SDGs

⼤阪・関⻄万博の水上ショー「アオと夜の虹のパレード」のキャラクターなどを公開 テーマは水と空気で会場限定販売のビールも

サントリーの前波美由紀大阪・関西万博推進室長(左)とダイキンの松本親明大阪・関西万博担当部長

 「水と生きる」サントリーと「空気で答えを出す」ダイキン。⼤阪・関⻄万博で水と空気がテーマのエンターテインメントショーを共同で実施する両社が12月24日、ショーの詳細を公開した。

■水と空気の大切さ知って行動変容を

 ダイキンの松本親明大阪・関西万博担当部長は「水と空気は当たり前のように存在しているが故に大切さについて意識することがほとんどない。そのため、水と空気の素晴らしさや可能性、持続可能な社会に向けて行動変容につながる水上ショーを開催する」と説明。「アオと夜の虹のパレード」と題されたショーの舞台は、大屋根リング内の8800平米に及ぶウォータープラザエリア。水のスクリーンを作り出すオブジェクトと約300基の噴水、照明やレーザーを駆使した壮大な演出が繰り広げられる。

水上ショー「アオと夜の虹のパレード」(写真提供:サントリーHD/ダイキン工業)

 「もし地球の全てを見てきた水と空気に話を聞くことができたなら、人間が今後進むべき未来へのヒントをもらえるのではないか——」

 そんな着想から生まれた物語の主人公は、島に住む子どもアオ。声を劇団四季「ライオンキング」などで活躍する毛利花さんが務める。水と空気の精霊ドードー役に友近さん、若かりし日の「夜の虹」体験をアオに話すおばあちゃん役に夏木マリさんを抜擢。「夜の虹」とは、空気中の水分量が豊かで、かつ明るい月が出る夜に見られる虹で、まれに観測される自然現象だ。

「アオと夜の虹のパレード」のキャラクター、アオ(左)とドードー

 テーマソング「にじまつり」は音楽プロデューサーの菅野よう子さんが作詞作曲を担当。民謡、島唄、わらべ唄といった伝統音楽を基調に、水と空気というフレーズを歌詞全体にちりばめている。映像作家の加藤隆さんが制作した「にじまつり」のミュージックビデオも公開された。

 夜の水上ショーと連動した、昼の参加型エンターテインメントも実施される。ウォータープラザでは、音楽と噴水が織り成す約5分間のショー「水と空気のシンフォニー」を毎時00分に開催。さらに、巨大な噴水を操作している気分を味わえるインタラクティブイベント「水と空気のマジカルダンス」も不定期で実施される予定だ。

昼間に実施される水上ショー「水と空気のシンフォニー」(写真提供:サントリーHD/ダイキン工業)

 サントリーの自動販売機やレストラン、ダイキンの「氷のクールスポット」に設置される二次元コードをスマホで読み込むと、パレードに登場する生き物を召喚できる「水と空気のARパレード」も万博会場内で楽しむことができる。サントリーの大阪・関西万博推進室長の前波美由紀さんは、「一日を通して『アオと夜の虹のパレード』の世界を楽しみ、水と空気といのち輝く未来に思いをはせるきっかけにしてほしい」と訴えた。

スマホ画面を空にかざすと生き物たちが動き出す「水と空気のARパレード」(写真提供:サントリーHD/ダイキン工業)

 ダイキンの松本さんは「大阪に身を置いている企業として、サントリー、制作会社の皆さまと作り上げたのはとても良かった。難しいことも多々あったが、何とかここまで完成した」と感想を述べた。サントリーの前波さんは「屋外でするショーのため天気に左右される。その日ご覧になるお客様が、その日の環境の中でいいものを見たと楽しんでいただけることが目標」と語った。

 水上ショーの企画・原案には東京2020パラリンピック開会式のプロジェクションマッピングの演出を手掛けた田中直基さん、制作にはフランスの制作会社ECA2が参画。万博期間中、毎晩2回、各20分。11月には水のスクリーンを作り出す高さ18メートルのオブジェクトが完成し、現在は周囲の300基の噴水装置を設置中。2月末には海水入水の予定だ。

■万博契機に再生農業原料ビールや参加型商品開発に挑戦

 同日、サントリーは大阪・関西万博に向け、再生農業原料を使用したビール「水空(すいくう)エール」の発売を発表。再生農業は、カバークロップの活用や耕作回数削減により土壌改良や農業由来の温室効果ガス削減が期待される農法。コストや品質に課題があったが、22年から農家と協力し、試行錯誤の末に開発を実現した。このビールは、サントリーとダイキンが共同でコンセプトを作り上げた万博会場内のレストラン「水空 SUIKUU(すいくう)」で、環境に配慮したCO2削減グラスを用いて、数量限定で提供される予定だ。

カバークロップとは、土壌中への有機物の供給や土壌浸食防止等により土壌改良が期待できる被覆作物を指す(写真提供:サントリーHD)

 

爽やかな香りとすっきりとした後味の「水空エール」

 

温度や湿度、気流を最適にし、清涼で爽やかな空気が、まるで高原で食事をしているようなレストラン「水空SUIKUU」(写真提供:サントリーHD)

 その他にも、CO2排出量を13%削減したビンを採用した日本ワインのブランドSUNTORY FROM FARMの「登美の丘 赤 時のかさね」「信州 シンフォニー 2023」が万博会場や国内空港免税店で販売される。また、「赤玉スイートワイン 万博ラベル」を近畿エリアで数量限定発売。加えて、新たな商品開発モデルとして、お客様参加型の「ワールドKANPAIビール」を展開。4月に万博会場でベースとなるビールを販売し、アンケートで集めた世界中のお客様の嗜好(しこう)を元に商品開発を行う。完成した商品は、9月に全国で数量限定発売される計画だ。

大阪・関西万博のロゴや公式キャラクター「ミャクミャク」がデザインされ、「大阪生まれの赤玉」と記載された「赤玉スイートワイン 万博ラベル」(中央)

 サントリーの田中嗣浩戦略本部長は、「万博は、近畿地方においては需要増のチャンス。今住んでいる方以外に国内外の方もたくさん来られるので、近畿の需要はものすごく上がってくると思う。関西以外の万博の盛り上げをしっかり行っていきたい」と語った。

サントリー 田中嗣浩戦略本部長