
未来世代のはばたきを応援する「はばたけラボ」は、2001年に香川県で産声を上げた食育活動「子どもが作る弁当の日」を応援しています。25周年を迎える今年、提唱者・竹下和男氏が全国から集まったエピソード応募作品を通じて、子どもたちのみずみずしい成長を伝えます。本企画は、本サイトと連動してお届けします。
▼「お母さんの牛丼」(「弁当の日おいしい記憶のエピソード」全国小学校家庭科教育研究会賞 受賞作品)
「もうすぐ三歳になるわたしの弟は、好ききらいが多く、やさいを食べてくれません」書き出しの第一文からもうお母さん目線です。第二文は「お母さんは、弟がどうしたらやさいを食べてくれるのか、毎日なやんでいます」ですから、お母さんを助けたい気持ちでいっぱいです。こどもって、こんなふうに大人になるトレーニングを始めていくのです。
「人は見た目で食べている」という話があります。食べているものがラーメンに見える特殊な装置付きのゴーグルをつけてうどんを食べさせると「これはラーメン」と言うそうです。お母さんの秘策に咲和さんは、お母さんと一緒に作ることで気づいてしまいました。ニンジンやタマネギが識別できないようにミキサーにかけて料理をしているのです。「いつもの味」と思って弟さんは牛丼を食べているわけですから、ニンジンやタマネギの香りや味を受け付けない体ではないのです。そして、ニンジンやタマネギの栄養素やミネラルを吸収して生きているのです。なんと素晴らしいことでしょう。そのうちに弟さんが「なーんだ。ニンジンもタマネギも食べられる」と言ってくれる日が来ることが決まっています。
好き嫌いのある子どもの食事作りは苦痛で嫌なことではあるけれど、食べてもらえた時の喜びは格別で、工夫のやりがいがあることを、お母さんが咲和さんに教えてくれています。咲和さんが小学4年生にしてそのバトンを、もう受け取っているのです。「弁当の日 おいしい記憶のエピソード」って親子間の深い絆形成のために、親と子で「おいしい」体験を共有しませんかというコンクールです。最後の一文はこうです。「大好きな弟に、えいようたっぷりのお弁当を食べてもらって、幼稚園生活を楽しんでほしいです」
弁当作りを通して幼い姉弟に生まれる絆が、二人の生きる力を育て続けてくれることを、私は信じて疑いません。
竹下和男(たけした・かずお)/1949年香川県出身。小学校、中学校教員、教育行政職を経て2001年度より綾南町立滝宮小学校校長として「弁当の日」を始める。定年退職後2010年度より執筆・講演活動を行っている。著書に『“弁当の日”がやってきた』(自然食通信社)、『できる!を伸ばす弁当の日』(共同通信社・編著)などがある。
#はばたけラボは、未来世代が思い切りはばたける環境づくりに取り組む共創プラットフォームです。企業・学校・地域とともに多様な取り組みを未来へつなげ、そのはばたきを支えるためにパートナー企業であるキッコーマン、クリナップ、クレハ、信州ハム、全国農業協同組合連合会、日清オイリオグループ、雪印メグミルク、アートネイチャー、ヤンマーホールディングス、ハイセンスジャパン、ミキハウスとともにさまざまな活動を行っています。







