今年は4年に一度のサッカーワールドカップ。世界の強豪相手に渡り合う、日本代表の試合に心躍った方も多いのではないでしょうか。今大会で活躍した堂安律選手は沖縄県伊良部島にルーツがあると聞き、私は昨夏、同島を訪問した際の思い出が蘇りました。
伊良部島近海には「パヤオ」と呼ばれる浮き漁礁が設置されており、その周辺にカツオが集まります。早朝に一本釣りされ、昼に水揚げされた、新鮮極まりないカツオを、港に隣接する漁協直営の「おーばんまい食堂」でいただきました。食堂の窓に映ったエメラルドブルーの海の景色とともに、カツオ丼の爽やかな味わいが脳裏に浮かびます。
ワールドカップといえば、2010年の南アフリカ大会で、ドイツ代表の試合結果を全て的中させたタコ「パウル君」を覚えている方もいるかもしれません。水産物としてのタコ、特にマダコは愛知県日間賀島など名物となっている島も多いなかで、全国的にその資源量は減少傾向にあります。私自身、岡山県大飛島を訪れた際に、地ダコを使ったタコ飯があまりにも美味しかったので再訪したのですが、不漁により、食べることは叶いませんでした。
実はマダコはウナギと同じく完全養殖が難しく、大量生産を目指して、現在進行形で産官学での研究が進められています。その一つが水産研究・教育機構の「水産技術研究所 百島庁舎」で、広島県の人口300人ほどの島で、稚ダコを育てるための餌の開発などに取り組んでいるそうです。天然資源の回復を願うとともに、近い将来、離島での完全養殖が実現したら面白いと思います。
と、ここまでお話してきた島の水産物が、意外に都心でも流通していることをご存じでしょうか。先日東京・築地の場外市場を覗いてみると、長崎県対馬のアジや、新潟県佐渡島の甘エビ、北海道天売島や礼文島のウニが並んでいました。もっともウニは高くてとても手が出ませんでした…。スーパーだと細かな産地まで表記されないことも多いですが、例えば刺し身パックのラベルに「東京都産トビウオ」と書かれていれば伊豆・小笠原諸島で漁獲されたものです。もっと一目で島産と分かれば良いと思います。
久保建英選手がクラブチームに所属したこともある、スペイン・マヨルカ島などは地域の水産物の認証に取り組んでおり、地元で獲れた新鮮な魚介類に目立つタグが付けられ、島外のものと区別されています。
サッカーの現地観戦を楽しむのと同様に、都会で食べても島の水産物は十分に美味しいとはいえ、旅の思い出なども含めて、やはり当地で食べる感動にはかないません。ぜひ皆さんも夏休みに魚との一期一会を求めて、島を訪れてみてください。
公益財団法人日本離島センター 広報係 石川新(いしかわ・あらた)
日本離島センターとは?
離島振興の推進を目的に1966年に設立。今年2月に設立60周年を迎えた。現在、北海道礼文町から沖縄県与那国町まで、離島振興関係5法の対象有人島を有する全国136市町村で組織している。広報宣伝、研修活動、島づくり活動への助成事業などを展開。全国の島々が一堂に会するイベント「アイランダー」の開催をはじめ、季刊の雑誌『しま』や、離島に関する各種データを掲載する『離島統計年報』などを発行している。
【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No.28からの転載】







