X

「脚本を読んで、世界にはこれが必要だと思った」ブラッド・ピット&デビッド・リーチ監督 映画『ブレット・トレイン』【インタビュー】

 伊坂幸太郎の小説『マリアビートル』を、ブラッド・ピットを主演に迎え、『デッドプール2』(18)のデビッド・リーチ監督が映画化したミステリーアクション『ブレット・トレイン』が、9月1日(木)から劇場公開される。今回、『ファイト・クラブ』(99)『トロイ』(04)『Mr. & Mrs. スミス』(05)など、数々の作品でピットのスタントマンを務めたというリーチ監督とピットとのツーショットインタビュー映像が解禁となった。

デビッド・リーチ監督(左)とブラット・ピット

-まず、お二人の関係性について教えてください。

ピット いい循環のような関係で…。

リーチ 運命だよ。

ピット そう、運命だ。彼の仕事ぶりを遠くから見ていたんだけど、クールでエネルギッシュな独自のスタイルを確立した。それがとても印象的だった。でも、今の関係性はといえば、彼が監督だからね。僕は仕える立場、つまり彼がボスさ。

-監督になった経緯は?

リーチ 僕にとって、『ファイト・クラブ』は大きな意味を持っている。スタントマンとして出演した大作映画だった。この映画で大スターと偉大な監督(デビッド・フィンチャー)による見事なコラボレーションを目の当たりにした。エドワード・ノートンのことだ。また、ブラッドのスタントを世界各地で務めて、最高の役者のスタントはものすごく勉強になった。映画製作に携わる者として多くを学んだ。それで火がついて、彼(ピット)には「短編を撮るんだ」と報告していた。

ピット 「頑張れよ」って感じ(笑)。監督になりたいやつが、また1人増えたなと。

リーチ それで…、スタントマンとして現場を間近で見られたことが、いい経験になった。やる気を持って現場を熱心に見たことが、きっと…。

ピット 彼は格闘の経験も長くて、それが『ファイト・クラブ』でのアクションに役立った。そして今回の作品にもつながった。あれはロックダウンに入って、4~5カ月ぐらい過ぎた頃だった。みんな気がめいってきて、世界中がうつ状態のようだった。そんな中で、本作の脚本を読んだんだ。この友人(リーチ)とは、つながっていたからね。脚本を読んで、大声で笑ってしまったよ。バッド・バニーのシーンまで読んでこう言った、「世界にはこれが必要だ!」と。そこからは話がとんとん拍子に進んだね。

リーチ そうだね。彼が言う通り、コロナ禍で撮影したから、みんなの救いになった。ソニーのスタジオにクレイジーな役者が集まり、好き放題にやったんだ。

-背景のリアルさを実現させた方法は?

ピット まず撮影したのが…。

リーチ 背景だ。

ピット そう。東京から京都までの景色を撮影した。あの巨大画面は新幹線の2~3両分ぐらい?

リーチ そうだね。

ピット その画面を車両の両側に設置して、いつでも必要な背景を表示できるようにした。そのおかげで、退屈な防音スタジオのようには感じなかった。実際に移動している感覚があったんだ。一部のスタッフは乗り物酔いをしていたよ(笑)。

-なぜ、フラッシュバック(物語の進行中に過去の場面を組み入れるモンタージュ手法)を使ったのですか。

リーチ 列車のシーンから退避するために、フラッシュバックは必要だった。列車の旅は約2時間続く。素晴らしいセットではあったけど、外の世界も入れたかった。ホワイト・デスやウルフの物語も見せたかった。それを数分間見せてから列車に戻るのは、僕がこだわった構成だ。退避とともに、映画もよりワイルドになる。旅に彩りを与えようとした。それぞれの人物が、これまでたどってきた旅を、運命の旅として表現したかったんだ。

(構成/田中雄二)

『ブレット・トレイン』