地域や社会に貢献する青少年が鹿児島に集結! 「ボランティア・スピリット賞」九州ブロック表彰式

壇上に勢ぞろいした受賞者たち。
壇上に勢ぞろいした受賞者たち。

 ボランティア活動で地域や社会に貢献した青少年を支援する「第21回ボランティア・スピリット・アワード」(プルデンシャル生命、ジブラルタ生命など主催)の九州ブロック表彰式が11月12日、鹿児島市内で開かれ、8県の中高生ら9人と14団体に「ブロック賞」と「コミュニティ賞」が贈られた。

 日本では今年で第21回を迎えたこの賞は、1995年に米国でスタートし、今では日米以外に、韓国、中国、台湾、アイルランド、ポーランド、ブラジル、インドで開催されている。ボランティア活動をしている12~18歳の青少年であれば個人またはグループで応募でき、地域貢献度や発想力、企画力、実行力、リーダーシップなどを総合的に審査。日本では全国7つのブロックごとに「ブロック賞」と「コミュニティ賞」が授与される。

割れるような拍手の中、入場してくる受賞者たち。
割れるような拍手の中、入場してくる受賞者たち。

 最初に主催者を代表してプルデンシャル生命保険鹿児島支社・支社長の柴尾圭一(しばお・けいいち)氏が登壇。この賞の目的は3つあり、1つ目は中高生の皆さんの日頃のボランティア活動に心から「ありがとう!」と伝えること、2つ目は今日の交流を通じて新しい仲間を作って欲しいこと、3つ目は皆さんの活動を広く社会に発信すること、などとあいさつした。

 次に九州ブロックの「コミュニティ賞」を受賞した18組が紹介され、表彰状・銅メダル・ボランティア活動支援金2万円が贈られた。それぞれの代表者がひと言ずつコメントしたが、街の清掃活動を行っている佐賀県立唐津西高の林田晶(はやしだ・しょう)さんの「周りに流されず自分の信念を持ってやることが大切」、スペインで巡礼者を世話した日向学院高の境田凛(さかいだ・りん)さんの「ボランティアで自分のした倍以上のことが返ってきたような気がする」という言葉が印象的だった。

 「ブロック賞」に輝いたのは、熊本県御船町立御船中学校吹奏楽部、熊本県立阿蘇中央高等学校みさお大豆研究班、熊本県立八代高等学校の水口侑紀(みずぐち・ゆき)さん、宮崎第一高等学校の難波沙和(なんば・さわ)さん、特定非営利活動法人/数学・科学技術推進協会Math Math Good(沖縄県)の佐々木陽悠(ささき・はるゆき)さん。5組には表彰状・銀メダル・ボランティア活動支援金5万円が贈られ、12月開催の「全国表彰式」に出場することができる。

他県の人たちに被災地・熊本の姿がどう映っているか知るため、3カ月ごとに関東に行きアンケートを実施したという水口侑紀さん(写真中央)。
他県の人たちに被災地・熊本の姿がどう映っているか知るため、3カ月ごとに関東に行きアンケートを実施したという水口侑紀さん(写真中央)。
語学を教える難波沙和さん(写真中央)は自身も来年留学の予定だ。今回、メダルのプレゼンターとして受賞者OBで米国ボランティア親善大使にも選ばれた森野宇宙(もりの・たかとき)さん(写真右)も参加し、スピーチも行った。
語学を教える難波沙和さん(写真中央)は自身も来年留学の予定だ。今回、メダルのプレゼンターとして受賞者OBで米国ボランティア親善大使にも選ばれた森野宇宙(もりの・たかとき)さん(写真右)も参加し、スピーチも行った。
米軍基地の多い沖縄で外国の子どもたちに数学・科学・日本語・英語などの科目を教える活動もしているという佐々木陽悠さん(写真中央)。
米軍基地の多い沖縄で外国の子どもたちに数学・科学・日本語・英語などの科目を教える活動もしているという佐々木陽悠さん(写真中央)。

 御船中吹奏楽部は、熊本地震で傷ついた人たちに音楽で元気を届けようと、避難所や復興イベントで演奏するなど20回以上の公演を実施。坂本九の「上を向いて歩こう」やAKB48の「365日の紙飛行機」など元気になれる曲を選んで演奏したという。同校3年の中川友貴美(なかがわ・ゆきみ)さん(14)は「演奏前は快く聴いてもらえるか心配だったが、演奏した後に、最初は迷惑だと思っていたという人が聴いて感動したといってくれた時はうれしかった」と語ってくれた。

代表して表彰状を受け取る、御船中吹奏楽部の中川友貴美さん。制服の上に着たくまモンのTシャツがかわいい。
代表して表彰状を受け取る、御船中吹奏楽部の中川友貴美さん。制服の上に着たくまモンのTシャツがかわいい。

 幻の大豆といわれる「みさを大豆」を栽培するのが阿蘇中央高みさを大豆研究班。水田に被害を受けた農家のために水をあまり必要としない大豆のことを調べているうち、地元で発見された大豆の存在を知ったという。小粒で楕円形のため選別が難しく大量生産している農家はないため、生産復興に向けて活動している。同高3年の荒牧剛士(あらまき・つよし)さん(18)は、「作り始めた昨年は虫や病気で大変でしたが、今年は比較的順調でした。11月19日は学校の文化祭でみさを大豆で作ったみそを販売しますのでぜひ来て下さい」とアピールしていた。

阿蘇中央高みさを大豆研究班の荒牧剛士さんも表彰状を受け取り思わず笑みがこぼれる。
阿蘇中央高みさを大豆研究班の荒牧剛士さんも表彰状を受け取り思わず笑みがこぼれる。

 「外国人のための日本語れんしゅう会」でボランティアに取り組んでいるのが難波沙和さん(16)。アメリカやフランス、カンボジア、ネパール、ベトナム、韓国の人たちに日本語を教える日本人ボランティア約30人のうちの1人として、マンツーマンで日本語を教えている。「受賞の知らせを聞いたときは驚きました。生徒はベトナムの方が多いです。母国である程度勉強してきた人が多いのですが、昔話の「桃太郎」を教材に、外国人には難しい『は』と『が』の使い分けを教えるなどしています」と話す。語学に興味がある難波さんは、自身もこの冬アラスカにホームステイし、来年はスペインに留学を予定しているという。

 そのほか、数学と化学の楽しさを広めることを目標に「数学研究会」で活動しているMath Math Goodの佐々木陽悠さん、熊本地震の支援活動を1人で始め「熊本においでよ~被災地訪問・復興ツアー」を企画した水口侑紀さんを含めたブロック賞の5組は、大阪市内で12月16日に開催される「全国表彰式」に出席する。全国から集まったブロック賞受賞者の中から、文部科学大臣賞2組と米国ボランティア親善大使2組、スピリット・オブ・コミュニティ奨励賞8組が選ばれ、米国ボランティア親善大使の受賞者は、2018年5月に米国ワシントンで開かれる全米表彰式に派遣される。

◆第21回ボランティア・スピリット賞 受賞者一覧
九州ブロック
ブロック賞 熊本県 熊本県立阿蘇中央高等学校 みさを大豆研究班
熊本県 熊本県立八代高等学校 水口 侑紀さん
熊本県 御船町立御船中学校 吹奏楽部
宮崎県 宮崎第一高等学校 難波 沙和さん
沖縄県 特定非営利活動法人数学・科学技術推進協会Math Math Good 佐々木 陽悠さん
コミュニティ賞 福岡県 いいづか人材育成グループ ユリシス
福岡県 新宮町立新宮中学校相島分校 相島少年消防クラブ(BFC)
福岡県 福岡県立糸島農業高等学校 根っこ部
福岡県 福岡県立浮羽工業高等学校 自動車研究部
佐賀県 唐津市立浜玉中学校 生徒会
佐賀県 佐賀県立唐津西高等学校 林田 晶さん
長崎県 長崎県立諫早農業高等学校 食品科学部
大分県 大分県立大分舞鶴高等学校 吉澤 真穂さん
熊本県 菊池川流域プロジェクト
熊本県 熊本市立千原台高等学校 ボランティア部
宮崎県 日向学院高等学校 境田 凜さん
宮崎県 日向学院高等学校 永友 涼夏さん
宮崎県 宮崎県立宮崎農業高等学校 ボランティア部
鹿児島県 岩澤 あかりさん
鹿児島県 鹿児島県立種子島高等学校 種子島レオクラブ
鹿児島県 鹿児島県立福山高等学校 山下 恵実さん
鹿児島県 鹿児島市立黒神中学校 生徒会
沖縄県 多良間村立多良間中学校 多良間島に小さな笑顔を広げる会