まめ学

「2022年 赤ちゃんの名前ランキング」 トレンドは伝統的な日本の“色”がイメージされる「レトロカラーネーム」

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 多様性やグローバル化が進む近年は海外でも通じるような名前が増えている一方、古風で日本的なイメージの「レトロネーム」の人気が高まっている。そして、2022年特に目立っていたのは伝統的な日本の「色」がイメージされる「レトロカラーネーム」だった。

 育児支援サイトを運営する「ベビーカレンダー」(東京)が、2022年1月1日から10月1日まで、男の子5万4449件、女の子5万2840件の計10万7289件を調査した結果を「2022年 赤ちゃんの名前ランキング」として発表している。

 「レトロカラーネーム」の流行りが感じられた2022年、男の子の名前ランキングでは「碧(主なよみ:あおい、あお)が2021年の7位から順位を上げて1位に輝いた。「碧」は、「碧色(へきしょく)」ともいわれ、強い青緑色を指す。やや黒みを帯びた青色の「紺碧(こんぺき)」や、鈍い青緑色の「青碧(せいへき)」などの色の和名にも使われている。

 さらに2022年にランクを上げた注目のレトロカラーネームは、「翠(主なよみ:すい、みどり)」と「葵(主なよみ:あおい、あお)」だった。「翠」は、女の子の名前ランキングで2020年の圏外から2021年は55位に順位を上げ、2022年は19位とさらなる躍進を見せた。「翠」は「翠緑(すいりょく)」ともいわれ、鮮やかな緑色を指す。緑色の羽を持つ翡翠(カワセミ)に由来していて、宝石の翡翠(ひすい)に用いられている漢字。

 「葵」は男の子の名前ランキングで40位、女の子の名前ランキングでは3位。男の子は2021年の51位から、女の子は同4位からのランクアップ。「葵」は、日本の代表的な夏の花、向日葵(ヒマワリ)のような鮮やかな黄色を指す「向日葵色(ひまわりいろ)」に使われている漢字だ。男の子の名前ランキングで2022年に1位となった「碧」と同じく「あおい、あお」と読むことができ、さわやかですがすがしいイメージの名前の人気がうかがえる。

 男の子の名前ランキングのトップ3は、1位「碧」、2位「陽翔」、3位「蓮」だった。2018年から不動の人気だった「蓮」を抜き、「碧」が2021年の7位から1位になった。「陽翔」は2020年に3位、2021年2位と順位を上げ、今年も2位を維持した。近年人気の「と止めネーム」の止め字として使われる「翔」の人気の高さがうかがえる。

 また、2022年に5位にランクインした「蒼空(あおと)」もトップ10圏外からランクインしており、これまで「と止めネーム」の代名詞だった「翔」に加えて、「と止めネーム」のバリエーションが増加しているようである。

 女の子の名前トップ3は、1位「陽葵」、2位「凛」、3位「芽依」だった。「陽葵」は2020年も1位を獲得した人気の名前だが、2021年は3位、2022年は首位に返り咲いた。2位の「凛」をはじめ、2021年の22位から2022年5位にランクを上げた「詩」、3位の「葵」、8位の「紬」、10位の「澪」などトップ10のうち5つが日本的なイメージを持つ名前で、2022年も「レトロネーム」に根強い人気があった。

 男の子の名前よみランキングのトップ3は、1位「はると」、2位「りく」、3位「ゆいと」だった。絶対王者の「はると」は、2018年から5年連続の首位。3位「ゆいと」、4位「あおと」、5位「みなと」が続き、近年人気の「と止めネーム」が上位に食い込んだ。「と止めネーム」人気のなかで近年注目されているのが3位の「りく」。2020年の4位から2021年2位に順位を上げ、2022年も2位。2021年に13位だった「そら」も2022年は8位でトップ10入りした。男の子のよみでも「2音ネーム」の人気が高まっている。

 女の子の名前よみランキングのトップ3は、1位「えま」、2位「みお」、3位「めい」だった。2022年は5位の「あおい」以外、1位から7位を「2音ネーム」が独占する結果となった。「えま」は1位、「みお」は2位と2021年と同じ順位に。2021年に5位だった「めい」は3位に、12位だった「さな」は大きく順位を上げて4位にランクアップした。また、2021年に11位だった「りお」も6位になった。将来グローバルに活躍してほしいという思いからか、誰でも呼びやすい「2音ネーム」の人気が高まっているようだ。

 男の子の名前に使用された漢字ランキングトップ3は、1位「翔」、2位「大」、3位「陽」だった。これまで3位をキープしていた「斗」が4位に、2021年に4位だった「陽」が順位を上げて3位にランクイン。空高く飛び立つという意味がある「翔」に、おおらかでたくましい様子の「大」、日の光を表す「陽」、広大なさまを意味する「悠」、清々しい澄んだようすの「晴」など、明るくあたたかみのある漢字が人気を集めた。

 女の子の名前に使われた漢字ランキングトップ3は、1位「莉」、2位「花」、3位「結」という結果だった。2020年、2021年と1位だった「花」を「莉」が上回り、トップ10は自然の生命力を表すような漢字がランクインした。「成長」や「健やかさ」をイメージさせる漢字で、赤ちゃんの希望溢れる未来を願った親が多かったようだ。
 さて、今年はどんな名前が人気を得るのだろうか。