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「どうする家康」第2回「兎と狼」二度の「どうする!?」が示す家康の成長【大河ドラマコラム】

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 この二つが家康を奮い立たせ、包囲していた昌久軍を退ける原動力となった。そしてここにはもう一つ、家康が知らなかった事実が関わっている。それが、家康の出生の真実だ。

 昌久の軍を退ける際、「わしはトラの年、トラの日、トラの刻に生まれた武神の生まれ変わりじゃ!」と気勢を上げた家康だが、実はトラ年ではなく、ウサギ年の生まれだったことがその後、回想シーンの母・於大の方(松嶋菜々子)と父・松平広忠(飯田基祐)のやり取りの中で明かされる。

 「厭離穢土欣求浄土」の勘違い、そして生年に関する家康の思い込み。ここから浮かび上がってくるのは、「考え方次第でものの見え方は変わり、窮地を突破する力になる」というメッセージだ。

 前回の本コラムで『NHK大河ドラマ・ガイド どうする家康 前編』(NHK出版)に掲載されている「強国に囲まれた中で家康がたどった道のりが、先の見えない今の時代を生きる手掛かりになればと願っています」という制作統括・磯智明氏の言葉を紹介した。

 今回早くも、その思いの一つが浮かび上がってきたように思う。これから家康と一緒になって、私たちも戦乱の世の物語を駆け抜けていけるのではないか。そんな期待が膨らむ第2回だった。

(井上健一)

徳川家康役の松本潤(左)と本多忠勝役の山田裕貴 (C)NHK