若い世代の結婚・出産意欲の低下が止まりません。9月に国立社会保障・人口問題研究所が公表した第17回出生動向基本調査(調査は2025年に実施)の種々のデータが示す若い世代の結婚・出産意欲は、4年前の前回調査に比べて明らかに低くなっています。今後はさらなる出生数の減少が予見されます。
足元の数字を見れば、婚姻数や出生数は下げ止まっています。しかし、これはコロナ禍の時期に結婚を先送りにした人たちの反動的な動きによって婚姻数が微増となった影響が大きいと考えられ、あくまで一時的な現象です。
結婚・出産意欲の詳細について、まず、若い世代の結婚に対する考え方の変化を確認します。18〜19歳の未婚者で「一生結婚するつもりはない」と答えた人の割合は、10年前までは、男女とも10%以下の水準で推移していましたが、21年調査で明確に上昇し、今回調査では20%に手が届く水準まで来ています。
結婚時期の判断でも「年齢」より「理想的な相手」を重視する傾向がわずかに強まり、理想の相手が見つかるまで結婚を急がない、という意識が広がっているようです。子どもが欲しいのであれば、男女ともなるべく若い時期の結婚が推奨されている中で、結婚を急がないということは、どうしても子どもを持ちたいと思っている人が減少していることを意味しています。
出産意欲の低下を示すデータとして、「希望子ども数」のデータを見てみましょう。未婚者の希望子ども数は15年以降減少し、「いずれ結婚するつもり」の男性1・64人、女性1・70人となっています。政府が「希望の実現を目指す」とする希望出生率を試算すると、1・44となり、10年時点のデータで算出した1・83を大きく下回る状況です。
しかも、「いずれ結婚するつもり」としている未婚女性の中でも、「子どもはいらない」という人が増え、今後、子どもを持たない夫婦の増加も予想されます。一方、子どもを望む夫婦では早期の妊娠を希望する割合が高まっており、結婚・出産を望む人と望まない人の意識が二極化している様子が認められます。
コロナ禍以降、少子化を促した主因は、婚姻数の減少にあります。結婚を望まない、あるいは難しいと考える人が増えているのです。こうした若者の意識の変化を受け、求められる少子化対策も、時代に即したものにしていく必要があります。
出生動向基本調査によれば、「一生結婚するつもりはない」と答えた未婚者が「いずれ結婚するつもり」に変わり得る理由として、男女とも「結婚したいと思う相手が現れる」が、最も強く支持されています。近年は、出会いの機会としてインターネットの存在感が増していますが、その利用に抵抗を感じる人もいるため、オンラインでの出会いに、より高い安心感を与える仕組みが求められます。
また、女性の結婚意欲を高める要素として、自らの「収入や貯蓄が増えること」が挙げられており、女性の経済力向上や正規雇用化なども重要な取り組みと言えます。現在取り組まれている子育て支援策に加えて、結婚への障害を取り除く施策も求められます。
(日本総合研究所 調査部 主席研究員 藤波匠)
KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No.40からの転載】







