「風邪気味だから、以前処方された薬の残りを飲んでおこう」「食前の薬を飲み忘れたから、食事のすぐ後に飲んでも大丈夫だろう」―。
日常生活の中で、なんとなく行っている体調管理や、薬の服用習慣。しかし、その知識、本当に正しいと自信を持って言えますか?
自分自身の健康に責任を持ち、軽度な不調は自分でケアする「セルフケア」の重要性が叫ばれています。一方で、健康や薬の専門知識は「難しそう」「勉強するのは面倒」と敬遠されがちなのも事実です。
そんな中、風邪薬「ルル」や解熱鎮痛薬「ロキソニン」でおなじみの第一三共ヘルスケア(東京)が展開し、SNSなどで人気を集めているのが、Web上で無料公開されている「全国統一 セルフケア検定」です。
2025年10月の第1弾(基礎編)公開以来、受検者数はすでに累計で約5万人(取材時点)を突破。お堅い「検定」という名前に反して、スマホでサクッと挑戦できるクイズ感覚の健康コンテンツ。手軽にできて「クイズ感覚で学べて面白い」「常識だと思っていたけど、全然違っていたみたい」とユーザーから好評です。
このセルフケア検定の第2弾(応用編)が10月29日からスタートしました。なぜ製薬会社がこのようなコンテンツを仕掛けるのか、同社広報部サステナビリティ担当の中村美由希さんに話を聞きました。
▽Z世代の誤情報に懸念
製薬企業が自社製品の効能・効果を正しく伝えることにとどまらず、生活者のヘルスリテラシー向上全般にコミットする活動は「薬育(やくいく)」と呼ばれます。
中村さんは、第一三共ヘルスケアがこうしたコンテンツを作った背景にある薬育への思いを語ります。
「薬育やセルフケアの大切さは以前から発信していましたがどうしても健康に関心が高い一部の層にしか届かないという課題がありました」と振り返ります。
「特に10〜20代を中心とするZ世代は、SNSやAIなどで手軽に情報を得られる一方、ネット上の誤情報にも触れやすい環境にあります。また一人暮らしを始めて自分で薬を選び始める時期でもあります。上から目線で教えるのではなく、まずはクイズで遊んでみるという親しみやすい入口を作りたかったのです」。勉強してもらうのではなく「楽しんでもらうことを第一に考えた」と中村さんは強調します。

▽基礎編は想定以上の高得点
第1弾(基礎編)は、薬の知識・食事・運動・生活習慣・美容の五つのカテゴリーから計15問が出題されました。同社が今年2月にまとめた集計によると、公開から約3カ月での受検者数は延べ2万2000人。性別は女性が約8割、男性が約2割。平均回答時間は約3分で、受検者の平均点は15点満点中「12.6点」と想定以上の高得点だったといいます。地方別の平均点のランキングでは、九州、四国、関東の順でした。
ただ、質問内容を細かく分析すると、特定のテーマで多くの人が“勘違い”に陥っていることが浮き彫りになりました。
特に正解率が低い傾向にあったのが「薬の知識」に関する問題です。「薬の飲み合わせや保管方法、服用のタイミングなどは正しい知識に触れる機会が限られる分野」(中村さん)といいます。たとえば「解熱鎮痛薬は同じものを飲み続けると効きにくくなる?」という疑問に対して多くの人が「効きにくくなる」と思い込んでいるようですが、用法・用量を正しく守り適正に使用していれば、耐性ができて効きにくくなるということは基本的にないとのことです。
「なんとなくそうだと思っていたことが『実は違ったんだ!』と気づいていただくこと、そしてセルフケアを身近に感じていただくことが、この検定の最大の狙いです」と中村さんはアピールします。
▽応用編は質問形式も工夫
好評を博した第1弾に続き、2026年10月29日からは第2弾(応用編)がスタートしました。
第1弾が「基礎知識の確認」だったのに対し、第2弾では出題プールが30問に増量され、挑戦するたびにランダムで15問が出題される仕様に進化。いろいろな問題に繰り返し楽しめる工夫が施されています。
さらに問題の質も、ドラッグストアでの製品選びや日常の悩みに直結する「より実践的な内容」に踏み込んでいるとのこと。
「マニアックで難解な知識を競うのではなく、『日常で直面するあるある』を網羅しました。1回の受検時間は5〜6分程度を想定しています。高得点も目指していただきながら、『そうだったんだ!』という小さな発見を楽しんでほしいですね」(中村さん)
▽OTC医薬品メーカーの責任
一見すると、製薬会社である第一三共ヘルスケアが「風邪をひかない予防法」や「薬に頼らない生活習慣」を積極的に啓発することは、“自社製品の出番を減らす(市場を縮小させる)”ようにも思えます。
この疑問に対し、同社は「予防(セルフケア)」「適切な市販薬の利用」「状況に応じた病院受診」の三つをセットで伝えることこそが、OTC医薬品メーカーとしての責任であり社会的使命だと考えています(広報部)。
人生100年時代と言われる中、医療リソースの逼迫や社会保障費の増大は大きな社会課題です。一人一人が正しい知識を持ち、自身の健康をコントロールできるようになることが、社会全体の持続可能性(サステナビリティー)に直結します。
▽製薬会社監修の確かな知識
ネット上には健康情報が溢れていますが、どれを信じていいか迷うことも多い時代。製薬会社が監修した確かな知識に、スマホで手軽に触れられるのはうれしいポイントです。
中村さんは「問題に取り組んだあとは、その内容を行動に生かしてもらい、そして、周囲の人にも広めてもらえればうれしいです。検定は若年層を中心に全世代を対象にしていますが、基礎編ではなかなか届かなかった男性のミドル世代にもぜひ受検してほしいです」と多くの人の“挑戦”に期待を寄せています。
通勤中の電車内や、自宅でリラックスしている時など「ちょっと時間があるからやってみようかな」という軽い気持ちで試せるこのコンテンツ。自分自身の知識チェックはもちろん、家族や友人との雑談のネタとしても盛り上がりそうです。
あなたもぜひ、自分の「セルフケア力」を試してみてはいかがでしょうか?








