カルチャー

将棋界の金字塔が33年ぶりに 92年著の『羽生の頭脳3 急戦、中飛車・三間飛車破り』を新版化

 公式を覚えるのではなく、なぜそうなるのかという思考の道筋が大切、と学校時代にもさんざん言われてきたが、どんな分野でも基本は同じだろう。将棋界の第一人者・羽生善治九段の『新版 羽生の頭脳3 急戦、中飛車・三間飛車破り』(マイナビ出版、税込み1914円)が11月21日(金)に発売される。著者の1992年の将棋戦術書の新版。「この形ではこう指す」ではなく、「なぜこの形でこう考えるのか」といった意思決定の原理を重視している。

将棋の戦術はAIの登場で大きく変化したが、AIは膨大な知識は与えてくれるもののベースとなる“思考法”は教えてくれない。通常、中飛車や三間飛車といった振り飛車は、居飛車側がのんびり構えると相手に理想形をつくられてしまうことがあるが、羽生九段は、「序盤から主導権を握る急戦策」で相手を崩す指針を軸に解説している。現代将棋のすべての定跡はこの『羽生の頭脳』シリーズがベース。AI全盛の今だからこそ、レジェンド・羽生九段の“思考法”を学ぶ価値は大きい。