大好評幕末維新博、4月から第二幕へ  「世界の海援隊」へ、志つなぐ事業開始

幕末維新博の発表に臨んだ尾﨑知事
幕末維新博の発表に臨んだ尾﨑知事

 日本の歴史の中で最も大きな転換点となった大政奉還と明治維新。多くの志士 を生んだ高知県では昨年から「志国高知 幕末維新博」を全県で開催しているが、 明治維新から150年となる今年、4月21日から第二幕を始める。その概要が 3月22日、東京都内で尾﨑正直知事から発表された。メイン会場は昨年に引き 続き県立高知城歴史博物館と、第二幕開幕に合わせリニューアルオープンする坂 本龍馬の殿堂「坂本龍馬記念館」になる。開幕セレモニーには、明治維新で主導 的役割を果たした薩摩(鹿児島県)長州(山口県)土佐(高知県)肥前(佐賀県) の4藩の現在の知事が集結する予定。
 桂浜にある龍馬記念館は本館と新館からなり、新館では龍馬の生涯をたどり、 貴重な資料を時系列に沿って展示する、龍馬関連では全国でも最大規模の施設に なる。本館は龍馬の人柄や業績を実感できる分かりやすい構成になっている。

記者発表で平成の海援隊について説明する尾﨑知事
記者発表で平成の海援隊について説明する尾﨑知事

 龍馬の業績と同時に、土佐からは政治だけでなく、経済、実業の面でも多くの 偉人を生んだ。最も有名なのは三菱グループを創設した岩崎弥太郎だが、他にも 大阪ガス、南海鉄道の社長を歴任した片岡直輝、その弟で日本生命を創設した片 岡直温、総合商社、鈴木商店の経営に当たった金子直吉、コマツ創業者の竹内明 太郎ら、そうそうたる名前が挙がる。龍馬が商社機能を持つと言われる「海援隊」 を組織したように、土佐から世界へ目を向けた経済の先見性に着目し、第二幕で は高知県と連携しながら世界を見据える全国の5業者、2個人と地域活性プロジェ クト「平成の海援隊」を設立。

 連携するのは、スニーカーを中心としたセレクトショップの「atmos」 (株式会社テクストトレーディングカンパニー)、ビンテージ古着の復刻をテー マとする「WAREHOUSE COMPANY」と老舗ビンテージショップ 「BERBERJIN」原宿店長の藤原裕氏、飲食店やアミューズメント施設な ど国内427店舗を展開する「株式会社DDホールディングス」、日本を代表す る玩具メーカー「株式会社タカラトミー」、人気ゲームを数多く抱えるゲーム運 営会社「株式会社 DeNA Games Tokyo」、高知県田野町で古民 家修復事業に参加しているタレントのユージ氏。

平成の海援隊で連携するメンバーと尾﨑知事(中央)
平成の海援隊で連携するメンバーと尾﨑知事(中央)

 現在、コラボ商品が確定しているのはWAREHOUSEで、第二幕開幕に合 わせ限定120本の「ジョン万デニム」を発表し、予約を受け付ける。これは土 佐出身のジョン万次郎が「アメリカ時代に着用したであろうと推測し、当時のデ ザインを再現したデニム」(藤原裕氏)になる。
 atomosの特製スニーカーは、取引価格がオリジナルの数倍に跳ね上がる 人気商品で、コラボ商品は「Tシャツは7月ごろ発表できるが、靴は9カ月掛か る」(本明秀文代表取締役)という。土佐料理店「わらやき屋」を展開しているDDホー ルディングスの松村厚久社長は「2週間で発表できる」と意欲的で、タカラトミー は人気の「トランスフォーマー」シリーズで、龍馬の武具などをモチーフに「6 月22日に発表したい」(石田四郎氏)という。DeNA Gamesの井口徹 也社長は「怪盗ロワイヤル、農園ホッコリーナなど人気ゲームシリーズに、高知 県関連の人物や産物などを登場させる予定」と話した。ユージ氏は既に田野町の 「西の岡邸」の庭修復プロジェクトにリーダーとして参加、石庭を復活させた。 今後は得意のイラストを町境の倉庫の屋根に描く計画があるという。

 第一幕では、高知城歴史博物館を中心に県内の歴史建造物や豊かな自然と食を 組み合わせてアピールしてきたが、予想以上に好評で、2017年の県外からの 観光客が過去最高の440万人に達した。NHK大河ドラマ「龍馬伝」が放送さ れ、全国で龍馬ブームが起きた10年の435万人を上回った。手応えを感じ取っ た尾﨑知事は「明治維新の土佐の志士たちは、地方から世界を目指していった。 第二幕ではその志の原点を探り、今もその志を持つ人たちで継いでいきたい。平 成の海援隊プロジェクトには、さらに才能のある人たちが結集し、世界へと飛躍 していくのが普通になることを願っている。平成の海援隊、今日がスタートです」 と高らかに宣言した。