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クレーム上手の英会話【飛行機編】「機内食が違うけど取りかえて」は何て言う?

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海外旅行の場面では、何かにクレーム(complaint)を付けたくなる瞬間もきっとあるはずです。例えば飛行機の中で隣り合わせた人のいきびがうるさいので、静かにしてもらいたいなど。ただ、この手のクレームは、言葉にするとなると、ちょっと緊張しますよね。まして慣れない英語だと何と言っていいのか見当もつかないはずです。

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そこで今回は取材で国内外を歩き回り、日本語と英語でさまざまな媒体に執筆を行う筆者が、「お願い上手の英会話」の姉妹編として「クレーム上手の英会話」をまとめたいと思います。初回は飛行機内で起きたトラブルに対するクレームの伝え方。ぜひともチェックしてみてくださいね

 
頭ごなしに苦情を口にすると、トラブルの引き金になるので要注意
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今回の連載は「お願い表現」ではなく、「クレーム」がテーマです。相手に苦情を伝える以上、改善可能な問題に対する建設的なお願いも含まれるはずですから、「お願い」と「クレーム」は基本的に似たような構造だと考えられます。

しかし、単純なお願いの場合と違って、クレームを受けた人間は不愉快になります。言われた側は、自尊心やパーソナルな評価を害される上に、何かの言動を変えなければいけないからです。そのため、

「Why did you make such a simple mistake? This is unacceptable.」(なんで君はこんな簡単なミスを犯すの? こんなの受け入れられない)

などと、頭ごなしに苦言を呈するような行為は、厳に慎まなければいけません。姉妹編の連載とともに、今回の英文チェックをお願いしたアメリカ人チェッカーも、

「This does not solve anything.」(こんな表現は、何1つ問題を解決しない)

と、上述のぶしつけなクレーム表現を見て、感想を漏らしていました。特に今回はトラベル英会話です。会社の上司と部下のように、明確に上下関係がはっきしているような場面ではありません。レストランであってもタクシーであっても、立場が対等の状態で会話を行います。そのような場面で上述のような頭ごなしの直接的な文句を言うと、トラブルの原因になりかねません。

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基本的には、姉妹編以上に呼びかけ、前置きなどの言葉を前後で尽くして、トラブルが発生している状況を説明し、改善をお願いするといった会話スタイルが重要になります。直接的な文句や苦情ではなく、状況の説明を通じてこちらの改善要求を伝える姿勢を忘れたくないです。

 
オーバーブッキングになったら、どうやってクレームを言う?
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具体的な場面で考えてみましょう。オーバーブッキングとは、自分の席に別の誰かが予約をしているトラブル。一定の割合で予約が取り消される、あるいは予約した客が搭乗しない事態を想定して、航空会社が意図的に定員を超える予約を受け付けるから起こるミスですね。

このオーバーブッキングに直面した場合は、どのように対処すればいいのでしょうか? 上述した通り、クレーム表現も姉妹編のお願い表現と似ていますから、

●相手との関係性を考える
●こちらのクレーム(改善要求)を聞き入れる義務(責任)が相手にあるかどうかを考える

ところからスタートします。

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この表は、姉妹編をチェックした読者であれば、見慣れていると思います。文言こそ違いますが、マトリックス相関図でクレームをぶつける状況を4パターンに整理して、言葉づかいの慎重さを決定します。

クレームを言う相手は、チェックインカウンターのスタッフだったり、機内だったらフライトアテンダントだったりします。相手とは初対面ですね。そこで関係はBかD。さらにオーバーブッキングが発生した場合、相手はこちらのクレームと改善要求に応じる義務がある(国によっては航空会社の方が最終的に強いケースもあり)と考えられますから、関係はDですね。

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次は、こちらが被っている迷惑度の大きさで、言葉の慎重さを調整します。姉妹編では、お願いによってこちらが相手に与える負担や迷惑の大きさで丁寧表現の度合いを調整しました。クレームにおいては、

●こちらが相手によって被っている負担や迷惑の大きさ

によって、使う言葉の慎重さを調整していきます。オーバーブッキングの場合、こちらが被っている迷惑度は大きいです。極端な話、予定の到着時刻に帰国できないばかりか、帰国日が変わってしまう恐れまであります。よって負担は大きいと言えます。

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同じDでも迷惑が大きいのですから、その分だけへりくだって慎重にクレームを伝える必要もありません。慎重さを格下げして、「普通にクレームと要求」しても問題ない場面だと判断できます。

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ただ、繰り返しになりますが、相手とは対等の立場。頭ごなしにクレームと改善要求を伝えるわけにはいきませんから、コアな改善要求を口にする前後で言葉を尽くして、相手がこちらの言葉を受け入れやすいように心のケアをする必要があります。

オーバーブッキングの場合、代替機を用意する、アップグレードした座席を用意させる、搭乗便を変えてもいいというボランティアを募らせるといった対策があります。比較的時間に余裕がある場合は、

「I think I understand why overbooking occurs. As I have plenty of time, can you provide an alternative flight for me?」(オーバーブッキングが起こる理由は理解しているつもりです。時間がありますから、代替機を用意できますか?)

などと、最初に下線を引いた部分で前置きの言葉を口にし、次に下線を引いた部分で理由を口にしてから、普通に要求をぶつけた方が通りやすいです。

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逆に時間が全くなく、乗り継ぎなどがあって、どうしても同便に潜り込まなければいけない場合は、

「Because I have a connection at Taoyuan International Airport, I need to catch this flight to get home. Please look for passengers who can change to another flight.」(桃園国際空港で乗り継ぎがあるので、この便に乗らないと、帰国できません。誰か他の乗客で、他の便に変更可能な人を探してください)

などと、要求を口にしてください。言葉自体は直接的ですが、今回は権利に基づいてクレームと要求をぶつけていますので、失礼には響きません。ただ、繰り返しになりますが、

「Why did you make such a silly mistake?」(どうしてあんたのところは、こんなバカげたミスを犯すの?)

などと、クレームなのか単なる悪口なのか区別のつかない言葉をぶつけてはNGです。オーバーブッキングは、目の前のスタッフが犯したミスではないわけですし、敬意を持ってこちらの要求を伝えたいですね。

 
食事が違う場合は、何て言う?
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次は搭乗後の話。機内でフライトアテンダントが食事を配りに来ます。姉妹編では、機内食の頼み方を考えました。

「Which would you like, fish or chicken?」(魚と鶏、どちらがお好みですか?)

との問いに、

「I’ll have fish.」

と答えましたね。しかし、機内食を開いてみると中は鶏肉の料理。魚料理が食べたかったため、「間違っています。変えてください」と改善要求をする場合、どう伝えればいいのでしょうか?

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相手は初対面、あるいは初対面に近いフライトアテンダントになります。さらに「鶏料理に替えてくれ」という要求に、相手は応じる義務があります。よって状況はDですね。

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次はこちらが被っている迷惑の大きさを考えます。確かに料理は違っていましたが、それほど迷惑とも言えないはず。よって今回は表現の調整を行いません。普通にDのまま、「慎重にクレームと要求」を行えば問題ないと考えられます。

ただ、露骨なクレームはもちろんNG。クレームと要求を伝える前に、ちょっとした言葉を挟んであげた方が相手に伝わります。

「I asked for fish, but this seems to be chicken. I would like the fish please.」(魚をお願いしたのですが、これは鶏料理のようです。魚が欲しいのですが)

下線を引いた部分で前置きの言葉を口にして、状況を説明し、交換してほしいと伝えてみました。過去形のwouldという助動詞が出てきましたが、姉妹編でも繰り返し紹介した通り、人は何かに遠慮したり、恐縮したりすると、その何かを遠ざける習性があります。英語表現も同じで、少し遠慮がちに何かを伝えたい場合は、文章の時制を過去に「遠ざけて」表現すると、結果として少し丁寧で控えめな物言いになります。

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また、youと相手を名指しする言葉を避けて、言葉の響きを柔らかくしている点にも注目してみてください。筆者は海外に本社を置く翻訳会社に外部スタッフとして身を置いた経験もありますが、日常的なやりとりの中で、筆者の使うyouという言葉は強すぎると指摘された経験があります。「あなたはこの企画内容を考え直した方がいい」というよりも、「この企画内容は考え直された方がいい」と、主語の「あなた」を抜いた方が、日本語でも聞こえ方は変わってきますよね。

 
隣の人のいびきがうるさい場合は何て言う?
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最後は隣のシートに座った乗客のいびきがうるさい場合を想定します。ちなみに「いびき」という英単語はご存じですか? Snoreですね。同じつづりで名詞が「いきび」、動詞が「いびきをかく」になります。この場合の状況を整理すると、

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相手は見知らぬ初対面の人、しかし「いびきをやめてほしい」という改善要求に、相手は応じたくても応じられない事情もあるはず。そうなると、改善要求に応じる義務があるとは言い切れない状況になってきます。今回の英文をチェックしてもらったアメリカ人も、

「This makes no sense whatsoever. People have no control over how much they snore.」(このクレーム表現は、全く意味がありません。人は自分のいびきをコントロールなどできませんから)

と、クレームを口にする行為自体に、疑問を挟んでいました。そこで関係はBとしておきましょう。クレームがクレームなだけに、かなり丁重に、慎重に言葉を掛ける必要がありそうです。

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こちらが被っている迷惑の度合いはどうでしょうか。自分一人だけがちょっと気になっている程度だったら、それほど迷惑が大きいとは言い切れないかもしれません。ヘッドホンを装着して音楽を聞けば、気にならなくなる可能性もあります。そこで表現の慎重さを格上げも格下げせずに、そのまま「かなり慎重にクレーム」をぶつけてみましょう。

相手は対等な立場にいる乗客です。直接的な駄目出しを頭ごなしにぶつけると、極端な話、つかみ合いのけんかになるかもしれません。

「Excuse me, sir.」(申し訳ございません)

と呼びかけ、相手が起きたら、

「I am sorry to wake you up. 」(起こしてしまって申し訳ありません)

と、謝罪の言葉をむしろ口にする必要があるはずです。適切に呼びかけ、前置きや謝罪をして、相手がこちらの要求を聞き入れてくれる心理的なムードを作るのですね。その上で、

「I’m wondering if I could make such a request, but I would hear something like a snore. Could you please sleep more quietly?」(このようなお願いをしてもいいのか迷いますが、何かいびきのような音が聞こえるようです。もう少し静かに眠ることは可能だったりしますでしょうか?)

などと、相手が気分を害さないように言葉を尽くして、少し遠回しに伝える工夫が必要です。助動詞の過去形が多用されていますが、先ほども述べた通り、人は何か身に余る贈り物を相手が差し出してきたとき、「いや、いや、いや」と手のひらを相手に向けて贈り物を遠ざけるように、腰の引けた控えめな態度を出したい場合、英語では時制を遠ざければいいのですね。

 

以上、クレーム上手の英会話第1回でしたが、いかがでしたか? ちょっと姉妹編よりも英文が長くなる傾向があり、少し難易度が高いと思うかもしれません。しかし、クレームを言うには、どうしても前後で言葉を尽くす必要があります。長文を話すとなると、それだけ準備に時間が掛かりますが、口にする前に整理して、心の中で練習してから伝えてみると、うまくいくかもしれませんね。

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