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日本チームでツール・ド・フランスに挑戦、数年以内に 代表は片山右京氏

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 世界最高峰の自転車ロードレース「ツール・ド・フランス」を目指す日本のチームが誕生した。プロのロードレースを開催しているジャパンサイクルリーグ(JCL)は10月15日、日本選手と外国人選手からなる日本国籍のチーム「JCL TEAM UKYO」の発足を発表。代表はJCLチェアマンで、元F1ドライバーの片山右京氏が務める。順調にいけば数年以内に「ジロ・デ・イタリア」「ブエルタ・ア・エスパーニャ」を含めた世界三大レースに、史上初めて日本のチームが挑戦する予定だ。

■マイヨジョーヌも夢じゃない

 発表されたメンバーはJCL初年度(21年)チャンピオンの山本大喜、2020東京オリンピック代表の増田成幸、海外チームで活躍している岡篤志ら、外国人選手2人を含む計8人。あと2人は後日発表される。23年1月にチームは発足し、ニュージーランドでのレースから活動を始める(予定)。国際自転車競技連合(UCI)のコンチネンタルチームとして海外ツアーに参戦し、24年は欧州ツアーにも出場。25年には欧州に拠点を移し、順調なら5年以内に世界三大レース出場を狙う。

 片山チェアマンは「チームを発足できたことは僕の夢であり、JCLの最大のミッションを達成するための一歩を踏み出せた。ここから選手が強くなれる環境をつくりあげ、海外で活躍できるように貢献したい。このチームが日本中、世界中の人に応援され、チームを成長させ、いつの日かパリのシャンゼリゼ通り(ツール・ド・フランスのゴール地点)で、シャンパンが飲みたい。応援よろしくお願いします」と抱負を話した。

 F1引退後、片山チェアマンは自転車ロードレースの普及や振興、競技力向上に努めてきた。自転車競技団体の理事長などを歴任し、東京オリンピックでは自転車競技のスポーツマネジャーを務めた。今回の発表に先立ち「JCLの目標である『街をスタジアムに』を日本中に広げ、子どもたちを集めてアカデミーをつくり、優秀な選手に育てる。ある日、日本選手がマイヨジョーヌ(ツール・ド・フランスで個人総合成績1位の選手が着る黄色のジャージー)を着ているかもしれない」と、ツール・ド・フランスで日本選手が活躍する夢を話していた。15日の発表の席でも、数年前まで、大谷翔平(米大リーグ、エンゼルス)の大活躍を予想できた人は少なかったはずと例をあげ「自転車でも可能だ」と力を込めた。

■応援も文化、資金協力を

 そして今回、もう一つの狙いが資金面でのサポートを充実させること。お金の心配をせずに競技に打ち込み、世界を目指してほしいと願っている。そこで10月15日から11月7日まで、FiNANCiEと呼ばれるクラウドファンディングで「トークン」の購入を呼び掛けている。トークンは将来、JCLのさまざまなイベントに参加できたり、関連グッズを購入できたりと、付加価値が高まることも予想されている。スポーツ庁も推奨している資金調達法だ。今年1月にはJCL支援を目的に約4000万円を集めたが、今回は約9000万円が募集上限となる。

 片山チェアマンは「歴史を変えるために、みんなに参加してほしい。〝プチタニマチ〟みたいなもので、応援するのも文化です」と呼びかけた。F1ドライバーとして、長くパトロン(芸術文化の支援者、後援者)の本場欧州を舞台に活動してきた人らしい言葉だ。