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五輪精神学ぶ「オリンピックデーラン」 小池都知事、「MGC」とはしご

聖火リレーのトーチを持って記念写真に納まる家族=2019年9月15日、東京都の都立城北中央公園。
聖火リレーのトーチを持って記念写真に納まる家族=2019年9月15日、東京都の都立城北中央公園。

 来夏の東京五輪マラソン日本代表を決める「マラソングランドチャンピオンシップ」(MGC)が9月15日、東京都心で開かれ、初めての“一発勝負”の選考に注目が集まった。

 五輪出場にある意味人生を賭けている選手には「ワンチャンス」――最低限日本新記録を超える驚異的タイムを出してラスト1枠をゲットする「ラストチャンス」はあるが――は少々酷な気もするが、低調気味と言われる東京五輪への関心を高めたことは間違いないだろう。

 五輪はともすると、ついついこのような代表選考や本番でのメダル数ばかりに目が向いてしまいがちだが、そもそも近代五輪の“原点”は、シンボルマークの「5つの輪」に象徴される、五大陸の友好、平たく言えば「世界平和」であり、勝利至上主義や国がメダル数を競う「国威発揚」の場でないことは、五輪の理念を定めた「五輪憲章」を見れば明らかだ。

 「人種や肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的意見、 国や社会的出身、 財産、 出自」などを理由とするいかなる差別も禁止する「五輪憲章」は、歴史の愚行を省みてスポーツ界が英知を結集してまとめた「歴史的文書」である。東京五輪の前に静かに一読しても損はない。1896年のアテネ大会に始まる近代五輪の歴史と成り立ちが分かるはずだ。日本オリンピック委員会(JOC)のホームページに和訳がある。

 五輪憲章を知って五輪を観戦すれば、自国選手の勝敗に一喜一憂する景色とは、また一味違った世界が見えてくるはずだ。スピードスケート女子500メートルで優勝した小平奈緒選手が、2位の韓国人選手の健闘をたたえた姿(2018年平昌五輪)や、クロスカントリー競技で転倒しスキー板が折れたロシア人選手に新たなスキー板を提供したカナダチームのコーチの振る舞い(14年ソチ五輪)などが、各国で称賛された理由が腹にストンと落ちてくるだろう。

オリンピアンと一緒にウォーキングを始める子どもたち
オリンピアンと一緒にウォーキングを始める子どもたち

 五輪憲章に示されているオリンピック精神(オリンピズム)を普及するため、JOCは国際オリンピック委員会(IOC)の創設日「オリンピックデー」(1894年6月23日)を記念する一般向けのスポーツイベント「オリンピックデーラン」を1987年から毎年、全国で開いている。五輪に出場した「オリンピアン」と一緒にウォーキングやジョギングなどを楽しみながら、オリンピック精神を参加者に理解してもらおうという催しだ。

 MGCが開催された9月15日も、今年4カ所目の「2019オリンピックデーラン板橋大会」が東京都の都立城北中央公園で開かれた。04年アテネ五輪に出場した室伏由佳さん(陸上競技)や08年北京五輪に出場した斉藤信治さん(バレーボール)らオリンピアン10人が参加した。

ウォーキングの途中、オリンピアンの斉藤信治さんと記念撮影する参加者。
ウォーキングの途中、オリンピアンの斉藤信治さんと記念撮影する参加者。

 10人はそれぞれ親子連れら参加者と一緒に2.5キロをウォーキングしながら五輪時の体験などを話し、五輪の“価値”を伝えた。

得意気にトーチを持つ子ども。
得意気にトーチを持つ子ども。

 会場の一角には聖火リレーのトーチも展示され、多くの子どもたちがうれしそうに手に取り、写真に収まっていた。

 会場にはMGCの視察を終えた小池百合子都知事が駆け付け「東京で開催して良かったと思ってもらえるオリンピックにしよう」と呼び掛けた。身長2メートルを超える斉藤信治さんとのハイタッチに挑戦しながら登場した小池知事は「これが本当の“ハイ”タッチ」と場を和ませていたが、五輪時の暑さ対策や交通混雑緩和のための工夫など開催自治体として解決すべき課題は山積している。

斉藤信治さんとハイタッチしようとする小池百合子都知事。
斉藤信治さんとハイタッチしようとする小池百合子都知事。

 オリンピックデーランは今年、9カ所で開催する。次回は9月21日、新潟市で開かれる。