら、増やせばいいわけです。そういう柔軟な入り方をされるのが一番いいかなと思います。

■リーズナブルに家を災害から守る

 –家財保険の保険料の相場を教えてください。

柳田 家族構成や設定金額、保険会社等により違いはありますが一般的な金額の一例を挙げます。東京都の分譲マンション(60平米)で保険金額500万円、水災だけを外して、破損汚損付きの内容の場合、10年一括払い の場合で約22,000円。この場合、年換算は2,200円、月ならば約184円。非常にリーズナブルです。

 補償の金額設定を、500万にするか1000万にするかなどで違ってきます。設定に悩んだら、もし火災で家のすべてが燃えてしまったら、次のところで生活するときに、どんな家財を買いますか?それ全部でいくらぐらいになりますか?そういう考え方でもいいですよ?とお伝えしています。

 火災保険は、「家災保険」って考えていただくと、イメージしやすいかもしれませんね。火事しか使えないのかと思ったら、そうではないと。実生活の中では、火災保険の建物保険より家財保険のほうが活躍することも多いので、火災保険全体を見て調整し、可能な予算の範囲で家財保険に入っておくのが望ましいです。各ご家庭の状況を考えて検討してみて下さい。