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絶景と秘湯に出会う山旅(21)比叡山、琵琶湖畔から延暦寺そして宿坊へ

関西で身近な山のひとつ、比叡山。マイカーやバス、ケーブルで行くこともできますが、今回は琵琶湖畔から比叡山山頂まで歩いて登って延暦寺に詣で、宿坊に宿泊。世界遺産の山でスピリチュアルな体験もできました。コロナ禍のさなかですが、旅の気分を少しでも味わっていただければ幸いです。
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琵琶湖畔 歴史ある坂本を歩く
今回は公共交通機関でやってきました。JR湖西線の比叡山坂本駅で下車。京都駅から20分もかかりません。大阪駅からは新快速で50分弱です。

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琵琶湖畔の滋賀県大津市坂本地区。古くから比叡山延暦寺と関わりの深い町で、戦国時代には明智光秀の居城があったところです。

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駅を出て比叡山の方に向かうと、全国の日吉神社・日枝神社・山王神社の総本宮という日吉神社の鳥居がありました。

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緩やかな坂を上っていくことになります。10分ほど歩くと、比叡山を開いた伝教大師・最澄が生まれたという生源寺(しょうげんじ)があります。なんと最澄の産湯に使ったという井戸もありました。

ちなみに最澄は767年生まれといい幼名は広野、14歳で得度して法名を最澄とし、遣唐使として中国で仏教を学びます。そして帰国後、比叡山に延暦寺を建て天台宗の開祖となりました。
生源寺
住所:滋賀県大津市坂本6-1-17
電話:077-578-0205
HP: https://www.biwako-visitors.jp/spot/detail/433/(公益社団法人びわこビジターズビューロー)

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またしばらく歩いてゆくと、景観が変わり、歴史を感じる石積みの街並みが現れました。これは穴大衆(あのうしゅう)と呼ばれる地元の石工集団の手による「穴大衆積み」という石積だそうです。この坂本の町並みは国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。

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そのなかでも滋賀院門跡はひときわ高い石積みの石垣が威厳を感じさせます。門跡とは皇族や公家が住職を務めるお寺や住職を指す言葉だそうです。重厚な屋敷と庭園を拝見しました。入場料は大人500円。
滋賀院門跡
住所:滋賀県大津市坂本4-6-1
電話:077-578-0130
HP:https://www.biwako-visitors.jp/spot/detail/434/(公益社団法人びわこビジターズビューロー)

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次いで上の写真は旧竹林院の美しい庭園。竹林院は比叡山延暦寺のお堂のひとつで、山の上で修業していた老僧の住まいだった住居です。この庭はいま国指定の名勝で、背後の山を借景とし、樹木や曲水の佇まいが素晴らしい雰囲気を作り出しています。入園料は大人330円でした。
旧竹林院
住所:滋賀県大津市坂本5-2-13
電話:077-578-0955
HP:https://kyuchikuriin.web.fc2.com/

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旧竹林院を出ると、すぐ前に日吉神社の赤い鳥居が建っていました。この日吉神社の創建はおよそ2100年前、崇神天皇7年に創祀されたという歴史ある神社なのです。境内は広いようですね。
比叡山への道「無動寺道」
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今回は鳥居の前を通り過ぎて南に7〜8分ほど歩き、比叡山の登山口を目指しました。いくつかあるルートのなかから「無動寺道」という登山道を選びました。無動寺とはこの道を登って行った比叡山中にあるお寺だそうです。

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無動寺道は「千日回峰」の本拠明王堂への参詣道といいます。かつてはこの道をどれだけの修行僧や参拝客が歩いたことでしょう。巡礼の道、といった趣です。

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最初は広い道でしたが、登ってゆくにつれて道はしだいに細く坂も急になってゆきます。ですが、信州や山梨の山とは違って急峻でもなくきちんと整備され、初心者でもじゅうぶんに歩いて行けます。

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途中、見晴らしの良い場所に出ました。「遠見岩」という場所のようです。まさに遠くを見る岩場で、木立の間から琵琶湖が遠望できます。この日は快晴でそよ風が通り、とても気持ちのいい場所でした。

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「遠見岩」を過ぎると、すぐに「紀貫之の墳墓」と書かれた案内板がありました。あの「紀貫之」でしょう。「古今和歌集」の選者で「土佐日記」を書いた人物。こんな山の中にお墓、と思いましたが、行ってみることにしました。それほど距離はありません。が、このお墓までの間がもっとも急峻だったかもしれません。

お墓は大比叡と琵琶湖が見える小高い裳立山(もたてやま)の上にひっそりと佇んでいました。

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紀貫之のお墓の前で小休止した後、歩き出しました。そこから15分ほどでようやく山の向こうに坂本ケーブルの延暦寺駅が見えました。ここまでくれば、もう着いたも同然です。

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延暦寺の入り口に大きな地図が掲げられていました。地図の真ん中下にJR比叡山坂本駅があります。そこからまっすぐ山に向かって歩き、日吉大社の前で南に(左に)折れ、坂本ケーブルを通り過ぎ、無動寺谷を登ってきたことになります。

観光をしながらの山歩きで4時間ほどたちましたが、普通ならここまで徒歩2時間半から3時間といいます。
延暦寺の絶品そばをいただき、山頂を目指す
境内にあるお蕎麦屋さんでようやく昼食をいただきました。この蕎麦屋、構えは簡素なお店なのですが、坂本地区に本店がある「鶴喜そば」といい、比叡山ゆかりの名店だそうです。比叡山で断食の修行を終えた修行僧たちが、弱った胃をならすために蕎麦を食したのが始まりだそうで、食べてみるととてもおいしいのです。量もたっぷりで大満足でした。

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この比叡山延暦寺は、1994年に古都京都の文化財の一部としてユネスコ世界文化遺産に登録されました。1200年以上も昔、薬師如来を本尊とする一乗止観院という草庵を最澄が建てたのが延暦寺の始まりで、開創した延暦7年(788年)の年号「延暦」を寺の名としています。

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さて、山歩きはここで終わりではありません。延暦寺のあるこのあたりの標高は667mだそうで、頂上まではもう少し登るのです。ということで近道となる東塔と阿弥陀堂の間を抜けてふたたび歩きだしました。

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ここから徒歩30分といいます。周囲は森閑としています。気持ちのいい日差しと木立が佇んでいました。

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少し登ると、辺りは台地のようにほぼ平らです。そして読売テレビと、関西テレビ朝日放送のテレビ塔が建っていました。テレビ塔は一番高い場所に建つので、もう山頂も近いでしょう。

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周囲からほんのわずか盛り上がった木立の中に山頂がありました。「大比叡」とあります。標高848m。ついに比叡山のもっとも高い場所に到着です。とはいえ、周囲は樹木のため何も見えません。

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登頂のあと、ふたたび延暦寺に戻ってきました。境内を散策してみましょう。上の写真は「戒壇院」といい、僧になるために戒律(大乗戒)を受けるお堂で、年に一度「授戒会」が行なわれています。

比叡山延暦寺でも最も重要な堂のひとつで、もともとは828年(天長5年)に創建され、江戸時代1678年(延宝6年)に再建されました。国の重要文化財に指定されています。

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そして上の写真は根本中堂。比叡山延暦寺東塔の中心的建造物で、延暦寺の総本堂です。現在の建造物は1642年(寛永19年)に再建されたもので、国宝に指定されています。本尊は薬師如来といい、1200年以上灯し続けられている「不滅の法灯」はここにあります。

現在は10年がかりの修復中で、外観は覆われていました。5年後の2026年終了といいます。これはこれで、めったに見ることのできない修復中の壁の下地や屋根の上を見ることができます。
宿坊・延暦寺会館からの絶景そして精進料理
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夕方、ようやく宿坊の延暦寺会館に到着です。宿坊といっても鉄筋コンクリートの大きな建物で、イメージする宿坊とは大違い。高野山には小さな宿坊がたくさんありますが、比叡山での宿泊施設はここだけのようです。

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ロビーもゆったりしていましたが、客室も広々としています。そして何よりも驚いたのは、下の写真、窓からの景色です。

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窓の外には大きな青空と、眼下に大きな琵琶湖が広がっているのです。天気も良く素晴らしい絶景がありました。

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新緑を歩いて癒やされ、スピリチュアルな体験もでき、そしてこの光景には心のなかでそよ風が吹き抜けるような、体が軽くなるような気分になりました。

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大きな浴室の窓からも素晴らしい琵琶湖が一望できます。温泉ではありませんが、この光景で十分でしょう。関西の水は軟水なので、お茶を飲んでもおいしく感じます。そしてお風呂のお湯もさらさらと軽やかに感じるのです。

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夕食は精進料理。湯葉やお麩を使った料理や胡麻豆腐、汲み上げ豆腐、筍、海老芋、山菜の天婦羅などなど。心が癒やされたあとは、お腹の中からキレイになり、やさしく癒やされました。

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と満足して夕食を終え、客室階のエレベーターを降りれば、目の前に自動販売機があるではありませんか。そこに並ぶのは、カップラーメンにカップうどん、いろいろなスナック菓子。さらにはビールや缶酎ハイにサワーなどなど。精進料理だけでは物足らない方もいるんでしょうねえ。

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夕日が落ちた後の琵琶湖の光景にふたたび癒やされました。美しい薄暮。琵琶湖の周りの灯りがいもちを感じさせます。気持ちのいい旅でした。

さて、明日は比叡山を西に下って京都の街に降りる予定です。それはまた次回ご紹介します。
比叡山延暦寺
住所:滋賀県大津市坂本本町4220
電話:077-578-0001
HP:https://www.hieizan.or.jp/

延暦寺会館
住所:滋賀県大津市坂本本町4220 比叡山 延暦寺内
電話:077-579-4180
HP:http://syukubo.jp/

[All Photos by Masato Abe]
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