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ローマと深い関係が!?トスカーナの中世都市シエナの「白と黒」の謎に迫る【イタリア】

ローマとフィレンツェの中間にあるトスカーナの中世都市シエナ。この街では白と黒のコンビネーションがとても重要な意味をもっているそうです。例えば、カテドラルに一歩足を踏み入れると、白と黒のストライプに目を奪われます。また、街の至る所で白と黒の紋章が目につきます。なぜ、この白と黒がシエナの街にとって重要なのか、その謎に迫ります。
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白と黒のコンビネーションがとても重要な意味をもっている中世都市
ローマとフィレンツェの中間にあるトスカーナの中世都市シエナ。この街では、シエナレッドという色の名前にもなっている特徴的な赤茶色の街並が有名です。そしてこの街の中央にあるカンポ広場は、イタリアでも一二を争う美しい広場で、夏にはパリオという競馬がこの広場で開催され、多くの人で賑わいます。

ところで、この街では白と黒のコンビネーションがとても重要な意味をもっているそうです。例えば、カテドラルに一歩足を踏み入れると、白と黒のストライプに目を奪われます。また、街の至る所で白と黒の紋章が目につきます。なぜ、この白と黒がシエナの街にとって重要なのか、その謎に迫ります。

シエナ旧市街、街の表情を決めたレンガの色
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シエナを特徴づけている色、それは赤茶けたレンガの色です。この色はシエナレッドという色の名前にもなっています。多くの建物がこのレンガで造られていますが、代表的なものとして、旧市街をぐるっと包み込む都市壁、そしてカンポ広場に面し、特徴的なシルエットを誇るパラッツォ・プブリコなどがあります。

ところで、時間の経過とともにレンガの色も変わってゆき、当初のシエナレッドの由縁でもある赤茶けた濃い色から明るくなってゆき、現在のオレンジ系の茶色へと変化したそうです。

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そして、この街の色についてもう一つ付け加えるとすれば、筆者がフィレンツェでサン・ロレンツォ教会の新聖具堂で紹介したミケランジェロの建築の黒いエレメントして使用されていたピエトラ・セレーナという石がありました。

このシエナではピエトラ・セレーナは街路の舗石として使用されていて、街路が黒いです。昔は今よりも濃い赤茶色の壁と、その間を縫うように黒い街路が通っていたわけで、かなりシックな街並だったのでしょうね。時間の経過とともに、街全体の色が明るく変わっていった、というのは面白いです。

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シエナのカテドラル、白と黒の大理石はゼブラみたい
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ところで、シエナの小高い丘の上に立つカテドラル。外壁の白と黒のストライプが特徴的。特にカテドラルの塔は狭い間隔の白と黒の大理石が積層されたストライプ。

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そしてカテドラルの中に入ってみると、さらにビックリ。内陣では、柱なども白黒のストライプ。まるで、ゼブラのお腹の下に入ってしまったみたい。

このカテドラルは長い時間をかけて造られたもので、白と黒のストライプは大理石の天然の色。大理石は白だけではなく、様々なミネラルの混入によって様々な色があるそうで、そういえばフィレンツェのドゥオモでは、緑、ピンクの大理石が使われていました。

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カテドラルだけではなく、カンポ広場に面して建つパラッツォ・プブリコの窓枠の上部にも白黒の紋章を見る事ができます。

白と黒には何か「いわく」がありそうですね〜。シエナという街にとって、この色のコンビネーションには何か謎が隠されているに違いない、と思って調べてみると・・・

謎を解く、二人の兄弟の物語、ローマとの関係は?
この白と黒の謎を解く鍵は、シエナ建造の伝説にありました。物語はローマの建造にまでさかのぼります。

狼に育てられた双子の兄弟、ロムルスとレムスは幾多の困難を超え、ローマを建造しました。しかし、兄弟はローマの街を築く過程で仲違いをし、レムスはロムルスに殺されてしまいました。その際、レムスの二人の息子、セニオとアスカニオは、叔父のロムルスから逃れ、北へ向かいました。

そして現在のシエナの地に、新しい街を築いたそうです。シエナを造った兄弟は、ローマを造った兄弟の一人、レムスの息子たちだったのです。だから、ローマとシエナは親子みたいな関係にあるんですね。

逃避行の際、二人はそれぞれ白い馬と黒い馬に騎乗し、この地に辿り着いたそうです。あるいは、昼は白い霧が、夜は黒い霧が二人を包み込み、逃亡を助けた、とも伝わっているそうです。

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この伝説によって、白と黒は、シエナにとって重要な意味をもつことになり、街のシンボルにもなったそうなんです。街の紋章は白と黒で塗り分けられた盾で、Balzanaという名前。

白と黒のコンビネーションは、街の誕生伝説に由来し、そして街のシンボルカラーになったんですね。だから街には白と黒の組み合わせが至る所にあって、カテドラルも白黒ストライプの大理石で造られているんですね。

カテドラルの床にも注目
カテドラルの壁、天井の装飾とゼブラのストライプには驚かされますが、カテドラルの床にも注目してください。大理石で造られた装飾で埋め尽くされています。大理石でできた芸術作品の上を歩く事ができるのは、このシエナだけ、らしいですよ。

そしてここでも、あの二人の兄弟、セニオとアスカニオの姿を発見。

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中央で狼の母乳を吸っているのがセニオとアスカニオですが、狼に育てられたのは、父と叔父のレムスとロムルスだったはず!? そういえば、シエナの街のいたるところで狼の乳を吸うセニオとアスカニオの彫刻がありました。どうしてシエナのシンボルとしてセニオとアスカニオが狼に授乳されているのか? なぜそうなったのかは、なんと、本当の謎だそうです。

ところで、狼と二人の兄弟の周りを取り囲んでいる様々な動物たちは、シエナと同盟を結んだイタリア諸都市のトーテム達。ピサのウサギ、ローマは象、ルッカのパンサーなどなど。ローマのトーテムが狼ではないのは、シエナとかぶるから、だそうです。

カテドラルのミケランジェロ
そしてカテドラルの一角には、あのミケランジェロの彫刻群もあるので、お見逃しなく。ピッコロミーニという祭壇の彫刻群です。

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しかし、祭壇と彫刻の解説を読むと、ミケランジェロに批判的な記述が並んでいます。いわく、これら彫刻群を受注したにもかかわらず、期限内に納得のいくクオリティで彫刻を完成することができなかったとか。たしかに、同時期にあのフィレンツェのダビデ像などを完成させているので、手が回らなかったのかもしれませんね。天才にもそういったことはある、という意味で必見の作品かもしれません。

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シエナ カテドラル (Siena Cathedral)
住所: Piazza Duomo 8, 53100 Siena, Italy
電話: +39 (0)577-283048
開館時間:
3月1日〜10月31日 【月〜土】10:30〜19:00、【日、イタリアの休日】13:30〜18:00、【イタリアの休日の前日】10:30〜18:00
11月1日〜12月25日 【月〜土】10:30〜17:30、【日、イタリアの休日】13:30〜17:30
12月26日〜1月6日 【月〜土】10:30〜18:00、【日、イタリアの休日】13:30〜17:30
1月7日〜2月28日 【月〜土】10:30〜17:30、【日、イタリアの休日】13:30〜17:30
HP: https://operaduomo.siena.it/en/

世界でも有数の美しい広場、カンポ広場
シエナには、カンポ広場という美しい広場があります。所狭しと建物がひしめき合っているシエナ旧市街の中で、谷の底のような街路を散策した後に、広場に面した建物のトンネルや隙間を抜けると、パァッと開けたこの広場に出るため、感動的な開放感があります。この広場は周囲を建物で囲われているため、街の中の大広間といった雰囲気。

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レンガが敷き詰められた広場の地面は傾斜になっていて、座るにはちょうどいい角度。まるでアリーナの観客席みたいです。地面に直接座って、ピザを食べたり、アイスを食べている観光客で常に賑わっています。

広場の南側に建っているアリーナの舞台のような建物はパラッツォ・プブリコ。この建物にはチヴィコ美術館があり、多くのフレスコ画を鑑賞することができます。

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カンポ広場 (Piazza del Campo)
住所: Piazza del Campo, 53100 Siena, Italy

チヴィコ美術館 (Museo Civico Siena)
住所: Piazza del Campo 1, 53100 Siena, Italy
電話: +39 (0)577-292232
開館: 【11月1日 〜3月31 日】 10:00〜18:00、【3月2日 〜10月31 日】 10:00〜19:00、【1月1日】 12:00〜18:00
休館: 12月25日
Homepage: https://www.comune.siena.it/La-Citta/Cultura/Strutture-Museali/Museo-Civico

素晴らしきトスカーナの中世都市シエナ
都市の誕生の物語と深い関係を持つ白と黒のコンビネーションが、都市のエンブレムから建物の細部のデザインにまで行き渡っている、中世都市、シエナ。そこからはイタリアの都市国家として、他都市との確執の歴史も垣間見ることができます。

しかし、それ以上に、現在も残る都市壁やカンポ広場、そしてカテドラルの造形は素晴らしいものです。この街への訪問が忘れ難いものになることは、まず間違いないでしょう。トスカーナの大地から芽生えたようなこの小都市で、都市美と歴史と色の競演を楽しんでみてはいかがでしょうか。

参考文献:
Siena city guide, Bonechi Edizioni
Siena, Terre di Siena, Touristen-information


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