福井県越前市などでつくる官民組織「紫式部プロジェクト推進協議会」は、放送中のNHK大河ドラマ「光る君へ」に合わせて、紫式部が都から越前国府(現越前市)に赴いた旅を再現する「紫式部の旅」を10月18日から20日にかけて実施した。
同協議会によると、紫式部は996年、越前国の国司となった父・藤原為時に同行し、1年余りを越前市で過ごした。「生涯でただ一度、都を離れた越前での暮らしは、源氏物語を執筆する原動力になったと考えられている」と説明している。
「旅」には、公募などで全国から集まった計117人が参加。京都・宇治市を出発し、越前市まで平安衣装を身にまとい旅の行列や儀式を忠実に再現。源氏物語の「宇治十帖」の舞台となった宇治上神社のほか、大津市の石山寺、福井県敦賀市の氣比(けひ)神宮、南越前町の鹿蒜(かひる)神社や今庄宿など、紫式部や源氏物語のゆかりの地を順に巡り、メンバーを入れ替えながら計6カ所で行列や儀式を再現した。終着地の越前市では、総社大神宮から市役所までの大通り約300メートルを約40人が練り歩いた。越前市出身で、パリ五輪フェンシング男子エペ団体で銀メダルの見延和靖選手が為時役となり、紫式部、侍女、陰陽師などが列をつくり歩いた。
各地の境内や沿道は、多くの市民や見学ツアー客でにぎわったといい、越前市は「今後も歴史ある越前市の魅力を発信していきたい」としている。