誰もがマスクを着用して人と接し続けたコロナ禍が明け、以前のようにマスクを着けない顔の方が多くなった。マスクをせずに会話する機会も増え、少し気を抜きがちだった“お口のケア”が気になっている人もいるかもしれない。
そんな中、製薬会社「第一三共ヘルスケア」(東京)の歯周病研究から生まれた約40年の実績を持つロングセラー歯周病予防歯みがき「クリーンデンタル トータルケアシリーズ」が、2024年2月14日に全面リニューアルした。口内の汚れをしっかり落とし、歯周病菌を殺菌するための薬用成分を強化した。また、ユーザーからの要望に応え、キャップを片手で開けられるチューブ容器*1に変えてより使いやすくなった。口臭や歯周病予防など、オーラルケアへの関心が高まる中、製薬会社ならではの確かな効果を感じられる歯みがきシリーズをさらに強化した同社開発グループの春田亮氏に、今回のリニューアルのポイントや、生涯を通じて重要な歯周病予防について聞いた。*1 50gは除く
■約40年のロングセラー、10種類の薬用成分が効果を発揮。くせになる使用感で高リピート
「クリーンデンタルシリーズ」は1985年に発売。そこから6度のリニューアルを重ね、発売当初に6種類からスタートした薬用成分は、現在、10~11種類配合されている。2013年のリニューアルとTVCM等の広告スタート以降、2018年に「くすみケア」、2019年に「無研磨」、2021年に「トータルケア大容量」、2022年に「プレミアム」と、ラインアップを追加し、順調にファンを増やしてきた。歯周病予防効果がある「塩(塩化ナトリウム)」を由来とするなど“塩気”が特徴の個性的な風味と、爽快感も相まって「約2人に1人はリピートしていただいている*2」という。高い歯周病予防効果を求める人向けの製品だ。ラインアップは「トータルケア」(スッキリ塩味)、「口臭ケア」(レモンフレーバー)、「美白ケア」(マイルドなハーブミントフレーバー)、「知覚過敏ケア」(シャキッとしたフレッシュミントフレーバー)、「無研磨」(スッキリ塩味)の5種類。 *2 出典:True Data クリーンデンタルシリーズ 2022年4月-2023年3月 リピート分析
人により、むし歯・歯周病・口臭・歯の美白など、歯みがきに対するニーズが多様化する中、同社は、より薬用成分を強化した製品開発を目指し、2018年から基盤研究を進めてきたという。そして、歯みがき全5品目と薬用リンス(いずれも医薬部外品)の処方を強化し、パッケージデザインも一新した。マスク離れが進み、口臭や歯の美しさなどを気にする人も増える中での新製品の登場。春田氏は、「このタイミングで強化した製品を出すことで、より皆さまに頼りにしていただけるブランドになるのではないか」と期待を込める。
■ファンも多い個性的な風味はそのままに、処方を強化
今回のリニューアルでは、「クリーンデンタル トータルケアシリーズ」の全品目に共通して配合されている殺菌成分3種のうち2種の配合量を増量*3。歯周病の原因に効果的に働きかける殺菌成分の濃度が、これまでのクリーンデンタル史上最も高い処方を実現した。また、目的別の「口臭ケア」「知覚過敏ケア」「美白ケア」の歯みがき3品目については、各ケアに特化した薬用成分やコンセプト成分を増量および追加配合し、より生活者のニーズに近づけるように追求している」(春田氏)という。 *3 イソプロピルメチルフェノール(IPMP)、ラウロイルサコシン塩(LSS)、塩化セチルピリジニウム(CPC)のうち、IPMPとLSSを増量
リニューアルへの道のりは平たんではなかった。まず、“変えるもの”と“変えたくないもの”を議論するところからスタート。“変えるもの”は、殺菌成分の増量や特長成分の追加などの処方強化と、片手で開けやすいキャップなどの使いやすさ。“変えたくないもの”は、クリーンデンタルの長年の愛用者たちから「クセになる」と好評なしょっぱくて薬用感のある味やみがいた後の爽快な使用感。この点については「決して変えてはダメだ」と徹底してこだわった。
塩を中心とした複数の薬用成分と、独自配合した香料を組み合わせて生まれる味については、40年以上前から研究され続け、受け継いできた “黄金比”がある。「薬用成分などを増やすことで味への影響が出てきます。1日何度も味を確認し、ようやく研究所でうまくいった処方であっても、大きな装置での量産となるとうまくいかないこともあります。しかもシリーズ5種類ごとに配合成分も違うため、それぞれの苦労がありました。処方の強化については品質の確認を行いながら、味の維持と処方の強化をしっかり調整して両立させました」と春田氏は振り返る。
ひねって開けるスクリューキャップから親指一つで開けられるワンタッチキャップへの変更においても、塩を含む歯みがき剤はキャップが詰まりにくくなるが、歯みがき剤とキャップ形状の相性をいくつも試し、カチッと締めやすく最後までしっかり使い切れるよう検討を重ねた。
■歯周病とのご縁は若い頃から始まっている
より薬用成分を強化した歯みがきを開発した同社が力を入れて発信するのが、生涯を通じて重要な歯周病の予防だ。
厚労省発表の令和4年歯科疾患実態調査には、歯肉出血を有する者の割合は、10歳以上の年齢階級全体で44.9%、10~14歳で40.2%、20~34歳で40~50%台というデータがある。また、15~24歳で4mm以上の歯周ポケットがある人の割合は、1999年・10.4%、2005年・7.2%、2011年・8.5%、2016年・17.6%、2022年・17.8%と、増加傾向にある。歯周病(歯槽膿漏を含む)には年代が高い人の口内の疾患というイメージを持つ人もいるかもしれないが、歯周病の手前の段階の「歯肉炎」の状態の人は、10~20代にも一定の割合でいることがうかがえる。(出典:厚生労働省ホームページより)
歯周ポケットを有する者の割合、年齢階級別(厚生労働省ホームページより)
歯周ポケット(4mm以上)を有する者の割合の年次推移、年齢階級別(厚生労働省ホームページより)
同社は「歯周病菌や歯周病菌が出す毒素が、毛細血管から全身に広がっていき、たどりついた組織で悪さをします。肺炎、アルツハイマー、糖尿病など、歯周病と全身の健康の深いかかわりが分かってきています。歯肉炎は歯科クリニックで治療したり、生活習慣を改善することで元に戻りますが、歯周炎まで進むと元には戻りません」と警鐘を鳴らす。
■女性は生涯で3度、歯周病危機に見舞われる
これまでの知見で、女性ホルモンには、ある特定の歯周病菌の増殖を促し、これらの菌によって歯周組織の炎症を悪化させたりする作用があることが分かってきているという。女性は、「思春期」「妊娠・出産期」「更年期」と主に3度の歯周病危機に見舞われる。
女性ホルモンが活発に分泌され始める思春期は、試験勉強などのストレスによる免疫力低下で歯ぐきが炎症を起こすことも。妊娠期には女性ホルモンが大量に分泌されて歯ぐきが腫れやすくなるのに加え、つわりによる食生活の変化や歯みがきが疎かになりがちになることも口内環境を悪化させる。更年期は女性ホルモンの分泌が乱れることに加え、唾液の分泌量が減ることで口内の自浄能力が低下し、歯周病が進行しやすいという。
気付かないうちに進行している「サイレントディジーズ(Silent Disease・静かなる病気)」ともいわれる歯周病。クリーンデンタル愛用者のメインは50代の女性というが、同社では「今回のリニューアルをきっかけに、できるだけ若い年代の方から使ってもらえるよう情報発信をしていきたい」としている。
歯周病のステップ
■製薬会社として自信を持って提供する歯みがき
クリーンデンタルの1回の推奨使用量は1グラムで、歯ブラシのブラシの部分を覆う1cm程度。味を強く感じる場合や、苦手な人は小豆大でも十分な歯周病予防効果があり、薬用成分を洗い流し過ぎないよう、すすぎは1回を推奨しているという。1回1グラムで1日3回歯をみがいた場合、1本(100g)を使い切る期間は約1カ月。青いパッケージの「無研磨」は、歯と歯ぐきを優しくみがける研磨剤無配合の処方にしているので、電動歯ブラシを使っている人にもおすすめという。
ボトルタイプの「薬用リンス」は、歯肉炎予防・歯周炎予防を含む9つの働きが一つになった液体歯みがき。従来品より使いやすく、持ちやすいボトルやキャップを開発した。強い刺激が苦手な人にも使いやすいノンアルコールタイプで、同シリーズの歯みがき同様のスッキリ塩味。口に含むと8種の薬用成分が口内のすみずみまで浸透し、すすいだ後に歯ブラシでしっかりブラッシングすることで、歯周病予防効果が得られる。
■日常からお口の中の状態に関心を!
クリーンデンタルのブランドサイトでは、歯みがきや生活習慣、口の中の状態から歯周病度を測るチェック項目も用意している。また、同社のオーラルケア啓発サイト「おくちカレッジ」では、歯周病の原因・症状・治療・予防についての情報を発信している。体が元気な時には気付きにくい歯周病の深刻さ。深刻になる前から、口内環境への関心を高め、日々のケアに取り組みたいものだ。
春田氏は、「今回のリニューアルでも、クリーンデンタルらしさを受け継ぎ、歯周病予防効果を追求しました。一方で、歯みがきに対する潜在的なニーズや、女性特有のライフステージによる悩みは尽きることなく多様化しています。今後も効果・品質・使いやすさを三位一体とした製品を追求し、誠実に研究・開発していくことで、皆さまの期待に応えていきたい」と話した。
毎日行う歯みがきは、日々の健康を支えるために不可欠だ。一度試すとインパクトがある使用感に圧倒されるというクリーンデンタル。効果的な歯みがきの習慣のきっかけになるだろう。
歯周病とは、歯肉炎・歯槽膿漏(歯周炎)の総称です。