一般社団法人定年後研究所(東京都港区)は、大企業の社員を対象にした就業価値観に関するアンケ―トを実施。「50~60代の75%は、転職・独立を目的とした学びなどを視野に入れた行動を何もしていない」などとする調査結果を公表した。
調査は2022年4~8月、都市部(関東・関西・中部)の従業員1000人以上の企業に勤務する社員1283人(男女22~69歳)にインターネットで実施。さらに、大企業15社の人事担当者に聞き取り調査した。今回は「大企業50代以上会社員のキャリア自律」をテーマにしたため、50代以上を中心に分析した。
転職サイト・副業斡旋(あっせん)サイトなどへの登録、ボランティア活動といった「キャリアチェンジ」を視野に入れた行動をしているかを尋ねたところ「50~60代では、75%は何も行動せず」と回答した。
政府や民間企業が社会人のリスキリング(学び直し)を提唱しているが、調査では50~60代は4割、若年世代でも35~40%近くが「学び直し」をしていなかった。50~60代では、70歳までに「転職したい」「起業したい」は少数派で、「今の会社(グループ含む)で働き続けたい」が3分の2と保守志向が鮮明だった。一方、20代は「定年後は働きたくない」が3分の2に達したという。
近年、従業員がキャリアコンサルティングやキャリア研修を受ける機会(セルフキャリアドック)を企業が設定することが求められている。定年後研究所は「国や産業界は、学び直しやリスキリングがキャリアチェンジ行動につながるという、動機付けやサポートの仕組み作りが必要だ」としている。
調査報告書は、同研究所に申し込めば無料でURL送信するか、冊子(A4版、54ページ)の配布も可能だとしている。