おでかけ

25年はAI活用の旅が人気 予約サイトがトレンド予測

2025年の旅行トレンド予測を発表したルイス・ロドリゲスさん=東京都千代田区の都道府県会館、2024年12月5日

 オンライン宿泊予約サイト「ブッキング・ドットコム」の運営会社「Booking.com B.V.」(オランダ)の日本法人ブッキング・ドットコム・ジャパン(東京都渋谷区)は12月5日、2025年の旅行のトレンド予測を発表した。それによると、25年は「個の要求を満たすAI(人工知能)活用の旅」「多世代で紡ぐ心に刻む旅」などを好む旅行者が増えると予測。また25年に人気を集める世界の旅行先として、日本国内では沖縄県那覇市が注目を集めている、と述べた。

 トレンド予測は、ブッキング・ドットコム・ジャパンがこの日、東京都内で記者会見を開いて発表した。予測を発表した日本・韓国地区担当のルイス・ロドリゲスさん(Booking.comリージョナル・マネージャー)は、世界の旅行者に好まれる25年の旅のトレンドとして、個の欲求を満たすAI活用の旅▽多世代で紡ぐ心に刻む旅▽長寿を得る没入型リトリート(心身を癒やす)旅▽シニアの枠を超えてスリル満点な冒険への旅▽宇宙を体験する“ナイトツーリズム”▽男性“同志”、ウェルネスと自己啓発の旅▽見えない細部のニーズをテクノロジーで形にする旅▽ヴィンテージを楽しむ旅▽空港を旅程の一部として楽しむ旅―の9つを挙げた。

世界の旅行者の旅観の変化を指摘するロドリゲスさん

 このトレンド予測は33カ国・地域の2万7000人の旅行者を対象とするブッキング・ドットコムの調査を踏まえて導き出した、という。

 ロドリゲスさんは「これまでの世界の旅行者の習慣が変わりつつある。AIで自分の好きなことが体験できる場所を探すAI旅や家族など多世代で楽しめる共有体験を何より最優先する旅、健康・長寿につながる旅、冒険的な体験ができる旅など、旅に新たな発見・価値を求める人が増えている」と“旅観”の変化を指摘した。

富裕層客の取り込みの重要性を指摘した三菱総合研究所の宮崎俊哉さん

 トレンド予測発表後はパネルディスカッションを開き、ロドリゲスさんをはじめ、三菱総合研究所・観光立国実現支援チームリーダー主席研究員の宮崎俊哉さん、ホテルグランコンソルト那覇総支配人の後藤理恵さん、長野県の野沢温泉ロッヂオーナー・八尾良太郎さん、ジャーナリストの安倍宏行さん(Japan In-depth編集長)の計5人が参加した。

 宮崎さんは、いわゆる「質の高い旅行体験」を求める世界の富裕層の3.8%しか日本は誘客していないと問題提起。「特に中東などの富裕層を日本は誘客できていない。インバウンド(訪日客)はまだまだ伸びる」と述べた。

 後藤さんは「ホテルの訪日客は最近6カ月で6割増加している。那覇市が25年の旅行先として世界の旅行者から注目されているのはうれしい。自然や癒やしを求める人が増えているのではないか」と沖縄人気の理由を分析した。

パネルディスカッションの様子(左から)後藤理恵さん、八尾良太郎さん、安倍宏行さん

 八尾さんは「野沢温泉は雪が降る12~2月の冬が訪日客には人気だが、それ以外の季節も素晴らしい所がたくさんある。冬以外の野沢温泉の魅力を世界に発信できれば、課題である通年での地元雇用を生み出すことができる」と魅力発信の必要性を強調した。

 月1回は旅行に行くという旅好きの安倍さんは「インバウンドは増えているが、各観光地で(観光収入が地域内で循環する)域内調達率を高め、地域経済を回していくことが重要だ。観光立国といわれるが、観光だけでは立国できない」と述べ、地域の行政、事業者らの集合知で域内調達率を高める取り組みを拡大する重要性を指摘した。