
「AIを使った詐欺」と聞くと、どこか遠い話に感じるかもしれない。ところが、65歳以上の親を持つ30~50代を対象にした調査では、約5人に1人の家庭で、親がAIに関連する詐欺やトラブルに遭遇していたことが分かった。
調査を行ったのは、生成AI学習コミュニティー「SHIFT AI」を運営するSHIFT AI(東京)。2026年9月7日~14日に、全国の30~50代男女723人を対象に実施した。
親が生成AIやディープフェイクなどに関係する詐欺・トラブルに「遭遇したことがある」と答えたのは19.9%。そのうち、実際に被害に遭ったという回答も5.8%に上った。
最も多かったのは、「家族や知人の声をまねた不審な電話(ディープフェイク音声のなりすまし)」で12.0%。次いで「AI製の巧妙なフィッシング・詐欺メール」が11.3%、「AI生成とみられる偽ニュース・偽広告」が10.0%となった。
AIを悪用した手口は、もはや特殊なケースではなく、電話やメール、インターネット広告など、日常的に接するものへ広がっているようだ。
一方、子世代が親の生成AI利用について感じている不安では、「誤った情報を信じてしまいそう」が43.2%で最多。「個人情報を入力してしまいそう」30.8%、「操作のトラブルに対応できなさそう」30.0%、「詐欺・悪質な情報に誘導されそう」25.3%と続いた。「特に不安はない」は22.1%にとどまっている。

興味深いのは、実際にAI詐欺・トラブルに遭遇した家庭ほど、親の生成AI利用に前向きだったことだ。
「親に生成AIを使ってほしい」と答えた割合は全体では30.7%。ところが、トラブルに遭遇した家庭では51.4%に達し、遭遇していない、または分からない家庭の25.6%の約2倍となった。
さらに、「使ってほしい」と回答した人が期待する用途では、「日常の調べもの・役所などの手続きの補助」が56.8%で最多。「不審な連絡を受けた際の相談・確認方法の案内」も37.4%、「AIによる見守り・安否確認」が36.0%となり、単なる便利さだけでなく、親を守るためのAI活用にも期待が寄せられている。
AIには誤情報や個人情報、詐欺への誘導などのリスクがある一方、正しく使えば、不審な情報を確認したり、分からないことを調べたりする手助けにもなる。今回の調査からは、「危ないから使わせない」だけではなく、親子でリスクを理解し、安全な使い方を身につけるという考え方も浮かび上がっている。








